とまあ、オランダの小村ヒートホールン を訪ねたわけですけれど、

村いちばんの展示施設であるヒートホールン博物館を覗いてみることにしたのでして。


ヒートホールン博物館


広めの敷地に点在する建物一切が1900年頃にヒートホールンで見られた

典型的な農場の姿をとどめているようでありますよ。

最後の持ち主であったヘンドリク・マートに因んで「't Olde Maat Uus」と呼ばれているそうな。


ちなみに「't」は定冠詞「het」の省略形のようですが、「olde」と「uus」が判然としない。

想像するに「olde」は「oude」の、「uus」は「huis」の古い形か方言的なものかでありましょうかね。

さすれば「het oude Maat huis」、つまりは英語でなら「The old Maat house」となりますから

なるほど!なわけですし。


早速に大きな母屋と思しき建物に入ってみますと、当時の農作業に使われたものやら、

はたまた入用のものは何でも自分たちで作ってしまったであろう工具類などが展示され、

往時のようすを偲ぶよすがになっているのですなあ。





ちなみに一番下に鎌とともに束で展示されているのは葦ですな。

水辺にはたくさん生育しますので、これもまた立派な農産物であったわけですね。

一方、ヒートホールンが開かれるきっかけとなった主産品がこちら、ピート(泥炭)です。



左側の方が「peat bog」、右側の方が「peat moor」というらしい。

ちと見た目も異なりますが、何より違うのは取れたところが違うということでしょうか。

「bog」も「moor」も、いずれも湿地を意味しているようながら、

その深みというか、より水の多い土地が「bog」であろうかと。


違いのほどは「触って確かめてみよう」と書いてあったのですが、うっかり手を出さず。

感触をお伝えできないとはしょうもないレポですなあ(笑)。


と、居住空間の方へ目を向けてみますと、なんだか居心地がよさそう。
1900年頃の農場のお宅は日本の一般的な家よりもこぎれいで快適そう、
豊かな印象さえ受けましたですよ。




ただ寝る場所は寝室というよりも押し入れに近いような。
当時の人たちというのは脚を伸ばさずにひざを曲げて寝ていたそうですから、
こうした大きさで済んだようですね。



さて、今度は屋外展示の方へ。
別棟の離れは、息子夫婦にでも代替わりして隠居したのか、
老夫婦のセカンドライフハウスという感じでありますね。
老後に慎ましく足るを知った形で暮らしていくにはいい感じではないかと。




他には、船が大事な交通手段だっただけに水路への上げ下ろしに使う巻き取り機や

水をくみ上げるためのものと思われる風車もありましたなあ。



そうそう、古きオランダの生活を偲ぶという点では木靴を試しに履いてみるという体験も。

何せ素材が木ですから、かっちかちの履き心地と思いましたが、さほどでもない。

きつくないためにはゆるっとしたフィット感になりますから、厚手の靴下で臨めばOKかと。

もっとも長く履いて歩くと、かかとの上あたりで靴擦れしまくる感じもありますが…。



とまあ、かような見聞と体験のあったヒートホールン博物館ですが、この後は

水路沿いをもそっと散策した後に、バスでアムステルダムへと戻って行ったのでありました。