まずは予想通りの雨、そして予想外の暑さに祟られて山梨 から帰ってきました。

rihoさんからいただいたコメントのように、

「何度訪れても、その度に、また新たな出会いがあります」であること、やはり!でありますね。

されど、その辺りのことに触れるのはちいとばかし先延ばしにして、

金管五重奏を聴いてきたというお話。


実のところ、こたびの山梨行きは、

両親ともスケジュールを突合せをしたりしつつ、かなりふいに持ち上がったものでして、

6日の日曜の午後には予め演奏会のチケットを買ってあるのだということを一同承知の上で

「ここしかない!」的に決行されたものでありました。


ですので、石和温泉駅から演奏会のある所沢(正確には西武新宿線の航空公園)まで

乗り継ぎ乗り換えを繰り返してたどりつくということになったのでありますよ。


途中に住まい最寄りの駅を通過するものですから、

よほど帰宅してのんびりするか…という誘惑に駆られもしました。

結果的には「う~ん、いい音じゃ!」と堪能したのですけれど。


ところで、金管五重奏(トランペット×2、ホルン、トロンボーン、テューバ)といって、

お聴きになられたことのない方にはどんな印象になりましょうか。

どちらかというと(どちらかと言わずして?)尖がった音が吹き鳴らされると思われるかも。

ですが、実は実は、柔らかい柔らかい音色なのですよ。


「え?」と思われたとしても、演奏会に行きなさい、CDを聴きなさいではちと投げやりですので、

ここではひと言、イギリス映画の「ブラス!」をご覧になってくださいましと言っておくとします。

金管楽器のアンサンブルってこんな感じでもあるかぁ…とお気づきいただけることでありましょう。


と、これまた長い前置きですけれど、

聴いてきた金管五重奏というのがブラス・クインテット ウィーン=ベルリンの演奏。

アマチュアではとかく力任せになりがちな金管楽器が

高い音でも大きな音でも、はたまた速いパッセージであっても

決してシャカリキにならないプロの妙技を聴かせてもらえました。


ブラス・クインテット ウィーン=ベルリン演奏会@所沢ミューズ


ただここまでの「柔らかい音」だとか「シャカリキにならない」とかいうあたりは、

プロの演奏であれば当たり前のことでもあるわけですけれど、

例えばプログラミングや演奏会の雰囲気などなどは団体ごとに個性の出るところでありますよね。


では、ブラス・クインテット ウィーン=ベルリンはどうか?ということになりますが、

遊びの要素が少なく、生真面目な感じというのが第一印象。

まあ、ウィーン・フィルとベルリン・フィルのプレーヤーの混在というアンサンブルの出自が

ドイツ人的堅さの印象をまとわせたのかもですね。


実際にはハンガリー人、フランス人、オーストリア人、それにドイツ人がふたりという五人組で、

一概にドイツ人云々とは言えそうにありませんから、単なる先入観でもあったかなと。


ですが、例えば「熊蜂の飛行」を演奏中に手すきの奏者がハエたたきを持ち出して

奮闘する姿で笑いをとったりという演出がそこここに配されるようなタイプではなかったですから、

一面当たっていなくもないですが…。

(最後の最後、ガンシュ作曲「5つの艦隊」になって初めて取りにかかった笑いは見所かも)


バッハの曲に聴くハーモニー、フォーレ「パヴァーヌ」の柔らかい音色を活かしたアレンジ、

そして金管五重奏のために書かれた普段は聴けないような曲たち。

どれもがそれぞれに楽しいものでありました。


その中で、ヴィクトール・エヴァルドというロシアの作曲家が書いた金管五重奏第1番作品5は、

ロマンティックな雰囲気に溢れたものですね。

初めの方ではカリンニコフのシンフォニーを思わせ、後の方ではチャイコフスキーを。


トロンボーン奏者の方が英語で曲目解説してましたけれど、

この曲の演奏を実際にチャイコフスキーが聴いて、

自分の曲との近さを指摘したとかいう話をしてましたですが、「なるほど!」です。


エヴァルドという作曲家の名は初めて耳にしましたけれど、

果たして他の曲はどんなふうでしょう。

こうした点でもまた先のお楽しみを広げてくれる演奏会でありましたですよ。