昨年の暮れ近くでしたか、JR国立駅前をいのししが疾走したという動画が広まったりですが、

このことは、それ自体が珍しいからこそだと思うわけながら、栃木県那珂川町では

おそらくようすが異なるのでしょうなあ。

 

ちょうど昼どきと立ち寄りました「道の駅ばとう」(那珂川町は馬頭町と小川町が合併したので)には

「いのしし料理」ののぼり旗が翻っておりまして(翻っているので文字が反転してます…笑)。

 

 

こうした道の駅や高速のSA・PAでは地元特産の食材を使ったご当地料理を

よく目玉にしていることがありますけれど、ここではいのしし料理押しでもあるようで。

何しろいのしし料理に使われる肉には『八溝ししまる』というブランド名まで付いているのですな。

「FIT」(福島・茨城・栃木)というWebサイトにはこんなふうに紹介されておりますよ。

『八溝ししまる』とは、那珂川町を含む八溝山系地域でとれた野生のイノシシのお肉です。元気に自然豊かな八溝の野山を駆け回り、美味しい山の幸を食べたイノシシなので質の良いお肉がいただけます。

養豚場ならぬ養いのしし場のようなところで育てられたのではなくして、野生のいのししであると。

野放しでは農作物に被害が出ることもあるのでしょう、こうしたことへの対応としていのししを捕獲し、

その肉を特産品にする…とまあ、一石二鳥的発想ではありそうです。

 

ただ特産品として注目されることで需要が高まると、

結果乱獲が生じて身もふたもないことになってしまうのでは…と、先の先まで想像は及ぶものの、

(こういっては何ですが)全国区としてもてはやされて品薄になるてなことは予め想定外なのでしょうね。

里山に住む動物たちとの適度な?共存のための策であるのかもしれません。

 

ということで、その「八溝ししまる」を使った料理を昼飯にしようと道の駅併設のレストランに入りますと、

「八溝ししまる薬膳カレー」、「いのしし丼」、「ししまるそば」といったメニューがありましたですが、

どのみちその晩もまた温泉旅館の宴会的料理が夕食になることが予測されておりましたので、

昼はあっさりと「ししまるそば」としておくことに。

 

 

とはいえ、予め食肉用として飼育された豚の肉とは違いまして、

山野を駆け回ってしっかり運動したであろういのしし肉はなんとも腹持ちのよさそうな。

ちなみにパッと見、ギトッっとしているように見えるのはつゆがあんかけだから。

 

一般にいのしし肉の調味には味噌を使う(臭みを消すためですかね)のではと思うところですが、

見た目より、また思ったよりもしつこくなくて、あっさりと完食してしまいましたですよ。

 

ところで、道の駅ばとうで見かけた那珂川町の特産品には「温泉とらふぐ」なるものもありましたですよ。

なんでも「塩分を含む温泉水で養殖」するという「温泉とらふぐ」は那珂川町が発祥の地であるそうな。

 

と、もうひとつ。道の駅の店頭でめだかの販売が行われていたのですなあ。

これも特産品なのでしょうか。もっぱら観賞用としてみると、なんとも多品種であるような。

 

しかしまあ、めだかというのも普通にそこらの小川で見かけるものとばかり思っていましたが、

そういえば「めだか」という魚の名前を聞くことが無くなって久しいような。

童謡の「めだかの学校」も小学校で唄ったりすることはあるんでしょうか。

唄っていたとしても、「めだか、見たことない」という子どもいたりして…。

 

里山のある日本の原風景とでも申しますか、そんな場所がすぐそばにあってこそ、

その歌詞にも馴染む感覚が生まれるように思いますけれど。

那珂川町にはそんな風景が生き残っているということがあるのかもしれませんですね。