さて、観覧券を購入し、勝浦名物?の海中展望塔へと行ってみることに。
ですが、これがなかなかたどりつくまで思ったよりも時間がかかるのですなあ。
なんとなれば、海の中に立っている塔まで崖を回り込んで続く歩道橋をたどっていかねばならんのでして。
スカッと晴れておれば、また印象も変わるのでしょうけれど、
こうもどんよりしておりますと岩肌の荒々しさが際立つと申しましょうか。
陸地からは60メート離れた沖合いに立っているということで、最後は海原の中へと続く橋でもってアプローチ。
60メートルなどさほどのものでも…と思うところながら、周りが完全に海となるといささか思うところは変わりますな(笑)。
でもって、水深8メートルの海底から立ち上がる展望塔の入口部分は水面からやはり8メートルほど高い。
これを階段でもって(オープンから40年近く経っていますのでエレベータなど無し)ずんずん下りていきますと、
やがて「これより海中」の表示が。
といっても、この段階ではまだ外は見えないのですけれどね。
海の底まで到達すると、あたかも潜水艦の中のようなふうになっておりましたよ。
と、そもそも勝浦に来たからここに寄ったというものでして、
最初から大きな期待があって臨んだ場所ではない…ということが幸いしたことには、
何しろ外のお天気がどんより優れない状況でありながら海の中だけ見通しが良く…てなこと、あるはずもなく。
むしろ魚の側から、ヒトのいるこちら側を覗く方がよく見えたりしたかもですね。
だからといって、魚たちがこぞって窓から覗き込んでいたわけでもありませんが、
(そんな状況があったら、ヒチコックが「魚」という映画を撮っていたかも…笑)
では魚たちはいずこ?と思ってみれば、こちらにいたのですなあ。
群がってる、群がってると、それもそのはず。海上から餌の入った籠を吊り下げておって、
それを目掛けて魚が集まっているという。確かに海中に魚が見えなかったら寂しいわけですが、
それにしてもこのように集まっていても、またなんだかなあとは…。
てなことで海中探訪もそこそこに外の世界に戻ってきました。
イラストの魚だけはさすがに愛想よく?「またね!」と言ってるかのごとしですけれど。
またまた連絡橋を渡って岸へと戻りわけですが、その折、往路にはピンと来ていなかったものに気が付いたという。
岩場に穿たれた穴がずいぶんきっちり四角くって、人工的な印象でありますね。
それは…人工的に造られたからであるわけでして。
なんでも明治から大正にかけて、イワシの追い込み漁に使われた生け簀であるとのこと。
そこらじゅうでたぁくさん見かけられるのですけれど、ここで生け捕られたイワシはヒトの食用というより
マグロやカツオの漁にエサとして使われたというのですから、
やはり勝浦のカツオ漁は大きな存在だったのでありましょう。
関東大震災を起こした地震で地盤が隆起し、使えなくなったとか。
昔日はここで捕れたエサを積んだ船が大漁旗を掲げて帰ってきて、船主は万祝で寿いだ…などという
勝浦の昔をしのぶよすがでもあるのですなあ…。