世にあれこれと「三大何々」といったものがありますなあ。例えば「世界三大古戦場」とか。

これが、ナポレオン戦争のワーテルロー、アメリカ南北戦争のゲティスバーグ、そして関ケ原であるとは

「ほんとかいね…」と思ってしまうわけですが、三者そろい踏みとなる中ではその三者の顔触れに

衆目一致の共通認識があるとは限らないてなことも、ままあるもので。

 

と、「日本三名瀑」なるものもあるわけでして、和歌山県の「那智の滝」、栃木県の「華厳の滝」に加え、

茨城県の「袋田の滝」であると一般に言われるも、これには異論があるようで。

 

突然に切れ落ちる断崖に出た水流が相当な高度さでもって落下する…いかにも滝らしい光景が

那智の滝と華厳の滝にはありますな。そんな滝のありようと、袋田の滝はちと違っているようす。

そんなこともあって、いざ袋田の滝を訪ねるにあたっても「日本三名瀑」のひとつとされることに

いさささ眉に唾するような気分でもあったりして…。

 

 

ちなみに滝を続くトンネルの入場券ににある写真はこんなようすでして、

袋田の滝が「四度の滝」とも言われることを想像しやすい画像ではあろうかなと。

滝が四段階に落ちてくるから「四度の滝」、また一説に西行が言ったこととして、

この滝は四季折々、季節ごとに来てに見るのが良い、だから四度の滝…とか。

 

自然に囲まれた穏やかなようすが浮かぶも、だからといって三名瀑?!と思っていたわけですが、

ともあれトンネルへと入っていきます。

 

 

このトンネルは、洞門のようにところどころ外が見えるというわけでない完全なる隧道ですので、

まったく景観を得られないままにゆるやかなスロープを登っていくことに。

すると、だんだんと遠くから滝からであろう音が聞こえてきますので、気分としてはいささか盛り上がりつつ、

やがてその音がやけに巨大になったところが第一観瀑台への出口だったわけですが、

さて第一観瀑台の方へと出てみれば…。

 

 

やはり写真だけでは想像がつきにくいかもしれませんが、上の入場券に見る滝と同じもの?というくらいに

圧倒的な水量が轟音とともに落ちてきているのでありました。

確かに昨晩は夜半から土砂降りと思える雨が降り続いていたように思うところながら、

だからと言ってここまで圧を感じる水流であるとはいささかも想像しておりませんでしたですよ。

 

 

でもって、第一観瀑台からトンネルへ戻った奥の方にあるエレベータで、

もそっと高い地点から滝を見下ろすことのできる第二観瀑台へと向かってみますと…。

 

 

滝との距離が遠のいた分、威圧感はいささか薄れたものの、

全体像を見るに及んで滝の「ワイルドさ」を思わずにはいられないのでありましたよ。

高いところからすとんと水が落下することこそ滝らしい…てなことを言いましたけれど、

山中深くから忽然と、これほどの存在感を持って流れ落ちるさまには日本ではない、

それこそアマゾンとかどこかにでも紛れ込んだような気にもさせられるところです。

 

また、その成り立ちとして元々は海底火山であったところの一部が隆起して、

滝が今、流れ落ちている斜面の岩盤があるといったことを知りますと、

地球のダイナミックな活動の一端に思いを馳せたりもすることになりますなあ。

 

ちなみに帰り道はトンネルを途中から離れて、川の対岸の山道を下りましたですが、

その川を越える際に渡るのがこちらの吊り橋ですな。2時間枠のサスペンスドラマでお馴染み、

この橋からよく人が突き落とされるシーンがあるようでして。

 

 

ということで、袋田の滝に対する認識をすっかり改めることになりました。

まさに百聞は一見に如かずと申しましょうかね。

ただ、水量がさびし~い時に見ていたとしたら、果たして印象はどのようであったか…。

それは想像しても詮無いことでありますな。