昨日の東京新聞夕刊を読んでいて、「うむむ…」となってしまいましたなあ。
二つの記事の間にある落差があまりに大きかったものですから。
ひとつは例年、米誌「フォーブス」が発表する世界長者番付の2021年版のお話。
「コロナ株高 富裕層膨らむ資産」という見出しのもと、
アマゾンCEOの資産が1770億ドル(約19兆円)を世界一として、テスラCEOが1510億ドル、
ルイ・ヴィトン・グループの会長が1500億ドル、マイクロソフトの創業者が1240億ドル、
フェイスブックCEOが970億ドルの資産額であると続き、日本でもソフトバンクの会長兼社長が
454億ドルの持っていると伝えておりました。
「新型コロナ対策の金融緩和策を追い風にした株価上昇で、株式などを多く持つ富裕層の資産額が
一段と膨らんだ」と説明されているわけですけれど、このご時勢、こんなコロナ太りがあろうとは、
なにか変だと思わざるを得ないところではなかろうかと。
新型コロナウイルス感染症の広まりが伝えられ以降、人の往来が世界中で制限され、
人が動けずにいることで日々の生業にも事欠く人たちがたくさんいる中で、
ただただたくさん資産を持っている人たちだけが事実上何もしないでその資産が増えていくとは…。
元来、資本主義とはそういうものしょう、ただただたくさん資産をもっていることがどんだけたん変なことか、
そんなふうにも言えるかもしれませんけれど、何度も繰り返し触れてはいることながら、なんだってそれほどに
資産が集中してしまうのか、そのシステム自体がおかしいことに、資産を持っている人たちが気付くべきでは
ないのでしょうかね。
これほどまでに集中しなければ、その分、いろんな方面にそのお金は回るのでしょうから、
蓄積されることそのものに、そもそものシステム障害があるに違いないのですが。
と、頭の中が「?」だらけになっておりますと、この記事を見かけた新聞の反対側の面には
「入管収容半年 死亡の女性訴え届かず」という記事が載っておったのですなあ。
出入国在留管理局の施設に収容され、どうやら十分な医療も受けられないままに亡くなったスリランカ女性の話、
どこの話?って、日本の話なのでありますよ。
そもそもこの女性は不法滞在だったのだから、ということはあるにせよ、
だからといって死にゆくままにしていいはずもなく、それ以前になぜ不法滞在に及んだかといえば、
「母国からの仕送りが途絶えて学費を払えず千葉県内の日本語学校を退学、在留許可を取り消された」から。
ここで身近にいた人たちにも「何とかできたのでは…」と言うは易いことですけれど、必ずしも現実的ではない。
なにより訃報を耳にしたときに「何かできたかも」と考えてしまったのは、近くにいた人たちでしょうし。
と、ここで言うことも現実的ではないものの、あの記事、この記事を個のレベルで具体的に結びつけるわけでなく、
大きな枠組みとして見た場合に、方や有り余る資産があり、方や日々事欠く思いをしている人たちがいる。
これがなんとかならないか、といってなんともなりそうにないことに「うむむ…」の思いを禁じ得なかったわけでして。
個人的な話として、どうした気の迷いであったのか?先日お話にならないくらいきわめて些少ながら、
国境なき医師団に寄付をしました。寄付を募る側とすれば、大口であるにこしたことはないわけで、
そんなことを考えると、大資産家たちもそれぞれに社会貢献的なことはあれこれやっているではないかとなるも、
たくさん集まったから還元しているというふうになる以前に、誰しもが平穏に生きていける社会システムでこそ
あるべき姿なのではないですかねえ。
今起こっていることは世界規模の大問題、大災難であって、それだけに世界規模での大変革が必要なはず。
それなのに従来通りのシステムがのうのうとあること自体、(神の存在は信じていないものの)神の怒りなのでは、と考えてしまったりしたのでありますよ。