さて、スキーをたっぷり楽しんだスイス から離れ、また夜行列車の旅というところであります。


ヨーロッパでは縦横無尽に鉄道網が敷かれておりますけれど、
長距離列車、夜行列車などには名前が付けられていたりしますですね。


乗り込んだ列車に備え付けの、あるいは各コンパートメントに投げ込んであったりするタイムテーブル。
これにはその列車の停車駅と発着時刻が記されておりまして…といっても

発着時刻の柔軟性?は日本人的には厳しいものですが、

そのタイムテーブルに列車の名前も(名前がある場合には)書かれています。


で、チューリヒで乗り込んだ夜行列車に付けられた名称はといいますと「Johan Strauss」号というもの。
となれば!でありますが、行き先はオーストリアのウィーンということがご想像いただけようかと。


フィレンツェからスイスに入ったときと同様ですが、
友人とふたりでコンパートメントをホテル代わりにしっかりと睡眠をとって朝ともなれば
ウィーンの西駅に到着となります。


ヨーロッパの大きな都市には日本語にすると「中央駅」となる、その町一番の駅がありますけれど、
ドイツ語ではこれを「Hauptbahnhof」と言いまして要するに「主たる駅」という意味。


一方で、中央駅という日本語訳は英語の「Central station」から来たものと思いますが、
これは「主たる駅」、つまりメイン・ステーションの意味もあろうとは思う一方で、
位置が単に真ん中にあるんでセントラル・ステーションと呼ばれても不思議はないわけで、
そうであればこのドイツ語の表現の方が町一番の駅を表すには適当かなと思ったりするのですね。


ところが、ウィーンでは「West bahnhof」(西駅)が西欧各国との玄関口になるというあたり、
実はオーストリアがいかに辺境にあって、わけてもウィーンが西欧の奥座敷にあるかが偲ばれます。
せめて玄関口くらいは町の西側にしとくかといった考えがあったのかどうか…。


と、こうしてたどりついたウィーンでありますが、
西駅から町の中心まで出るのに市電を使っただったでしょうか、記憶はあいまいです。


ただ車内アナウンスで(といって、何を言っているのか分かるわけではないのですが)、
数字らしきものが聞こえてきたときに、例えば「zwanzig」(20の意)の「-zig」の部分を
大学の第二外国語とした習ったドイツ語では「~ツィヒ」と発音するように覚えたですが、
ウィーンの市電車内では何度聞いても「~ツィク」と言っているようす。

これが、言わば方言なんだなと思ったですよ。


とまれ、たどりついた街中はカールスプラッツというところ。
「地球の歩き方」にはここにインフォメーションがあると書かれておりましたので、
ロンドンのヴィクトリア・ステーションの案内所ではありませんが、
市内マップを入手することと、ついでにホテルの紹介をしてもらおうと思ったわけです。


ここで紹介してもらったホテルというのが「St.James's hotel」というところ。
これまでロンドン以外は妙な安宿とユースホステル、
そして夜行列車のコンパートメントが寝泊まりの場所だっただけに、
久しぶりにまともと思えるホテルではありました。

何だかイギリスのホテルみたいな名前だとは思いましたけれど。
(改めて検索してみましたが、ちいともヒットしないので無くなっちゃったんでしょうか)


ところで、ウィーンではこの旅の中で数少ない例ですが、食べたものを覚えている町なのですね。
しかしそれが屋台売りのピザであったとは、書いてる方も情けなくなりますが。


当時、日本で食べるピザは、というより個人的によく食したピザはというべきですが、
雪印の冷凍食品でありまして、これを旨いと思っていたのですから、
場所がウィーンであろうと本物の?ピザが旨くなかろうはずもなく…。
(我ながら、何でイタリアで食べなかったのだろう…と後から思いました)


という具合に辿りついたウィーンは、
スイスでのスキーにも匹敵する個人的な目的のある場所であったわけですけれど、
腹も満たして、宿探しの心配もなくなったところで町へ繰り出すことになります。
その詳細は…この次に。(つづく)