例によって(?)どんな内容なのかも知らずに映画「ジュリー&ジュリア」を見たのですね。
1989年の「恋人たちの予感」ではもっぱら電話だったものが、
1998年の「ユー・ガット・メール」で電子メールが使われ、
2009年の本作ではブログが登場と、ここらへんもノーラ・エフロンらしいところではないかと。
ジュリア・チャイルド(1912-2004)という料理研究家はアメリカではよほど有名だったようで、
TVの料理番組に出演しているジュリア・チャイルドを
「サタデーナイトライブ」でダン・エイクロイドが真似てたりするというくらい。
映画の中でも、このもの真似映像を見て主人公たちが大笑いしてましたっけ。
特にメリル・ストリープ演じるジュリア・チャイルドのしゃべり声、
鈴を転がすような…と言っては想像を誤るかもですが、
ともかく高い声で起伏に富んだ丘陵地を鈴が転がるにような
上がり下がりのある抑揚で話すものですから、
ともすると「酔っ払ってんの?」とも思われるその声が、このダン・エイクロイドにそっくり。
二人してそうなんですから、本当にそういう声でそういうしゃべり方だったんでしょう。
ちなみに見た目の方はといえば、細長い感のあるメリル・ストリープに似ているというよりは
ダン・エイクロイド型のように思えなくもないですが(失礼!)。
ところで、ざっとのお話はこんなふう。
政府関係の仕事をしている夫の赴任に従って、パリにやってきたジュリア。
有閑マダムの手すさびに帽子作り教室やらコントラクト・ブリッジ教室やら、
通ってはみるもののどうにも興がのらない中で、ついに料理教室で火がついたのですね。
ル・コルドン・ブルーの上級向け教室を悪戦苦闘の末に終了する頃には、
ジュリアの料理はすっかり玄人はだし。
友人とともにレシピ本を出版しようとの目論見に突き進む…。
という過去のシークエンスと同時並行で、現代ではジュリー(エイミー・アダムス)が
作家になることを諦めてついた仕事にしっくりしない毎日を送っています。
この変化もなければ、何のために生きてるんだかも分からないような日常に喝を入れるため、
敬愛するジュリア・チャイルドのレシピ本に掲載された524種類の料理作りを
1年で達成するとの目標のもとにブログを書き綴ることにしたのでありますよ。
ジュリアの料理はコルドン・ブルー仕込みのおフランス料理でありますから、
簡単にちゃちゃっと作れるような代物ではないわけで、
料理作りの大変さにブログ更新の大変さも加わって、
ジュリーの生活は料理とブログに支配されたかのよう。
いっときは夫も呆れて出て行ってしまいます。
まあ、ミステリーのようなびっくりが待ち受けるわけではありませんから、
想像するとおりにちゃあんと結末を迎えますけれど、
ノーラ・エフロンらしい「いい話」になってますですね。
ジュリーのやっていることに対するジュリアの反応はいささか苦みを残しますが、
英語版Wikiを覗きみると、どうやら「料理はそんなふうに作るもんじゃない!」的な
受け止め方をしておられたようですね、ジュリア・チャイルドは。
とまれ、毎度のごとく平平凡凡と毎日を送る自分を顧みるのもなんですが、
ここぞ!という転機にはここぞ!という意気込みが必要なんですよね。
いつもどおりにしていては、転機は黙って通り過ぎていってしまうのかも。
ですから、結果的にブログを本にして作家になったジュリーを見るにつけ、
ともすると「ブログをもとにした目論見」てなことに思いを巡らしたりしてしまいそうになりますが、
いかんせんジュリーにしてからが、この映画の原作以外に何か書いているのか不明ですし、
転機だと思ったことに振り回されてもなんですね。
ま、何だかんだ言っても、個人的にはまだまだ「お楽しみはこれからだ」と思ってるものの、
ブログということで言えば、一応毎日更新しているこのブログよりも
1年近くほったらかししている古いブログの方が今でもアクセス数が多いというのは、
ちょっとなんだかな…ですけれど(笑)。