なぜだか不思議と、蔓延防止や緊急事態宣言やらの移り変わり時期に当たる読響の演奏会。
今回も翌日から緊急事態宣言へと移行する日に当たっておりましたよ。
あいにくと協奏曲のソリストが来日できなくなって、当初予定のプログラムから変更が生じたものの、
代わりに演奏されることになったのがなんと!藤倉大作曲「筝協奏曲」になるとは。
ソリストは昨今TVで結構な露出度のあるLEOであるとは、話題性はこちらの方が上でありましょう。
そんなわけで楽しみにしていた演奏会ではあったのですが、
よんどころない事情によりチケットをふいにすることになってしまい…。
7月10日土曜の方の、同演目の演奏会後には、4月に行われた無観客での世界初演の音源から
CDがリリースされるてな話が聞こえてき、何とも釣り落した魚の大きさを感じる次第でありまして。
そんなわけで、せめてもとLEOによる筝曲演奏をYoutubeなどで聴いていたりしましたですが、
本来的な筝曲演奏としてどうなのか?という判断は素人だけにしかねるものの、
見映えがいい、聴き映えがするという点では正しく筝曲への興味を持つ人の裾野を広げるであろうなあと。
「お琴」という言葉から受けるイメージを大きく変えるスタイリッシュさがありますものね。
Youtubeで聴いた曲の中で、今回の協奏曲を作曲した藤倉大の作曲による独奏曲「Ryu 竜」など、
このあたりを視聴すればよおく分かるところでもあろうかと。
曲の途中では、「あ!これ、にっぽんの芸能ではないかね」というフレーズも出てきますですね。
Eテレ「にっぽんの芸能」のテーマ曲は和洋折衷アンサンブルで、尺八の吹き散らす感じが
特に印象的な曲ながら、これに次いで筝も目立っておりますな。
やはり藤倉大による曲だけに、似ているフレーズもあろうかと思うところながら、
あまりに近いような気がしたものでありまして。
ところで、この「Ryu」という曲ですけれど、そういえばと思い出しましたですが、
2週間ほど前のTV朝日「題名のない音楽会」にLEOが登場して、演奏していたのでしたっけ。
そのときは「箏にうってつけなクラシックの音楽会」と銘打って、まさにLEOの独擅場でありましたけれど、
そこでドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」が演奏されたのですよね。
筝で演奏するのにうってつけの曲として選ばれたものでしょう、聴いていてなるほどと思ったものです。
が、そのときに思い浮かんだのはドビュッシーが生きた当時のジャポニスムの流行のことでして。
交響詩「海」の楽譜の表紙に、北斎の「神奈川沖浪裏」をもってきてしまうくらい、
ドビュッシーはジャポニスムに関心があったと思えば思うほど、その関心の領域は
果たして絵画だけだったんだろうかと。
今回演奏された「亜麻色の髪の乙女」は、ピアノ独奏で演奏されますけれど、
もしかしてドビュッシー、実は邦楽器の音色にも関心を持っていたのかもと思ったりしたわけです。
筝に馴染む作品という以上に、邦楽器の音色をイメージしながら曲作りをしたのかもしれん…などと
妄想が膨らんだりしたのでありますよ。果たして音楽のジャポニスムはあったのでありましょうや…。