武蔵野美術大学の美術館をひと巡りしているうち、あっという間に昼飯どきに。
あたりは他にも大学やら高校やらがあって、ちょっとした学生街的なるものであるとは
以前にも触れたところですけれど、そんな界隈にあるお店に入ってみたのですなあ。
昼どきながら他にお客もないようで、休日だけにこんなものかなと思っておりましたら、
「今日は何にする?」などと言いつつ大学生らしき女性二人が、
やがて(近所のおばさん?ふうの)女性ひとりがやってきたのでありますよ。
で、その最後の女性ですけれど、じいっくりメニューを眺めてオーダーしたのち、
お店の方を呼び止めて「すみません、写真を撮ってもらえますか。キャンディらしいあたりで…」と。
実は「キャンディ」というのがこの店の名前でありまして、懐かしげに語る女性とお店の方の、
漏れ聞こえる会話からして、その女性は近辺にある大学の卒業生であり、
かつてはこの店にお世話になったようすが窺えたりもしたわけなのですね。
おそらくは卒業後20年くらいかなと勝手に想像するところですけれど、
久しぶりに中に入ったら当時を思わせるようすに懐かしくなって写真を所望されたのかも。
20年(かどうかは分かりませんが)前にも、こんな内装だったのでしょうなあ。
ちょっと怪しいといいますか、ともするとうさん臭さを感じたりしないこともないですが、
このフリフリのドレープの印象とは趣を異にして、窓と向い合せになる部分(写ってませんが)には
さりげなくジミヘンのポスターが貼ってあったりもするという。
♪あの時の歌は聴こえない ひとの姿も変わったよ 時は流れた
言わずとしれたガロの「学生街の喫茶店」のワンフレーズですけれど、
流れる音楽は(いつまでもボブ・ディランというでなく)変わりましょうね。
よほどのこだわりがあれば別ですけれど。
それに対して、壁に貼ったポスターの方はついついそのままにしてしまうかもしれません。
アイドルのブロマイドのようなものであればともかく、ジミヘンのポスターはデザイン性もあり、
仮に「この人、誰?」であったとしても、飾っていておかしいこともないですし、
貼り続けるこだわりをさりげなく主張しているようでもあり、全くそのまま手つかずなだけかもとも思わせる。
どうとでも受け止めようがあるわけです。
されど、そんなところが懐古トリガーとなるのでしょうなあ。
先の女性も「キャンディらしいところで…」と言って、ジミヘン・ポスター側を背にしていたようですし。
ところで実はこのお店、「モヤさま」で取り上げていたのはここかと以前一度入ってみようとしたものの、
むしろ番組で紹介されなかったすぐお隣のお店に肩入れしてしまった経緯がありましたですが、
同種のお店が隣合わせでよくまあ共存できているものだと思うところながら、
かつて学生街と言われたような場所には、たくさんの喫茶・軽食の店があり、
どこにもそれなりの常連がいたわけで、何気なく住み分けされて、
先輩から後輩へと受け継がれているのかもしれませんなあ。
とまあ、かようなお店でもって食したランチはこちらでございます。
とりモモカツのサワークリームオニオンチーズ掛けという長い名前に惹かれて(笑)。
そも「モヤさま」でも、料理のボリュームに大騒ぎしておりましたですが、
確かにがっつり系ですな。でもこれ、お隣も負けていない量でありましたよ。
学生時代にはこうした食事をわしわしかき込んでいたのでしたかなあ。
ただ1,000円に近いこのメニューは学生には無理だろうと思えば、コロッケ定食500円というものも。
もしかすると、この定食の値段、何十年も変わってなかったりするのではないですかね…。