今回は自治医科大学卒業生の立場から、自治医科大学の医師国家試験合格率の高さを考察してみたいと思います。
まず初めに、自治医科大学を自慢するつもりではありませんが、医師国家試験の合格率が高いです。
ほぼ毎年全国の医学部の中で1位を獲得しています。
2019年の医師国家試験合格率は自治医科大学が99.2%で全国トップであり、7年連続全国第1位であったみたいです。
(ちなみに全国平均は89%でした) 私が卒業した年も全国トップでした。
自治医大のどういった所が、医師国家試験の高さにつながっているのかを、卒業生の立場から分析しようと思います。
① 入ってくる学生がまじめで意識が高い方が多い
こちらに関しては私が以前書いたブログ(自治医科大学の学生生活Part2 自治医大の学生の特徴)で詳しく触れているので、そちらを参照にしていただければと思いますが、自治医大の学生は地方の公立高校からコツコツ勉強して入学した、いわゆる努力型の方が多いです。医学部の勉強は、基本的には膨大な量の暗記なので、コツコツ勉強できる努力型の方が強いというのはあると思います。
② 教育プログラムが他大学より全体的に早く、医師国家試験対策期間が長めである
自治医科大学は3年生の終わりにCBTとOSCEを受け、4年生から病棟実習となります。他大学でCBTを受けるのはほとんどが4年生かと思うので、およそ1年間早いプログラムかと思います。4年生から6年生の5月くらいまでが病棟実習期間となり、以降はほぼ国家試験対策となるので、その点は医師国家試験の合格に有利に働いているかもしれません。
③どの学年も進級に大きな壁がある
毎年進級に関わるテストがあり、ほぼ勉強しなくても進級できるみたいな学年はありません。どの学年も少なからず、勉強であったり、試験に対する緊張感があります。自治医大の特徴として12月に総合判定試験という大きな試験があり、5年生と6年生が同じ試験を受けます。5年生は6割以上、6年生は7割以上を合格ラインと設定されています。総合判定試験は間違いなく医師国家試験より難しい試験です。なので特に成績が下位の方にとっては、このラインを超えるの至難の業です。なので試験前はみんな本当に必死で勉強しています。私の成績は学年で下の方でしたので、5年生の時も6年生の時もこのラインに到達できませんでしたが、何とか進級や卒業はさせていただけました。総合判定試験に合格出来たら、医師国家試験はまず大丈夫だろうみたいな感じはあります。なので学生が一番ピリピリしているのは医師国家試験前ではなく、総合判定試験前のように思います。もちろんこの試験で一定数の留年者や卒業できない方は出てきます。
もう一つ特徴的なことですが、5年生で、6年生の平均点を超えてくる優秀な学生が毎年10名以上は出ます。
この方々は特待生みたいな扱い(スーパースチューデントドクターと呼ばれています)を受け、6年生の卒業試験がすべて免除となります。なので6年生のイベントは12月の総合判定試験のみとなり、それまでの間は自分の臨んだところで実習を受けられる、みたいな特別な扱いが受けられます。その制度を利用して、海外で実習を受けられたりしている方もいたように思います。
自治医科大学の医師国家試験の合格率の高さに関して、思い当たる理由は他にも色々あるのですが、長くなりそうなので今日はこの辺で。また次回(明日書く予定)のブログで続きを書いていこうと思います。
最後に、医師国家試験は9割受かる試験といわれています。しかし、多くの医学部(特に私立の医学部など)では、合格できる可能性が低い者は大量に留年させるなどしたうえで、試験に合格できる可能性が高い者のみを受験させています。その結果が9割の合格率なのです。なので実際、1年生から6年生まで留年することなく進級し、医師国家試験にちゃんと1回で合格できる方は全体の7割程なのではないかと思います。(もっと低いかもしれません。)
そう考えると、医学部に入りさえすれば医師国家試験は簡単に合格できるものといった考えは、少し危険な気はします。医学部自体が、厳しい競争を勝ち上がってきた優秀な学生が集まる学部ですし、また医師国家試験に合格するために、記憶しなくてはいけない医学的知識は本当に膨大です。
医学部に入りながら、留年を繰り返し、結果医学部を退学し、医者になれなかった方も数多くみてきています。
医学部に入ることをすべての目標にしていると、医学部で要求される膨大な量の暗記に、心が折れてしまうかもしれません。
自治医大のあるある: 自治医大の学生にとって、一番重要な診療科はアレ膠(アレルギー・膠原病科の略です)
ではでは