一昨日段階では「満開までもうひと息」てなふうに見えたですが、ここ二日続けてとってもいい陽気だもので、もはや満開といってよろしかろうかと。それで思い出したのが、昨年も桜の時季に小淵沢にいて北杜市の桜の名所をいくつか巡ってみたのであったということ。今年よりは平年並みにも少し遅い頃合いだったとは思いますけれどね。
で、いくつか巡った中のひとつ、「神田の大糸桜」(「かんだ」ではなくして「しんでん」です)には歩いても30分ほどで行けるのか…と気付かされたのすなあ。アパートのほど近くに、こんな看板も出ておりますのでね。うららかな陽気に誘われて、のんびり出かけてみたのでありますよ。
一応、目指すは神田の大糸桜ですけれど、途中途中でも山の眺めと併せて枝ぶりのいい桜が咲いていて、時折立ち止まったりしたのですな。こちらの左奥にあるのは茅ヶ岳ですかね(見えにくいですが…)。
今度は方向を変えて、左奥に見える山並みは御坂山塊でしょうか。この山を越えれば富士五湖に到達するということに。
と、遠い山は写真では見えにくばかりですけれど、もそっと近く、お馴染みの甲斐駒ならばこんな桜とのツーショットが望めます。
と、ちょいちょい足を止めながらたどり着いた「神田の大糸桜」、見事に咲いてはおりました…が、去年見たときにも「痛々しいなあ」と感じたところでして、その印象は今回もまた。
この方向からはまだましな気がしますが、すでにして枝ぶりが些か幽霊じみてもおり…。樹齢約400年、エドヒガンザクラの変種であるとか。根回りは8mもあるということながら、大きなうろが(隠してなお)隠しようもない老いを示しているような。
八ヶ岳を背景に遠景で見ればそれはそれで…とも思いますが、遠くから眺めますと、上の甲斐駒ツーショットの桜の樹形に比べて見劣りしてしまう気も。
まあ、考えてみればこの「神田の大糸桜」、本来的には桜の「名所」というよりは桜の「名木」ということになるのでしょうなあ。ですから、花見的な感覚で見るには長く桜並木が続いている場所とか、桜の木が寄せ植え状態であたり一面さくら色になっている場所とか、そういうところを訪ねるべきなのでありましょう。こちらはこちらで、古来の由緒に思いを馳せ、「今年も健気に咲いてくれた…」てな感慨に浸るとか。
とまあ、そんな意味では近辺をうろうろして発見したですが、特に誰も見に来るのでもない公園の桜が、花見的感覚にはヒットするものでありましたなあ。しかも、南アルプスの眺望にも優れておりまして。
またまた方向を変えて、八ヶ岳をバックに公園そのものを振り返りみるとこのように見えますから、ちょっとしたお花見には打って付けの場所ではなかろうかと。しかも、ご近所にはそこにあるのがあまりに当たり前なのか、訪ね来る人もまばらですしね。
昨年の桜の名所巡りは観光案内的な情報をもとにしたわけですが、結局のところそういう場所はどこも混んでおり、花見というより人見になってしまったり。その点、特に名所と言われる場所ではなくとも、静かに花を愛でるにいい場所があるとは今さらながら。若山牧水のもじりになりますけれど、「桜はしづかに愛ずべかりけり」ではなかろうかと(笑)。