狸だらけ(?)の茂林寺 をひと廻りしたところで、
目に付いた「トイレ⇒」の看板に従ってちと小用を足しにと思ったところ、
あちらこちらに同じ看板があるものの、肝心の目的地がどこにあるものやら。
あたりを行ったり来たりして(結局その時は見つからず、後になって「こんなところに?」と)、
探している過程でこんどは別のものが目に止まったのですね。
「ダークダックスって、あの?…」
こういっては何ですが、中できっとトイレが借りられようと
入館してみることにしたのでありますよ。
トイレのことはともかくとしてダークダックスですけれど、
個人的には辛うじて(?)知っているものの、
もしかすると一般的に知られている存在とは言えなくなりつつあるのかも。
ちとぼけぼけですが、
館内に飾られた写真をご覧いただくと思い出される方がおいでかもですね。
さて、どうでしょうか。
男性4人のボーカル・グループでして、
左から順にトップ・テナー、テナー、バリトン、バスと
4声部のコーラスでどんな曲でも歌ってしまう、凄い人たちであったような。
館内にいるうちにあれこれ思い出してきますけれど、
4人にそれぞれ愛称(あだ名)で呼ばれていたところを見ると、人気あったんだろうなぁと。
右側のバス担当が「ゾウさん」とはいかにも。
お隣のバリトンが「ゲタさん」、これは顔かたちでしょうなあ。
お次がテナーの「マンガさん」、漫画みたいな顔だから?。
そして、最後のトップ・テナーが…うぅ~んと、うぅ~んと…。
と、ダークダックス最後の一人のあだ名が思い出せず思いつめているうちに、
るみたん(篠原涼子)は田町浩二(古田新太)の体に変身してしまう…という場面が
宮藤官九郎脚本のドラマ「ぼくの魔法使い」にありましたですねえ。
このトップ・テナーの方が「パクさん」という愛称なんですが、
お馴染みになっていないと、他のメンバーほどには結びつきにくいような気がしますですね。
さらに思い出すのが、確かダークダックスは慶応グリーのOBだったよなぁと。
で、早稲田OBがボニージャックスだったか、ではデューク・エイセスはどこだろう…。
とまれ、こうしたボーカル・グループがかつてはいくつもあったということですね。
ただ、声が高すぎず低すぎずの故にリードをとることの多かった(と思う)マンガさんの、
ヴィブラートのかかった歌声にとても特徴があるものですから、
ボーカル・グループあれこれあれど、ダークダックスが判別しやすかったような気が。
館内に流れるメロディーに耳を傾けて、そうだよなと思ったり。
レパートリーが広すぎて、いったい持ち歌とは何なのかが判然としませんが、
TVにもよく出ていたですね(って、キャンディーズといる写真の部分だけ出さなくても…笑)。
バラエティーやトーク番組などでもお見受けしたやに思いますけれど、やっぱり本業は歌。
館内2階には4声部で歌うための楽譜がぎっしり並んでおりましたですよ。
コーラス関係の人が借りに来たりもするんだそうです。
ところで、そのダークダックスと館林の関係や如何にと受付の方に尋ねてみますと、
ありていに言って「何も関係がない」のだそうな。
ダークダックス4人の誰かが館林の出身とか、そうしたつながりは全くなく、
とにかくダークダックス・ファンの方が一途な情熱で作り上げた施設なんだそうです。
それでも、ご本人たちも熱意に応えてか、何度も訪問してくれてたりするようですが、
2011年にパクさんが亡くなって、ダークダックスの生の歌声は永遠に聴けなくなってしまったと。
これも機会だからと、帰ってきてから近くの市立図書館でCDを借りて聴いてみることに。
1枚だけあったのは「ダークダックス決定版」というもの。
さすがに全ての曲で(年代も作用するのか)琴線に触れるということではないですが、
「山男の歌」や「アルプス一万尺」、「エーデルワイスの歌」など山に絡む歌の中では
「雪山讃歌」の何と格調の高いこと。
峻厳なアルプスの峰々をわたるエコーをイメージしてしまいましたですよ。
またコーラスを楽しみということであれば、「銀色の道」ですかね。
そうそう、ロシア民謡あたりもいいですよね。
…となっていくと、まさに歌声喫茶のノリといえましょうか。
この音楽館を立ち上げたファンの方はそうした時代に青春期を過ごされたか、
はたまた三田会だったりするのかも…。
とまれ、年代は違ってもいいものはいいと思わせてくれた
ダークダックスとの唐突な邂逅でありました。