♪梅は咲いたか、桜はまだかいな…とは夙に知られた江戸端唄ですけれど、寒さが長く続いたこの冬、むしろ梅の満開はまだかいなと思っているうちに、いつしか驚くほどの暖かさが到来して桜が咲いた?!てなことにもなっていようかと。

 

かように季節の選手交代があっという間に行われようかとなりますと、まだ梅も見ておらんのに…と出かけたついでに梅見の適う場所に立ち寄ったり…。てなことを申しましても実際に出かけたのはもう10日も前でして、分倍河原の散歩話が終わったら書こうと思っているうちに暖かさマシマシになってしまいました。ですので、直近の梅の状況ではありませんとは、言っておかねばですねえ。

 

ともあれ、出かけた先は東京・福生市。市の郷土資料室に立ち寄るついでに辺りを巡ってみたわけですが、梅が見られそうなところとして、こちらのお寺さんにお邪魔したような次第でございます。

 

 

臨済宗建長寺派福生山清岩禅院。福生の地名は「ふっさ」ですけれど、こちらは「ふくしょうざん」と読むようですなあ。室町時代、応永年間(1394~1428年)に創建ということですが、それはともかくとしていずこかに梅が咲いておりましょうか…。

 

 

山門をくぐってみれば、六地蔵の並ぶ奥、鐘楼の右手がいささかの梅園のようでもありましたよ。訪ねたときは(先にも申しましたとおり)3月の半ばにかかろうかという頃合いながら、咲き誇るのはまだまだこれからという印象でしたなあ。その後はあっという間に盛りを迎えたことでありましょう。

 

 

梅園とまで思うほどではない全体像でしたけれど、それでもそれぞれの梅の木の枝ぶりに個性があって、しかも「いかにも梅!」という風情。まあ、庭師の方々の丹精の賜物なのでしょうなあ。

 

と、実のところ、こちらのお寺さんは梅見の場所というよりは、むしろ池泉回遊式庭園の庭で有名なようで。確かに本堂の建物をも取り込んで、庭は立派な景観でありましたよ。

 

 

しかも、悠々と錦鯉の泳ぐ池の水のきれいなこと。透明度の高いこの水は、池の数カ所から湧き出ている湧水なのだそうでありますよ。「東京の名湧水57選」のひとつとなっているということで、ここもちょいと前に訪ねた国分寺市の「お鷹の道・真姿の池湧水群」が環境省選定の「名水百選」になっていることには及ばないものの、清冽な流れでなくして淀みない池の水であることを思えば、印象的なのはむしろこちらかもしれませんですねえ。

 

 

てなことで、いささかの梅と湧水の庭を見て眼福を得たわけです(福生だけに、笑)が、またまたしばらくはぶらり福生の散歩のことを書いてまいることにいたします。