渓谷の塩原にはいくつかの吊橋がありまして観光名所ともなっているわけですが、
その辺りに触れようかと思ったおりましたら、どうにも写真が撮れていないことが判明。
いやはやでありますよ。


吊橋がいくつかあると言いましたけれど、

その中でも一番大きいものにはやはり行ってみたくなるもの。
この(といって、写真がないんですが)「もみじ谷大吊橋」は全長320mで、

無補剛桁歩道吊橋では本州一なのだとか。


ずいぶんと条件付けされた上で本州一とはなかなかに微妙ですが、
そもそも歩道だけの吊橋ですからさほどに大掛かりでないわけで、
橋としての剛性を補うための桁が無い(無補剛桁)というのもむべなるかなです。


が、それで長い橋を掛けると揺れて揺れてしょうがないことになりますので、
かわりにワイヤーを橋と平行に張り、そのワイヤーと橋と一定間隔で何カ所も繋ぐことによって
水平方向に張りを確保している、つまりは揺れにくくしているということになりましょうか。


長さだけなら茨城県にある竜神大吊橋というのが375mあるそうですが、
これにはしっかり補剛桁がついてます。


ということで、しばらくこのもみじ谷大吊橋が無補剛桁では日本一だったんですが、
2006年に大分県に長さも高さも上回る、ということはスケールが一段と大きな橋ができてしまい、
日本一の座を譲ったところから「本州一」ということになっているようで。


しかし、この吊橋はその大きさでもって観光の目玉にしようと、

端からそういう目論みで作られた気がしますですね。
「橋」本来の役割として、こっち側とむこう側をつなぐことに意味があるのですけれど、
この吊橋にはそうした役割を果たしていないものですから。


森林の駅(もりのえきと読むらしい)側は

塩原温泉に抜ける車道からちょこっと入った場所で立ち寄るにも便利ですが、
橋を渡った先には売店とトイレはあるものの、

そこからどこへ抜けていくといったことが想定されてない場所なんですね。


たまたま塩原ダム湖を跨いで長い橋を架ければ、

当時としては日本一を狙えるぞ!的なノリでもあったのかもですなあ。


その点、大吊橋の少しだけ上流にある回顧の吊橋(回顧はみかえりと読むそうな)は
塩原渓谷歩道という自然探勝路の途中に架かってまして、橋があることに意味がありますし、
ほど近い(といって見に行ってないんですが)ところにある回顧の滝(みかえりのたき)が
尾崎紅葉の「金色夜叉」に出てくるという点で由緒(?)もあろうかというものですね。


回顧の吊橋@塩原温泉郷


こちらは一枚だけ写真がありましたのでご覧いただくとして、
山峡の、いささか実用本位の吊橋はもみじ谷大吊橋よりは確かに揺れますけれど、
何だか吊橋があるべき本来の場所にあるという気もしたのでありました。


と、吊橋吊橋と言いつつ画像のないことに引け目を感じておりますので、

お茶濁しにちいとばかり別の写真を。


回顧の吊橋よりもさらに上流のあたりに「天皇の間記念公園」というところがありまして、
そこにはかつて塩原御用邸として使われた建物のうち

「天皇の間」と呼ばれた母屋部分を移築されていて、
日本家屋の風が吹き抜ける涼しさを実感できるものとなってますけれど、
塩原渓谷歩道はここいらからずうっと渓流沿いに続いているのですね。


当日は余りの暑さでしたので、渓谷歩道歩きはほんの少しばかりにしておきましたが、

その道々、そこここで足を止めては「何これ?」と。
正体は「きのこ」でありますよ。


塩原渓谷のきのこ その1


一見したところ、洋菓子でも落ちているのかと。

下にある小さめのきのこと比べても大きさが知れようというものですが、

ここは敢えてその巨大を分かりやすくしようと、こんなことをしてみました。


塩原渓谷のきのこ その2


タバコのパッケージが小さく見えましょう?

お次のはこれほど巨大ではありませんけれど、

やっぱりタバコを載せてもしっかりすっくと立っているのが立派ですねえ。


塩原渓谷のきのこ その3


写真では見えにくいと思いますが、柄の付け根で地面に接しているところには

うずらの卵が割れたようなのが付いとりまして、見るからに邪悪そう。

だいたい食べられるキノコならこんなになるまで、近所の方々が放ってはおかんでしょうなぁ。

と、最後には小さいながら異彩を放つ一枚を。

塩原渓谷のきのこ その4


一瞬、おもちゃ?お菓子?みたいな誘いかけがあるですよ、こいつには。

でも、見れば見るほどつるんとして色が鮮やかなあたりが

「もっとも騙されてはいけんタイプ」のような気がしないでもない…。


いやはや何ともきのこの世界も奥が深いものだと、

ほんの少々ながら塩原渓谷で接近遭遇したきのこを紹介してみながら

思った次第でありますよ。