ということで千葉県野田市
にやってまいりましたが、
駅前からして早速に見えるのがキッコーマン野田工場でありまして、
外壁沿いに歩くことしばし、正面に廻ってみますとこんなふうに見えてきます。
工場受付で「御用蔵を拝見したいのですが…」と来意を告げますと、
いささか怪訝そうに「工場見学はよろしいのですか?」と聞かれ、
今度はこちらが怪訝に思うというひと幕。
予めHPで「工場見学は2名からで要予約」と見ていたものですから、
端から工場の方は諦めており、一人でも自由見学が可能となっていた
「御用蔵」を見せてもらうつもりでいたわけですが、
どうやら一人でも予約が無くても(予約無しでいいのは一人だったからかもですが)見て廻れる由。
そうであれば、せっかく来たのですから立ち寄るに如くは無しでありますね。
受付の方の案内通りに「もの知りしょうゆ館」と看板のある入口へ向かいますと、
もはや出迎え態勢ばっちりという見学コースが設えてあるのですなあ。
入口で手渡されたリーフレットによりますと、こんな順番で見て回ることになるようですが、
最初のビデオ上映はある程度の人数で予約して来た場合のみであるようですね。
とまれ、基本的な工程はさもありなむと思うところながら、
蒸した大豆、炒った小麦に種となる麹菌を植えつけて繁殖させる、
これを「製麹」と書き、「せいきく」と読むのですなあ。
ちなみに「こうじ」の漢字には「麹」と「糀」の2種類がありまして、
字面的に「麹」には「麦」があるから麦系のこうじで、
「糀」は「米」が付いているから米系のこうじかと思ってしまいそうですが、
本来は「こうじ」と言えば「麹」であって、「糀」の方は特に「米こうじ」を表さんと
明治になって作られた国字なのだそうですよ(漢字じゃないわけですな)。
でこの麹菌、老舗の飲食店によくある「注ぎ足し注ぎ足しの秘伝のたれ」ではありませんが、
醸造元独自のものがあちこちにあるのでしょうか、
少なくともはキッコーマンではキッコーマン菌と言ってますから。
これによって、しょうゆ麹となった原料を食塩水に浸してかき混ぜる。
「諸味(もろみ)」と呼ばれる段階で、自然と発酵が進んでいくということですが、
発酵段階による臭いの違いをサンプルで嗅いでみますと、
どんどん濃厚になっていくのが分かります。
もっとも、醤油というよりは味噌に近い印象ですけれど(まあ、兄弟のようなものですが)。
今回の工場見学で最も「ほお~」と思いましたのは「圧搾」の段階でありますね。
熟成した「諸味」から醤油を絞り出すわけですけれど、
諸味を布に包んで圧力を掛けて搾るのだそうで、「布かあ~」と。
何でもかんでも機械化されている製造工程の中にあって、
布に包んで搾り出すというのがなんともレトロというのか、昔から変わらない、
あるいは変えようがない部分なのかなとしみじみ思ったようなわけでして。
最終段階の容器詰めから出荷準備のあたりでは、何でもオートメーション化されていて、
容器を洗浄し、醤油を詰め、蓋をしてプラスティックでカバーをし、ラベルを貼って、
6本まとめて段ボール箱に入れ、箱に封をして、パレットの上に崩れにくい形で並べていく。
これが全部自動なんですからねえ、それぞれに対応する機械をよく作ったものだと
醤油造りより機械というモノ作りにこそ感心してしまう場面があったりもするのでありました。
ところで、小学校の社会科見学で来たときのことを思い返してみれば、
見学で「見た」ことはおよそ覚えていないにも関わらず、濃厚な醤油の臭いといいますか、
これがきつくて、みんなして「しおしおのぱぁ~」状態になったことばかり思い出されます。
今回の見学ではビデオを多用して、実際の作業場が覗けるところも全てはガラス越し。
およそ臭うといったことはまるで無しだったのは助かったと思う反面、
その場で醤油が造られているという実感には余り繋がらないものだなとも。
まあ、これも見学する側の勝手な思いなわけでして、
無料の見学を見に来ただけでおみやげがもらえるのですから、贅沢は言えませんですなあ。
で、もらったおみやげがこちらですけれど、
小学校の時には醤油とソースの小瓶2本セットだったですが、
もしかして野田工場ではソースは造ってないのかもしれませんですね。


