先に「ロンドン劇音楽の黄金時代 」と題した演奏会を聴いたときに、
時代的にはやっぱりエリザベス朝であろうと思ったものですから、
これまでに見ていなかったケイト・ブランシェット 主演の映画「エリザベス」と
その続編たる「エリザベス:ゴールデン・エイジ」を見ておこうかいと思ったわけです。


が、ちいとばかし時間が経つうちに、
流れ的にはこれもひとつの女帝 ものということで繋がってるみたいな感もあり。
とまれ、2本続けて見終えたのでありました。


エリザベス [DVD]/ケイト・ブランシェット,ジェフリー・ラッシュ,ジョセフ・ファインズ エリザベス:ゴールデン・エイジ [DVD]/ケイト・ブランシェット,ジェフリー・ラッシュ,クライヴ・オーウェン


イングランド 王ヘンリー8世を父とするお姫様ながら、
母親アン・ブーリンは父の命で処刑されてしまった…という血筋なだけに
どうもエリザベスは浮世から離れて、というか離されて生きてきた感じでありましたですね。


ですから、自ら進んで王冠に手を伸ばすというでもなく、
たまたまスペイン王家の血も引いている異母姉のメアリ1ー世が

たった5年余りの在位で亡くなってしまったのは青天の霹靂でもあったような。


ただ、国教会を信奉するプロテスタントであるエリザベスとしては、
カトリック擁護の急先鋒たるスペイン国王フェリペ2世を伴侶とし、

自らもカトリックであったメアリー1世がプロテスタントに苛烈な迫害をもたらしたが故に

「ブラディー・メアリー」と呼ばれるような存在であったことに
心を痛めていたようでありますね。


一方で、メアリー1世としては自分の命が尽きようとしているときにも、
「カトリックを守ってくれ」とエリザベスに約束させようとする。
さすがにエリザベスも「自らの思うところのままに」てなことしか答えませんですが。

はっきり言って、エリザベスはカトリックへの不敬罪で

いつ処刑されてもおかしくなかったのではないかと。


それが降って湧いたように王座が転がり込んできたものの、

これまでの重臣はカトリックで固められており、あわよくばエリザベスを廃して、

スコットランド にいるメアリー・ステュアートを擁立しようとの画策も。


こうした険悪な取り巻く情勢がエリザベスを毅然とした女王として立たせる、
よく言われるように「国家と結婚した」てなふうなことになっていくのでしょう。


そうした決意を持って王座につくエリザベスの姿をもって1本目は終了しますけれど、
やっぱりここまでが長いプロローグてな感じでありましょうかね。


続く2本目になりますと、

かつては妻メアリー1世とともにカトリック連合であったイングランドがプロテスタントに

支配されることを快からぬ思いで眺めるスペインのフェリペ2世が黙っていない…てな感じ。


折しもスペイン商船を襲っては略奪を繰り返していたイングランドの船乗たちが折、
どう見てもスペインからすれば「海賊 」以外に何ものでもないにも関わらず、
例えばその中で有名なフランシス・ドレイク(世界周航でも有名)を

エリザベスはナイトに叙したりするわけですから、スペインが面白かろうはずもない。


そこで当時としては圧倒的な大国であるスペインとしては、
「あんな新興国はひと捻り」とばかりに大艦隊を建造・編成して北上を始めるわけです。


対するイングランドはそらじゅうからありとあらゆる船をかき集め、
兵士としても市民兵を束ねて迎撃軍を組織しますが、どう見ても勝ち目はなさそう、

後は気合てなところかと。


英仏海峡に姿を現したスペイン大艦隊は無敵艦隊とも言われるところですが、
イングランド側で頼りにされたのは、スペインからすれば「海賊」でしかないフランシス・ドレイクたち。
映画の中ではウォルター・ローリーがクローズアップされてましたですね。


どうにも敵わぬという状況の中、捨て身の焼き打ち船攻撃がスペイン艦隊の動揺を呼び、
加えて嵐で波風が大荒れとなったところに乗じて一気にイングランド艦隊が攻め込んで、
スペイン大艦隊はまさかの壊滅状態に。


1588年、世に言うアルマダの海戦はイングランドの勝利に終わったのみならず、
かくて海洋大国としてのステイタスはスペインからイングランドへと移っていく契機ともなった。


これによってイングランドの国勢を確固たるものとしたエリザベスの時代は
「ゴールデン・エイジ」と呼ばれるようになっていく…。


となりますと、本当のエリザベス朝黄金時代はこれからというわけで、
2本目もまたゴールデン・エイジの序章であったのですなあ。


確かにアルマダの海戦というクライマックスが用意はされていましたけれど、
この映画を見る限り、派遣されたスペインの大艦隊は確かにイングランドを脅かしたものの、
何ともあっけなく敗退の憂き目にあったかのようで、

差し詰め関ヶ原 での三成軍のようではないかと。


本当にこのような戦いであったのか、実のところ今その関連の本に当たっておるのでして、
それによればどうやら「そうとも言えんぞ」という展開であったような。
その辺りのところは、次の機会にまとめてみようかと思っておるところでありますよ。




…というところでいささか早めではありますけれど、今年2014年内はこれにて失礼をば。

年明けに行けそうにない両親のところへ出かけて、忘年会めいたことをやる予定でして、

そんなところから明日の更新はお休み!と思ったですが、もはやここまで押し詰まってれば、

このままのんびりしてしまってもいいかなと。


いつもいつもご覧頂いております皆さま、突然たどり着いてしまわれた皆さま、

2014年の「josh's journal」は覗き甲斐のある場所となっておりましたでしょうか。

それはともかく、皆さま、よいお年をお迎えくださいませ。