お天気が移り変わるのは思うに任せないものですけれど、
彩の国ふれあい牧場 のある外秩父の山を越し、平地にさしかかる頃には
雨はあがってきたようす。まあ、都合よくばかりはいかないものです。


さて、山をおりたところは埼玉県秩父郡東秩父村、
和紙の里として知られるようでありますね。
そんなところに文字通り「和紙の里」なる施設がありましたですよ。


東秩父村和紙の里

ちなみに東秩父村の和紙は「細川紙」と呼ばれて、およそ1300年の歴史と伝統がある。
ということなんですが、論拠としては「宝亀五年(744年)の正倉院文書に武蔵紙の記録が
見られることから」ということで。


一般に小川町でも作られる和紙は「小川紙」と言われるようですが、
その中でも細川紙は「小川和紙の銘品」とされて、
2014年、日本の手漉和紙技術がユネスコの無形文化遺産に登録されたときに
対象とされたのが「石州半紙」、「本美濃紙」、そして「細川紙」なのだとか。


この三つの和紙に共通するのは、原料に楮(こうぞ)だけを使っているという点でしょうか。
以前、国文学資料館で見た「和書のさまざま」 という展示の中で、和紙の原材料として
雁皮、楮、三椏といったものを挙げていて、その場でそれぞれからできた紙を見た限りでは
雁皮を材料にした「斐紙」がもっとも高級そうであるなと思ったわけですが、

そうした高級感とは関わりなく?楮を原料とした紙漉きの技術が選ばれているのですな。


では、他の材料に比べて特段の技術的困難さが伴うのかと思いますと、

(Wikipediaの受け売りですが)どうやらそうでもない。では、いったい??と。


結局ところ、文化庁・国立情報学研究所による「文化遺産オンライン」によりますと、

ひとつには国指定重要無形文化財「手漉和紙」(保持団体認定)となっていること、

そしてもうひとつは「伝承者養成、資料収集整理、品質管理、原材料用具確保、

和紙制作技術研究を目的とした各事業を実施」するといった保護措置を講じていることが

どうやらこれら三種の和紙に言えることのようでありますよ。


とまあ、東秩父村の和紙はかようなものでして、

それを広く知ってもらうための施設でもあるのですね、「和紙の里」は。

ですから、こうしたところにはよくあるように紙漉きの体験ができたりするわけです。

意欲的もこれに手を挙げたのが母親でありました。


和紙作りに関わる昔ながらの機械が置かれた工房部分は

「勝手に撮らないで」とありましたので、手元のクローズアップだけになりますけれど、

工房の職人さんのご指導のもと、水に溶いた紙の元がたっぷり入った「すき舟」から

ざっくりとすくい上げるのですなあ。



これを別の台に移してさしあたり手で押すくらいの水切りをし、

そこへ施設の裏庭から好みに応じて摘んできた花や葉を飾り付けていくという。

多少?生け花をやっていたという昔がよみがえってきたか、

せっせと取り組んだ結果はこんなふうになりました。



紙漉き体験として参加者がやるのはここまで。この上に職人さんが漉いた薄い透けるくらいの紙をのせ…となるんですが、この薄い紙を漉く職人さんの手わざが実は見どころかと。


で、乾燥させたものを後日郵送してくれるとなりますが、送られてきたものがこちら。

なかなかよく出来ているのではなかろうかと。母親も満足でありましょう。



ちいさな旅のいい思い出になったに違いありませんなあ。