さて山梨に行ってきたお話でありますけれど、
ゆったりめに出かけてJR中央本線の山梨市駅 に到着したのはちょうど昼時でありました。
山梨で昼めし処を探そうとしますと、とかくほうとう屋さんがひっかかるんですが、
ほうとう を食べ比べるつもりならいざしらず(そういう手もありますが)、
一泊二日で今日もほうとう、明日もほうとうではなんだかな…と見つけ出したのが
造り酒屋併設の食事処「酒蔵ごはん&カフェ酒蔵櫂」、まずはそちらへと向かうことに。
門構えからしてなかなかに和風テイストを全面に押し出しておりますな。
くぐったさきの建物はこんな具合。二階が食事処になっているようです。
しかしまあ、なんだかがらんとして「お客さん、いないの…」と心配になりかかったところが、
全く杞憂でありました。二階へ上がる靴脱ぎを見れば、繁盛ぶりが窺えるわけで。
昔ながらの建物をそのまま利用しているので、
バリアフリーなんつうわけにもいかず不便なこともありましょうけれど、ともあれ二階へ。
いやあ、ほぼ満席の状態。後から来た人たちには「いっぱいです…」と言われてました。
そこここに灯りはあるものの、基本的に明かり取りが少なくく暗いので、
窓際の席を予約するというのがベストなんでしょうなあ。
そそくさとオーダーを済ませて、食事にありつくその間に早速「利き酒セット」をば。
すきっ腹とはいえ、造り酒屋さんですからねえ。
酒蔵としては「養老酒造」という名称でして、そこのお酒が5種類。
上にひとつだけあるぐい呑みには、お湯が入っておりまして、
左端のお酒が燗にも良いということで、燗を試してみるためのもの。
あんまり温まらなかったですが…。
ほんわかしてきたところで、看板メニューの「蔵元ごはんセット」の登場。
鮭の粕漬け、豚の角煮、粕汁、香の物、雑穀米、そしてデザートには酒のアイスと、
造り酒屋らしさをしっかり演出しておりますなあ。
中でも、酒に肉を漬け込んで作ったという豚の角煮は旨かった!
量がたっぷりすぎという方にはこの角煮とごはんのセットもありますですよ。
(と、なぜか宣伝にまわっている…)
と、食事の後は蔵の方を見せてもらったですが、
時季的に仕込みが終わったところでがらんとした印象。
とりあえずこれが原料の米を蒸すお釜です。
印象としては「ずいぶん小さいんでない?」と。
ですが、それもそのはず(と言っていいのかどうかですが)養老酒造は
ご主人がたったひとりで酒造りをしているのだとか。
蔵元兼杜氏兼作業員なのだそうですよ。
それにも関わらず、かような品揃えを作り上げるのは大変なことでしょうなあ。
しかもご本人は酒が飲めない体質であるらしい。
飲み込まなければ利き酒は大丈夫ということで、バリエーションを生み出せるようです。
個人的には利き酒セットの結果として、「玉笹」が欲しかったところながら在庫切れ。
現在のご主人が蔵元六代目ということもあってこだわりのあるという「六波」を奨められ、
個人事業主応援!の気持ちも込めて、頂戴して参りました。
たった一人でやっている酒蔵で、お子さんは娘さんがお二人(あたりを駆け回ってました)。
どちらか、あるいは両方かで「養老酒造」は引き継がれていくでありましょうか。
酒造りにはあまり向かない気候とご主人のおっしゃる山梨市の酒蔵は
どうなっていくかいねえ…と余計な心配をしながら、
満腹のおなかを抱えて酒蔵を後にしたのでありました。