日々の通勤にはJR中央線快速電車を使っておりますけれど、
「駆け込み乗車はおやめください」というアナウンスを聞かない日はないような気がしますですね。
何も中央線に限った話ではないものと思いますが、電車の扉が閉まりかけて、
中途半端にまた開き、さも扉自体、不機嫌を感じているように再び閉まる、
こうした光景を目の当たりにしますと、「ああ、どこかの車両でまた…」と思うわけです。
そして、そうしたケースの場合には電車が発車した直後に
必ず車掌による車内放送が入るわけです、「駆け込み乗車はおやめください」と。
しかも車掌の苛立ちも露わという口調のときがあって、車掌としては、
駆け込んだ当人に対して「おまえだよ、お前のせいで遅延だよ」くらい言いたいのでしょう。
ですが、そこはそれ、車内放送はおとなしく乗車している(?)その他大勢に対しても
突然のスコールのように逃れようもなく浴びせかけられるものですから、
その他大勢組としては「おれじゃねえのに…」と、これまた嫌な気分になる。
不機嫌は恐ろしい伝染病ですからねえ。
どうやら余りの言い方でもあったのか、
乗客が車掌にクレームをつけたなんつうケースもあるやに聞き及びます。
ちなみに東京メトロでは駆け込み乗車があると、
録音された女性のおちついた音声で「駆け込み乗車は危険ですから…」と流されるのですが、
どうもこれはソフト過ぎておよそ抑止効果は期待できない気がしないでもない。
抑止力としては車掌の威圧(恫喝?)の方が上のように思うところですけれど、
これをたびたび聞かされる方は溜まったものではない。
とすれば、車掌のアナウンスはむしろ普通に乗っている人を味方につけるべく
こんなふうにしたらどうかと。
駆け込み乗車で危険ですと再三告知しておりますので、それでもやって怪我した場合は自業自得です。また、定時運行の妨げとなり、遅延が生じる可能性を大きくするもので、他の全ての乗客の貴重な時間を奪うことになるわがままな行為です。どうぞ乗客の皆さまは駆け込み乗車をした乗客に対するガン飛ばしにご協力ください。
もちろん冗談ではありますが、
回りじゅうから白眼視でもされないと、当の本人こそアナウンスは馬耳東風状態でしょうし。
ところで、そもそも何だって駆け込み乗車をするんでしょうかね。
単純に考えれば「急いでいるから」というのが理由かもしれませんが、
前にも書いたことがありますように往々にして「急いでいるは自己都合」であって、
しかも朝の中央線などは2分に一本、次々に電車が来るとなれば
およそ急いでいるからというのが理由ではないようにも思われます。
考えてみれば、目の前の交差点で歩行者用の信号が点滅を始めると
(つまりはもうすぐ赤になりますよというときですが)
つい走って渡りきってしまう…というのと、おんなじなのかもしれませんですね。
こうして赤信号ぎりぎり、あるいは横断半ばで赤信号になってしまう状況で渡りきった人に
「なぜ次の信号をまたなかったのですか」と聞いたとしても
「なんとなく…」という答えが返ってきそうな気もします。
同じことが電車の駆け込み乗車にも言えるのかもしれませんですね。
目の前にある何かしらが、あとちょっとで手の届く何かがもう逃げていってしまうのですよ的な
状況に遭遇すると、抗いようもなくそれをつかみとろうとしてしまうのが
人間の動物的な本能みたいなところにあるのかもしれません。
ちと落ち着いて、信号も電車も次のでいいやという思いを予め持っておくと、
全くそうした本能(?)は発動されることがないので(と、個人的にはそうだということですが)、
要するに「心の準備」の問題でもいえそうです。
「急いては事を仕損じる」ということわざ(本来的な使い方とは違うかもですが)は、
必ずしも急いでいるという状況下ばかりでなく、人の本性に対する戒めとしての意味合いを
含んでいるのかもしれませんですね。