歎異抄の後序にこのような一文があります。


「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと、みなもって、

そらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします。」


私たち凡夫の生きているこの世界は燃え盛る家のように常で無く、激しく移り変わっていきます。

そんな世界で起こるあらゆる出来事は皆虚事戯事、真実などありません。

そんな中念仏のみが唯一の真実の教えなのです。


と、言った意味の一文になります。


私たちの住むこの世界は本当に移り変わりが激しく、


今生活してる私たちでさえも付いて行くのが精いっぱいのように見えます。


それなのに私たちは勝ち負けにこだわって、勝てば官軍とばかりにもてはやされます。


勝者の足元に何人もの敗者がいるにもかかわず、


勝者ばかりにスポットライトを当てたがります。


そんな世の中の事を見透かして親鸞聖人は、


「ただ念仏にみぞまことにておわします。」


と、説かれたのかも知れません。


念仏という真実のはたらきに出遇った喜びが感じられる一文ですね。