マーベラスの2023年の初戦となる横浜大会。第1試合は黄色軍団vsチームREDの図式ながら、ハイビスカスみぃが「AAAWシングルの試合で永島さんのファンになりました」と黄色いコスチュームで登場し、川畑梨瑚が孤立する形で試合がスタート。試合をかき回すみぃだが黄色軍団に入れてもらえないとなると、服を脱ぎ中には赤いコスチューム。しかし中途半端にズボンがずり落ちた状態のみぃに永島が覆いかぶさると、フォールカウントの途中で恥ずかしさのあまりギブアップ。

 



 セミファイナルではこの試合を最後に帰国するクイーン・アミナタと、昨年後半のマーベラスで話題を集めたウナギ・サヤカが一騎打ち。互いにカタコトの日本語と英語で「1番」を主張し、熱戦のまま15分時間切れに。試合後は再戦を誓い握手を交わす。

 



 メインイベントは渡辺智子&Mariaと桃野美桜&門倉凛によるマーベラス純血対決。序盤から一期生コンビにつかまったMariaは執拗に髪を攻められるなど苦戦を強いられるも、中盤以降は奮闘。KAORUから受け継いだエクスカリバーを連発して先輩の門倉を仕留め、幸先良いスタートを切った。

 



 試合後、長与千種がリングに上がり、「マーベラス、いろんなことがございました。これも全部、未来に向かっていくための自分たちに課せられた修行だと思っております。辞めていった選手でも…狐伯。リングで活躍してます。私は胸を張って今は彼女を応援できます。彼女が孤軍奮闘することを私はネット上で見ております。一生懸命応援したいと思っております。そしてまだその中の選手で、たぶん近々、違う団体に上がると思います。試合をやってくれることに関しては心から“ありがとう”と言いたいです。なぜならば私たちが手塩にかけて育てた選手なので、リングに戻って来てくれることはホントに心から嬉しいです」と過去の退団選手にも言及。

 


 続いて「人数が少なくなった中でですね、皆さんが支えてくださってます。フリーの選手の方、男子の方、団体の方々に支えられてマーベラスは興行ができております。選手たちの熱量が非常に高いので、私の中では少なくなったという感覚がないです。しかしここで1つ…去年めでたくも1人、ウチの団体から嫁に出した選手がおります。彼女とよく話してる時にですね、いつも未来のことを語ってくれ、そして“私、頑張ります”という言葉をよくくれてました。しかし道場と彼女の旦那さんが住む場所を行き来させるというのも、私は親としていかがなものかと思い始めたのが、まず1つ。そして新婚で2人を離してしまわなきゃいけないという現実。これが2つ目。そして3つ目、自分の中で考えて出した結論です。本日をもって門倉を退団させます。そして幸せになるために…旦那と一緒にカナダでちゃんと礎(いしずえ)を作っておいで。文化も言葉も違う、友達もいない場所です。その中で唯一共通点があるとするならばプロレスであると思います。(現地の団体から)呼ばれたらやりなさい。そして、もし帰って来たら…いつでもマーベラスに帰って来なさい。いつだって手を開いて待っててあげる。彼女は口ベタなので、私には絶対“その言葉”を言ってきません。(旦那と一緒にカナダへ)“一緒に行きたい”という言葉もきっと言わないです。でも、30歳になります。1番いい時期じゃないかなと、そこを考えました。私は行かせます。そして若い2人で新しい家庭を築いて家族を増やして…いつでも帰ってきたら待ってるから。1つだけ。いつかあなたがプロレスを辞める時は、このリングで。私はそれだけを望みます。胸を張ってカナダに行ってきなさい。ずっと気を使わせたまま、悶々としたままこのリングに置くことが“いいことじゃないんじゃないか?”と考えました。だから親としての…決断です」。

 



 門倉は「長与さん、ありがとうございます。普段は自分のことを言わないので…長与さんにそう言って頂けて…(涙)。胸を張って自分は行けます! また、いつプロレスができるのか、復帰するのか、わからないんですけれども…帰ってくる場所はここにあるので。また皆さんの前に元気な姿で、このリングに立ちたいと思います」とあいさつした。

 



『新春!Marvelousプロレス in 横浜』
◆2023年1月8日(日)神奈川・横浜産貿ホール(12:30)
観衆未発表


▼20分1本勝負
 ○永島千佳世&宝山愛(15分1秒/上から押さえ込む→ギブアップ)ハイビスカスみぃ●&川畑梨瑚
▼15分1本勝負
 ○井坂レオ(9分38秒/スモールパッケージ・ホールド)韋駄天●
▼15分1本勝負
 △クイーン・アミナタ(時間切れ引き分け)ウナギ・サヤカ△
▼30分1本勝負
 渡辺智子&○Maria(18分55秒/エクスカリバー→片エビ固め)桃野美桜&門倉凛●




★門倉凛のコメント
 「普段あんまり自分のことって口にしないんですけど…そういうのを長与さんは全部感じてたというか、思ってくれてたと思うとビックリな反面、嬉しい気持ち半分…なんだろう? いろんな感情が今、全部あります」
 ━━カナダに行きたい気持ちが少しずつ大きくなってきていた?
 「そうですね。それが何年になるのかわからないですけど、長い年月を考えた時に“一緒にいたほうがいいのかな?”って思うこともやっぱりあって。でも自分の中でプロレスが大好きだし、プロレス辞めたくないし。でも離れ離れになってどれぐらいで会えるかもわからないっていう葛藤はありましたね。“どうしたら1番ベストなのかな?”とか、もうずっと考えてました。今日、長与さんが言ったことはすごくいいタイミングだったのかなと思います。“マーベラス門倉凛が休業します”だと“いつ帰って来るの?”って心配されちゃうし、だったらしっかりケジメをつけて退団させて頂いて、また試合ができる時に上げてくださいって(笑)。」
 ━━試合会場に来るのは今日が最後? 次の新木場大会にはいない?
 「そうですね。今日が最後になります。今日付けで退団になったので、今度いつプロレスができるのか? 何年先になるのか? はたまた3~4ヶ月なのか?(笑)。でも帰ってくる場所があるっていうのが嬉しいですよね」
 ━━カナダに行く日取りはもう決まっている?
 「まだ正確には決まってないんですけど、ただもう…じきには行きます。向こうにもプロレスの団体があるみたいなことは聞いてたので、練習に行けるなとは思ったんですよ。もし子供ができたら優先になっちゃいますけど、何がどう動くかわからない。私の中の新たなチャレンジというか」
 ━━周囲に相談しなかった?
 「誰にも言ってきたことがなかったので。“そんなことやってる場合じゃないよ。プロレスやれよ!って思っちゃうかな?”とか思ってた部分はあって。プライベートな部分はいっさい話さなかった。唯一、長与さんに話しました。なかなか言えないですよね、そんなプライベートなことって(苦笑)。でも背中を押してもらったなっていうのはすごくあります」
 ━━北斗さんはご存知?
 「なんて言われるんでしょうね?(笑) この先の人生のことでいろいろやっぱり…プロレスのことって全然話してなかったんですよ。北斗さんも私の仕事に対してはノータッチ状態。口出しもしなければ、お仕事の話はいっさいしません。結婚してこれからカナダに行っちゃう。“さてどうしよう?”っていう面ではいろいろ話はしました。でも長与さんと同じように(背中を)押してくれてるのかなとは思います。逆に、胸を張ってここで私が行かなかったら意味がないと思うので」
 ━━ご主人は?
 「プロレスやってても、私がやっていうことに対していっさい何も言ってこなかったので。“好きなことをやってほしい”って言ってくれてたので。一緒に行くってなったら、最初はそんな感じでビックリ(笑)。中途半端にはしたくないし…自分、頑固なんですよ、変なところ。プロレスが好きなまま辞めたら、絶対帰ってきちゃう。“後悔は絶対しない”って。またプロレスができる時に…」
 ━━ファンの皆様へメッセージを。
 「今回の発表で驚かれた方もいらっしゃるでしょうし、“なんだよ!”って思った方も、もしかしたらいるかもしれないです。プロレスラー門倉凛が引退するわけではなくて、まだまだ現役の門倉凛は生きてるので。ただプロレスがあと何年後になるのかな…? 何年か後にまた試合ができるんだったら…できるコンディションになってたら帰る場所があるので。必ずマーベラスのリングで元気な姿を皆さんにお見せしたいと思います。コンディション…私すごい太りすぎて、今もそうなんですけどブクブク太りすぎて“コンディション悪くない?”って言われるんですけど、帰って来る頃には必ずいい状態で帰って来てリングに立つので、楽しみにしててください!」

 






▼何も聞かされていなかったほかの選手たちは驚いて涙を見せる。彩羽は「知っていたら1試合だけでも復帰していた」と悔しがり、門倉にボディスラムで自身を投げさせた。