いやあ、梅雨明けと思えば暑い日が続いておりますなあ。

まだ湿度がさほどに高くはないのか、昼間の熱気が夜に残る率がいささか低いようなので、

それだけは助かりますが、昼間はもう暑い、暑い(笑)。

 

ですので、JR中央線の国立駅に出ましたときに、冷房の下で小休止とばかりに

駅前にある旧国立駅舎(今は観光案内所兼休憩所のようになっておりまして)の中へ。

そうしますと、休憩スペースの中央にこのようなガラスケースに入った展示物があったのですな。

 

 

 

ん?!これはレゴか?とも思いましたが、どうやらひとつひとつのピースはずいぶんと小さいような。

あたりを見回しまうと、かようなポスターが掲示され、作品展として開催中であったようです。

 

 

作者は好きが高じて大型作品を作るようになったということですが、

その素材というのがアイロンビーズというものであると。

 

しかし、「アイロンビーズってなに?」と思うところながら、その説明はどこにもなし。

子どもの遊び道具として、今では広く知られ、説明の必要無しということでありましょうか。

後付けで検索してみますと、Wikipediaにはこのような説明がありました。

アイロンビーズとは、パイプ状のビーズを専用プレートの上でならべて平面的な絵柄を作り、アイロンなどの熱で溶かして接着し、プレート状に造形する玩具の通称。

これでもまだよく分からないので、あれこれ見ているうちに

「パーラービーズ」(登録商標のようです)のサイトで遊び方を発見。

本来的な遊び方は様々な色を使って平板な絵を描き出すようであるところが、

このほど目の当たりにしましたのは上の写真のように立体造形物になっているわけです。

このあたりが、作者をして「アイロンビーズ師匠」てなふうに呼ぶ所以なのでもありましょうか。

 

ところで、このアイロンビーズによる立体造形もそうですけれど、

人それぞれに様々なものを作り上げることをやっているものなのですなあ。

以前、マッチ棒だか爪楊枝だかで作り上げた五重塔なんつうものも見かけたことがありますし。

 

そういえば、先ごろ東京新聞の夕刊で見かけた話ですが、

海岸に流れ着いたプラスチックごみを素材にして、魚などの海の生き物を造形する方もいるそうな。

 

予て廃棄物、いわゆるゴミを素材にして作品を生み出すアーティストは、

例によってヴィック・ムニーズなどが思い浮かぶところですけれど、

こちらは海ゴミに特化して、しかもその海ゴミの影響を大きく受けるであろう海の生き物を作り出す、

そのあたりに非常にメッセージ性が感じられるところではなかろうかと。

 

さりながら、この海ゴミアーティスト(?)のあやおという方は石川県能登島に住まって、

きれいな海にゴミが流れついているのを見てがっくり、純然たるゴミ拾いをし始めたのが事の発端で、

それ以前からアーティストとして活動していたわけではないというのが、変わり種というべきでありましょうか。

 

アーティストが新たな表現を求めて、これまで他で使われていなかった素材に行きついたのではなくして、

素材がアートにしてほしいとでも呼びかけたかのようでありますね。その瞬間、アーティストが誕生したと。

 

まあ、そんなふうに考えると、冒頭のアイロンビーズの師匠も素材の声を聴いたのかもしれません。

自分(アイロンビーズ)は平板な作品ばかりが表現方法ではないのに…てなふうに。

 

おそらく素材はどんなものにも作品となる、アートとなる可能性があるのでしょう。

それを作者となる人の側が気付くかどうか(そのことが素材の声を聴いたと言ってもいいかと思うわけで)、

ひとえにそこに掛かっているように思ったものでありますよ。

 

実は個人的に、普通に考えますと「こんなもの、とっておいて何になるのかいね…」という代物を

コツコツと取り溜めておいているものがあるのですね。これを素材と言えば、おそらく素材。

非常に小さいものですので、果たしていつしか何かの形にできようか…というものでもありますが、

差し当たり溜まっていくプロセスを見るにつけ、「うむ、育っておる!」てなふうにも思う所でして。

 

さてはて、この取り溜めている代物が何らかの形となってお目見えの日を迎えるのか、

自分自身でも見通せない状態なのですけれど(笑)。