しばらく伊香保の話 ばかりをしておりましたけれど、「洋行事始め 」の方も捨て置くわけにはいかず、 
グリンデルワルトをベースにしてスキーをしたというところから再開といたします。



最初の日はまずゲレンデへ登山電車で向かいます。
インターラーケンから乗ってきたベルナーオーバーラント鉄道は登山鉄道とは言っても、まだまだ序の口。
このグリンデルワルトから乗るヴェンゲルンアルプ鉄道こそが登山電車の名に恥じぬように
ぐんぐんと高度を上げていく感じです。


この鉄道の到達点がクライネ・シャイデックという駅になりますが、
広々とした山の中腹(といっても、標高2061m)にポツリと駅舎が雪に取り巻かれて立っている体。


ここでさらにユングフラウ鉄道に乗り継げば、

かの有名な観光地ユングフラウ・ヨッホに到達するわけですが、
今回の目的はスキーですから、この列車には乗りませんでしたが。


ちなみに、スキーは登山電車に乗る前にグリンデルワルトの町でレンタルし、
ウェアはと言えば、ここまで旅してきたままでジーンズにスタジャンという恰好。
足首だけは雪が入り込まないようにスパッツを付けてましたけれど。
(今は「スパッツ」というと違うものを指す場合の方が多いようですが…)


で、いざ滑るわけですが、これが広い広い広い場所なのですよね。
日本のスキー場(当時ですが)は滑り出すには
必ず周囲を見回さないと衝突しかねない状況でしたけれど、そんな心配は全くない。


朝だけに全くシュプールの無いところへ自由自在に滑り込めるというのは、
何と爽やかで開放感のあることか。


とはいえ、滑り下りたら登らなくてはなりませんから、
広い広い中の、ほんのところどころにあるリフトを使うことになりますが、
はてチェアリフトはあったかどうかなという曖昧な印象。

ロープがぐるぐる回っていて、勝手につかまって昇ってこいといった代物でありましたよ。


勝手が悪くてこけることもしばしとはいえ、
雪がパウダーだのアスピリンだのシルキーだのとどう形容したらよいものやらですが、
細かくてキュッとしてますから、ジーンズに付いても軽くはたけば落ちてしまう。
いやあ、いい雪でした。


そんなこんなでユングフラウを背に日中滑った後には、
往路は登山電車で登ってきた高度差分をグリンデルワルトの町まで滑って降りるのですよ。


途中、アイガー北壁が間近に迫るような景色を眺めつつ。

ですが、このダウンヒルはかなり腿がパンパンになるような長丁場。
途中からだんだんと木々が増えてきて、そのうちに日が陰り始めると、
麓のグリンデルワルトが見えてきて…もうこれ以上ない満腹感でした(スキーの話ですが)。


このような一日を送った次の日には、
今度は前日滑った斜面と向かい合うような辺りにあるフィルストというところまで、
長い長いチェアリフトに乗って上ったのですね。


どれほど長いかというのを距離でないところで申しますと、
リフトに乗るのに途中で冷え切らないようにごついコートを貸してくれるくらい…
となりましょうか。


こちらはこちらでまた違った角度からの景色を眺めやりながらのスキー三昧。
いやあ、スキーって本当にいいものですね!
と誰やらを真似たひと言を口走りたくなるふうでありましたよ。


こうして、わざわざヨーロッパまで出かけていった目的のひとつを果たしたところで、
次にはまた別の目的を果たすべく移動にかかることになります。


グリンデルワルトから乗り継ぎ、乗り継ぎしてチューリヒには夜到着。
それでいいのですね、ここからまた夜行列車に乗るのですから。


で、行き先は?
というところで、また次の機会に。(つづく)