フランスへのサイドトリップ と言ってウンターリンデン美術館 の話ばかりでしたですが、
さてとコルマールの街なか歩きということに。


アルザス地方のコルマールは、
1226年には神聖ローマ帝国の帝国自由都市になっていたという古い由緒のある町でして、
つうことはオリジン的にはドイツ寄りな気がしないでもないですね。


双頭の鷲の紋章


ですが、三十年戦争終結時のウエストファリア条約でアルザス地方はフランス領となって以降、
普仏戦争の結果として1871年ドイツ領になり(ドーデの「最後の授業」はこの時期のことですね)、
第一次世界大戦ではフランスが奪い返し、第二次大戦時はフランスの降伏でドイツ領に戻り、
この大戦がドイツの敗北で終わるとまたまたフランス領に…という紆余曲折に
翻弄された町のひとつといえましょうか。


ですが、今では古い街並みが人気を呼んで、
ドイツからもライン川を渡って続々とやってくる観光の町にもなっておりますね。
そんな賑わうコルマールをぐるりひと廻りしてみようと、そういうわけでありますよ。



ウンターリンデン美術館前の広場から歩き始めてすぐにも、
あたりはすっかり木組みの家並みになってきますけれど、
そんな中にも歴史的由緒のある建物には説明の解説板が立てられている。


しかもツーリスト・インフォメーションで入手できる観光マップに示されているのと
同じナンバリングがされているというのが観光の町らしいところでありますね。
(ちなみに日本語の観光マップもあり、以下の建物名はそのマップに拠ってます)


メゾン・デ・テート


で、そんな観光マップに示されている建物のひとつが
この大きな出窓が特徴的な「メゾン・デ・テート(Maison des Têtes)」でありました。


メゾン・デ・テートの出窓部分


コルマールのワイン取引所として使われていたことから
破風の天辺にはアルザスの樽職人の像が置かれていますけれど、
それよりも目立つのはファサードをたくさんのマスクが飾っていること。
「メゾン・デ・テート(頭の館)」と呼ばれるのはそこから来ているということです。


ドミニカン教会


と、路地の間から顔を覗かせている大きな塔はドミニカン教会のもの。
なんでもこの教会を建てるための礎石をハプスブルク家のルドルフ王が1283年に置いたのだとか。
やっぱり帝国ゆかりの地でありますなあ。



と、迷路のような路地をうろちょろするうちに出くわしたのが、
またまた変わった出窓を持つ1537年築の「プフィステールの家」という建物。


プフィステールの家


個人的には記憶はありませんですが、映画「ハウルの動く城」にこのままの姿で登場している由、
アルザスにロケ・ハンしたからのようですね。


旧プロテスタント牧師館


お次もまた個性的な出窓…というより、もはや壁に塔がへばりついている感じですが、
通りの奥に見えているのは旧プロテスタント牧師館、1606年築ということです。


というところで、続いては建物でなくしてモニュメント。
いずれも噴水の上に像が置かれた形でして、まずは「シュウェンディの噴水」。

シュウェンディの噴水


像のようすがはっきり見てとれないものと思いますけれど、
神聖ローマ帝国の将軍であったラザール・ド・シュウェンディは
コルマール近郊のホーランズブールというところに領地を得ていた人だそうで。


言い伝えでは手に持っているのはぶどうの木であって、
ハンガリーでの戦闘の際にトカイワインを持ち帰ったことに因むということですが、
アルザスでは貴腐ワインも作られているのですかね…。


ローゼルマンの噴水


もひとつの像もまた逆光でシルエット状態ですが、こちらは「ローゼルマンの噴水」というもの。
何となく古風な鎖帷子のような出で立ちだとはご覧いただけるかも。

帝国自由都市だったコルマールをストラスブール大司教側が簒奪せんと試みたのか、
町の自由を守る戦いで奮戦し、死を遂げたジャン・ローゼルマンを讃えているようです。


そんなこんなのうちに旧市街の町外れまでやってきますと、
そこには「プティット・ヴェニズ」と呼ばれる一角が。要するにリトル・ヴェニスですな。


プティット・ヴェニズ


ロシュ川の流れぎりぎりまで建物が立ち並び、水辺との距離が近いところから
ヴェネツィアに擬えたものと思いますが、うむむ…の感無きにしも非ず。
ボート(ゴンドラでなく)に乗って遊覧も出来るようではありますけれど。



とまあ、コルマール旧市街のほんの一端をご披露申し上げましたですが、
実はこの日も相当に暑い暑い日だったのでありますよ。

そこで、道端で売られていたアイスクリームに飛びついたところ、
さっぱりレモン味がいいねとついドイツ語で「ツィトローネ」と言ってしまったら、
「シトロ~ン?」と鼻に抜けるような言葉が返ってきたという。フランスですなあ(笑)。




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