…ということで、静岡から帰ってまいりました。


寒の戻りと言っては何ですが、東京よりはいささか温暖な(と思われる)静岡でも

「寒いよね~」などと呼び交わす声が聞こえてきたり。


空模様の方も、あたかも全く遠望のきかない曇り空であって

出かけてから帰ってくるまで一度として富士を眺められない(それこそ裾野の一端さえ)状況。


当初の目論見としては、久能山、日本平方面へ足を伸ばそうとも思っていたですが、

静岡駅の観光案内所で「晴れてれば、日本平から富士山が眺められたりするんですよね」

と聞けば、絶景写真の写ったパンフレットを取り出して、ほれ、このとおりと。

「今日はだめですね」と駄目押しの一発で、方針転換を致しました。


ところで、この観光案内所の一幕なんですが、

頭の中に「日本平」、「富士山」というのがあって、先の質問を発したつもりであったところ、

案内所の人曰く「富士見平ですか?日本平じゃなくって?」と尋ね返されてしまったという。


「富士見平」と言った覚えは全くないんですが、

頭の中で言葉の断片がごっちゃになってしまっていたようです。

でも、これが「富士見平ですか?日本平じゃなくって?」と

「富士見平」と繰り返してもらえて何よりでありましたですね。


もし「え?日本平のことですか?」てなふうに聞き返されていたら

(富士見平って言った自覚がないものですから)

「日本平って言ってるじゃん?」と多少不機嫌になってしまったりしたかも。

(ほんとにそうなら料簡が狭すぎるかもですが)


とまれ、静岡駅には降り立ったわけですけれど、

ふと見やるとお出迎えが出ていて、ついつい「大儀であった」と声を掛けるわけですね。


竹千代君像@静岡駅北口


なかなか凛々しい若武者は

(商工会の衣装をまとわせられてしまっているあたり、浜松町の小便小僧かとも思いますが)

徳川家康の若き日、松平竹千代といった頃の姿ということ(もちろん想像でしょうね)。


像の後ろ側に「竹千代君」と記されていて「たけちよぎみ」と読むんだとは思いますが、

どうも「たけちよくん!」に思えてしょうがない…。

てなことを思いつつ、目を上げればちと先の方では怖い顔をしてこちらを見ている人が。


徳川家康像@静岡駅北口


近づいてみれば(って、十二分に想定内ですが)功なり名を遂げた後の徳川家康、

「あ~あ、顔、でっかくなっちゃって…」とのつぶやきが大御所様に聞こえてしまったかどうか。


こうした辺りから始まりますと、日本平にも行かないことだし

否応なく家康絡みの話ばかりが続くのか…と思われるやもしれませんですが、

そうならないように工夫を凝らすべく(?)、駅前からバスで県立美術館に向かうことに。


たまたま県立美術館行きのバス乗り場が日本平行きと同じであって、

真ん前に並んでいるおじさんがガイドブックで日本平のところを見ておりましたですよ。


「今日行っても見晴らしはききませんよ」とは余計なお世話ですので口をつぐんだまま

先にやってきた県立美術館行きのしずてつジャストライン(遅れて来ましたが…)に

乗りこんだのでありました。


ですから、「駿府紀行」と銘打っておきながら、

次は「佐伯祐三とパリ」展@静岡県立美術館のお話になる予定でございます。