基本的に乗り物好きであるとは自覚しているところながら、

何につけ「嵌る」、「嵌りきる」ということがないだけに、とかく半可通ですな。

銚子電鉄の本を読んだからといって、「乗りにいこう」ということもないわけで。

(まあ、乗ってみたいなあとは思いましたけれど)

 

ともあれ、ご時勢的には旅もしにくいところですので、乗り物に乗るということもできにくい。

その代わりに本を読んだり、映画を見たりということにもなるわけでして、

ふと映画「ハッピーフライト」を見て、「ああ、実は鉄道以上に飛行機が好きかも…」と改めて思い立ったり。

 

 

高所恐怖症気味であるにも関わらず飛行機好きとは…と、我ながら思うところですけれど、

かつて西武園ゆうえんちにありました大飛行塔(今でもあるのかな)のような、

座席がオープンエアのような状態で高いところをぐるぐる回るのには「顔、まっさお」になるも、

完全密閉(もちろん換気はされておりましょうが)の旅客機にあっては、

映画「フレンチ・キス」のメグ・ライアンのようになることも無いのは我がことながら不思議でもあり…。

 

ところで、この「ハッピーフライト」ですけれど、興味深く見たものでありましたよ。

面白かった、楽しかったではなくして、興味深いというあたり、自分の嗜好の反映でもあろうかと。

かつて旅行業界といいますか、航空関連業界といいますか、そんなところで仕事をしていたことも

関係しておりましょうかね。

 

でもって、何が興味深いかと申しますけれど、飛行機の運航に関わるパイロットやキャビンクルーのみならず、

管制官や整備関係者、ディスパッチャー、グランドスタッフ、さらにバードパトロールなどもそれぞれ、

話の中でその役割に触れられているのですよね。こうした普段見えないながらも、

空港の機能を適切に働かせるのに不可欠な人たちを描いている点、これが興味深くもあったわけです。

 

もしかすると、空港という場そのものにも興味があるというべきかもしれませんですなあ。

ですから、昔から花形職業のひとつとされるフライトアテンダントを専ら扱ったドラマ、

例えば「アテンションプリーズ」や「スチュワーデス物語」などよりも、

「TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜」で扱われた管制官の仕事を垣間見る方がよりそそられるような。

 

もちろん、ある職業を描いて見せる場合には大いに誇張されていたり、部分的にしか扱われなかったり、

本来その業務に携わっている方が見れば「なに、これ?!」とも思うところでしょうけれどね。

これは、わりとつい最近におのが職業についても感じたところですので、難しいところであろうなあとも。

 

と、いったん離れたお話を「ハッピーフライト」に戻すとしますと、

フライトのシーンでは副操縦士が機長への昇進のかかる実地試験に臨む想定でありましたですね。

操縦練習にはフライトシミュレータもあるわけですが、機械でうまく行っても本番に弱いようでは厳しい。

 

当然にして実際のフライトで実地試験が行われるのでしょうけれど、

車の運転免許ならば同乗者は教習所の教官くらいですが、大勢の乗客を乗せている実機となれば、

いやあ相当なプレッシャーでありましょう。

 

機長アナウンスで「今日は副操縦士の試験フライトです」と告げることはなかろうと思いますが、

こういっては何ですが乗り合わせたくはないような。だからといって、経験豊かな機長であっても、

フライトの環境は毎回異なるのですから、絶対は無い。今さらながら、「命、預けます」状態で

飛行機に乗ってきたのであるなあと思い返したような次第です。

 

でも、これってリスク度合いに些か異なる点はあるものの、列車やバス、はたまたフェリー、タクシーに至るまで

我が身を委ねる点では同じなのであるなとも、今さらながら。

 

そして、その点ではとかく運転・操縦する人に目が向いてしまうものの、

整備の方々などの働きもまた万端怠りないものがあって初めて

安全安心(ん?どこか聴いた言葉だな)な旅が適うのであるなと思い至ることになったのは、

この映画のおかげというべきかもしれませんです。