国分寺崖線から湧き出す真姿の池に立ち寄って、お鷹の道遊歩道をそのまま進みますと

JR中央線の国分寺駅へと近づいていくことになりますが、武蔵国分寺跡を訪ねるには

ちょいと遊歩道を逆戻りすることになるのですな。

 

ま、折しも昼食どきで辺りで食事のできそうなところが少々戻ったところにあったものですから、

史跡の駅「おたカフェ」なる施設へと出向いたのでありました。

 

 

ちょうどこの施設の目の前には武蔵国分寺跡資料館がありまして、

入場券(ちなみに100円)を購入するのもこの駅でということでしたので、

そのついでの昼食に「野菜と鶏肉のスープカレー」を食することにした次第。

量的にはほどほどながら、思いのほかおいしくいただけましたですよ。

 

 

ところでこのおたカフェ(お鷹の道沿いにあるカフェですな)、

「国分寺の野菜や果物を使ったメニューをお愉しみ頂けます」というのが売りのひとつなのですが、

かねて国分寺市では「国分寺市内の農家が販売を目的として生産した農畜産物」を

「国分寺三百年野菜 こくベジ」と称して、いわば地産地消的なプロジェクトを展開中なのでありますよ。

 

国分寺の建立は千二百年以上も昔になりますので、「三百年野菜」はちと遠慮気味とも思うところながら、

このあたりはおよそ300年前の江戸中期、新田開発が行われたところから農業が盛んになったという

歴史を踏まえたものでありました。無理矢理にも遠い昔に結び付けないあたりがいいですなあ。

 

近隣の国立市でも「くにたち野菜」というロゴを使っていたり、

立川市ではとりわけ「東京うど」の生産量が都内(まあ、東京うどですから)で1位とあって、

これのPRに力を入れておりますなあ。うどは冬場が旬ということで、

先日も立川市内にある中国料理「五十番」(店構えはとても中華屋とは思えないしゃれた感)で出す

「うどラーメン」を食してきたところでありまして(食感の良いうどがおしげもなくざくざく入っています)。

 

とまあ、またしても余談に傾いておりますけれど、かように地元野菜押しに取り組むのは、

東京でも多摩地域だからでしょうなあ。

練馬区とか世田谷区とか、区部にも農家はありましょうけれど、周辺部のことであって、

いわゆる都心では農業が行われていようはずもなく、地産地消が叶うものでもない…。

 

ですが、このあたりに住まって30年ほど、かつて大きな農地であったところが、

切り売り?されて宅地となり、今ではすっかり住宅街に変貌したりしている姿を

そこここで見てきました。傾向としては、この後も続くのでありましょう。

 

考えてみれば、土地をどのように使うかというときに、農業に広い土地を使って出る上がりに比べ、

違う用途に使った方が「お金」になるが故の有効活用でしょうかね。

(ただ、老齢化で農業を続けられなくなった結果ということもありましょうけれど)

 

都心に農地が無いのはまさに農地以外の利用こそが価値を生むからでしょう。

結果、他の方法で得た「お金」でもって、他のところで生産され、運ばれてきた野菜を買えばいいと。

地産地消の全く反対方向にある。ですから、都心部では地産地消したくてもできないわけですね。

 

これに反旗を翻す(表現は穏当ではありませんが)とすれば、相当な覚悟がいるような気がしますね。

当たり前になっている経済システムへの反逆にもなりましょうし。

都心で農業が行われたとすれば、それだけではなしに、畑から土ぼこりが舞うとか、

野菜くずの腐敗臭がするとか、虫が出るとかなんとかかんとか、近隣住民から苦情が持ち込まれたりするかも。

 

そんな想像をしたときに、これって東京で使う電力を福島の原発に依存してきたことと

結局同じ話なんじゃなかろうかと思ったりも。なんだかどこかで狂った歯車を直した方がいいのに、

どこから手をつけたらいいのかわからなくなってしまってもいるような…。

 

ま、地産地消への思い巡らしからことのほか話を膨らませてしまいましたですが、

史跡の駅おたカフェで国分寺産野菜のたっぷり入ったスープカレーを食しつつあれこれ考えた、

冬のひだまりのひとときなのでありました。