このほどの新座散歩では、果たして「れきしてらす」での収穫が芳しくない…ということになったわけですけれど、まあ、それを補って野火止用水沿いの散策はなかなかに気分の良いものでしたし、加えてこれから話をしようとしております平林寺の雑木林、小虫がやたらに多かったことを除けば、これまたいい気分。全体的にはいい散歩になったのではないかと思っておりますよ。

 

 

ということで、やってきたのは臨済宗妙心寺派金鳳山平林寺でございます。時にひとつお断りですが、「れきしてらす」のことを書いたところで、GWの最中に一度出かけてみるも休館中で出直したと申しました。で、平林寺に立ち寄ったのは初回、つまりGWの最中に訪ねたのでもはやひと月ほども前のことになります。境内のようすなどはひと月分だけ前の景観であることをご承知おき願っておこうと思いまして。

 

 

さてとその平林寺ですけれど、『明治期には禅修行の専門道場を開設し」て以来、今に至るも「境内全域が禅修行の専門道場です(観光施設ではありません)」というお断り(?)が同寺HPの最初に出てくるのですなあ。総門向かって左手の入山受付で入山料500円也を納めて、いざ中へ入りますと、境内案内図の下にはあれやこれやの注意事項が記されておりまして、些か身構えもしますし、敷居の高さを感じたりもするところです。

 

 

ともあれ、総門から先、一直線に並んでいるのが山門、そしてその奥にあるのが仏殿で、さらに仏殿の裏には(見えていませんが)中門、本堂とまっすぐにつ続いています。ちなみに中門から本堂のあたりが、いわゆる専門道場であるが故の立入禁止区域にあたります。

 

 

ということで、一般参拝者は本堂まで入れないので仏殿で祈るということになりましょうか。こちらが仏殿ですが、禅宗らしく(というのが当たっているかどうかですが…)飾るところのない、どっしりとした建物でありますね。

 

 

その仏殿の裏側一帯が修行のためのエリアで立ち入ってはならん場所ですが、そうと聞くと「どれどれ」と思ってしまうのが凡人の所業ですな(笑)。ちらり垣間見る中門と本堂はこのようになっておりましたよ。

 

 

ところで、「総門をはじめとする茅葺き屋根の伽藍四棟」が一直線上に配されているのは「禅宗典型」なのだそうですねえ。入山時にいただいた「平林寺縁起」のリーフレットに改めて目を通して気付かされました。お寺さんのことはよく知らないものですから。で、そのまっすぐな参道に沿って、これまたまっすぐに水路が切ってありまして、これが野火止用水を分水した平林寺堀の流れがたどり着いた先ということになりましょう。

 

 

この水利があって設けられたのでありましょう、仏殿に向かって左手の林の中には放生池が豊かに水を湛えておりましたよ。

 

 

と、いよいよもって奥に広がる境内林の散策へと踏み込んでいくことになりますですが、はたと気付けばここまでに、平林寺そもそもの由緒におよそ触れておりませなんだ。実のところ、野火止用水開削に関わった松平信綱の菩提寺であるとは前に触れておりましたけれど、そのあたりのことは奥にある「大河内松平家廟所」へと向かう道々のお話といたしましょうかね。