…ということで四国から帰ってきましたですが、国内線のフライトはさほどに飛行時間もかからないものですから、ともすると遊覧飛行状態のようでもあろうかと。
往路は朝早くから移動にかかったために、乗り込んで早々はひと眠りしてしまいましたが、目覚めて「今はどこぞ?」と窓から見下ろしてみれば、一面の田園風景の果てに海が見え、海に突き出した地形からして、おそらくあれは渥美半島であろうと。
確証のないままに眺めておればしっかり知多半島が見え始め、決め手となったのはセントレア(中部国際空港)が見えたことでありますね。
考えてみれば、広い空だからといって飛行機はどこを飛んでもいいというはずもなく、一定の航路があるのでありましょう。ですから、経路上、手前にあたる空港は通過ポイントとして見えてくることもあるのだなと改めて思ったのでありますよ。
伊勢湾を通過して紀伊半島横断に掛かりますと、向こうには熊野の山々。するとやがては関空が見えてくるのかなと思っておりますと、そうは南に振れてはおらず、街中の上空を飛んでいるうちにまたひとつ空港が。
「伊丹だな」と思う間もなく、今度は海上に「ありゃ、神戸空港か」という状況。ここで飛行機は旋廻して、淡路島のふちをなぞるように四国を目指していったのでありました。
一方、帰りは帰りで夕刻出発の便でありますけれど、あいにくと出発地点(実は高知)はざあざあの雨降りで飛行機は雲の中をがたがた上昇していったのでありますよ。
長らく続く雲の中にこれまたちょいとひと眠りして目覚めてみれば、すでに海岸沿いの工業地帯のあかりがちらちらと。「工場萌え」の人たちの気持ちがよく分かる光景となっておりました。
でやっぱり「どこぞ?」と思うわけですが、定刻より遅れた出発ながら時間的には羽田に到着間近であることからすれば、京浜か京葉の工業地帯…。といううちに、ひときわ煌びやかな空間が目に飛び込んできて「東京ディズニーランドか」と。
ほどなく葛西臨海公園の大観覧車から遠ざかりつつ、恐竜のような東京ゲートブリッジが間近に見えてきて、奥の方にはスカイツリーが。旋廻して東京の夜景をひと眺めしながら、無事に羽田に到着したのでありました。
「夜間飛行」を書いたサン=テグジュペリが飛行機に魅せられたのはこうした光景によってでありますかね。もっともかの時代の町灯りは断然に今より少なかったでしょうけれど、それだけに食い入るように見下ろしていたのかもしれません。
てな具合に旅の目的は何であれ、遊覧飛行気分を楽しめる空の旅、これもまた楽しからずやではありませんか。ただ、飛行機という乗り物がエコでない点にはいささか惑いがありますが(笑)。