さてようやっと、館林で最後に立ち寄った場所になりますが、
国の登録文化財となっている「分福酒造店舗」を利用した「毛塚記念館」であります。


毛塚記念館@館林


建物としては江戸末期のものと推定されているようでして、
その頃から今に至るまで酒造業を営んでおるそうな。


かつて帳場に使われていた1階部分は、今でも店舗として使われていますが、
分福酒造のお酒は館林の町中では普通に買えるようですので、
建物を覗きに来た観光客への対応用なのでしょう。


立ち寄ったときには入口に鍵がかかっていて、
「お酒購入の方は、隣のマンションの○○号室を呼んでください」との貼紙。

確かに裏側には、この記念館を「ちいさいおうち」のように見せている大きなマンションがありまして、
「ロイヤルセラーガーデン」という名が付いていることからすると、
いかにも持ち主は酒造家でもあろうかと思うところです。


で、昨今のマンションよろしく、ずかずか中には入れず、
入口のインターフォンに部屋番号を打ち込んで呼び出すようで、何度か試みるもどうやら留守。
ま、仕方がないなと帰りかけたところへ、「お酒ですか?」との呼びかけが。
大きな紙袋を提げて、買い物帰りでもあったようなお店の方が早速に鍵を開けてくれたのでした。


取り敢えずも中のようすを一枚、写真に撮らせてもらってよろしいかと尋ねるや、
「どうぞ、どうぞ」と言いながら、奥の板戸を開けてくれて
「箱階段が見えた方がよろしいでしょう」とご親切に。


毛塚記念館内部


なるほど開けてもらわなければ分からないところに、箱階段が隠れておったのですなあ。
と、こうしたことまでしていただいたからには、やはり館林土産の最後として
分福酒造のお酒をいただいて帰ることにしようとなりますですね。


純米吟醸「分福」


メインの銘柄と思しき「分福」の純米吟醸ですけれど、
特別なところは群馬県が酒造好適米として開発した「舞風」なる品種を用いたということで、
いかにも群馬県の土産物に相応しい一本なのではないかと思ったわけです。
(帰ってきて試してみると、飲み口が良くて癖も無く、あっという間に空いてしまった…)


と、そうそう、ここのお酒が「分福」という銘柄であることの謂れが「?」の方もおいでかと。
(ずっとお読みいただいている方には今さらですが)その答えは館林駅前にもあるわけで。


館林のゆるキャラ「ぽんちゃん」


館林のゆるキャラ「ぽんちゃん」は見てのとおりのたぬきでありまして、
頭の上にのった帽子状の蓋と胴体の部分とで茶釜を現しておりますね。


たぬきと茶釜と言えば、童話の「文福茶釜」ということになりますけれど、
館林駅のひと駅手前(東京寄り)にはこの話ゆかりの茶釜が保存されている茂林寺 がある。
ただし、お寺さんでは「福を分ける」ところから「分福」を使っているのですけれど。


ということで、館林のお話を長々続けてきましたですが、そろそろお終い。
公募によって選定された「関東の駅100選」のひとつである東武鉄道館林駅から帰途につくことに。
(駅の向こうに日清製粉 の工場が見えてますね。「天ぷら粉」の文字が見え隠れ…)


東武鉄道館林駅


館林に限った話ではありませんけれど、「そこで観光?」みたいな場所にも
その土地その土地の見もの聞きものが多々あるのだなと改めて思ったわけですが、
そうした一端がご覧の方々にも伝わりましたでしょうか。
長らくのお付き合い、深く感謝申し上げます。