腎臓が悪く、透析を受けているブンミが、亡き妻フェイの妹であるジェンと
その息子(ブンミにとっては甥)のトンを引き連れて
「自分はここで生まれた」という森と洞窟に入っていき、そこを出ると前世のことなどを語りだす。
そして、死に際に透析装置を外してもらうと、ちょろちょろと尿が流れ出るのだが
あれはブンミの魂の暗喩なのだと思う。
魂が身体の外に出て行ってしまう、すなわち死。
ブンミの葬式が終わった後のシーケンスも興味深い。
出家しているトンが、寺では怖くて独りで寝られないと言って
香典を数えているジェンたちの部屋にやってくる。
トンは「どこか飯を食いに行こう」と言い、シャワーを浴び、単なるジーパンとTシャツ姿になる。
そして幽体離脱したようなもう一人の自分(たち)を目の当たりにすることになる。
このシャワーのシーンが不必要に長いのだが、最後まで観るとその理由が分かるような気がした。
袈裟を脱ぎ、シャワーを浴びてしまったトンは霊的な防御力を失い、
前出の森と洞窟のシーンですでに半分以上向こうの世界に足を踏み入れていたジェンに手を取られ
あちら側に連れて行かれてしまう。
ホテルのTVを無言で見つめるもう半分の自分(たち)を部屋に残したまま。
シーンが前後するが、トンがジェンたちの部屋を訪れる前、
蚊帳のかかった自分の寝床で眠れずに横になっている場面で、
その寝床から見上げた開かれた窓を映すショットが印象に残るのだが
その時点で霊的な何かが、トンのあとを付いてきてたのかもしれない。
そして、ラストの飯屋のシーンでは、店員がジェンとトンのことが見えないのか、
一向に注文を取りに来ないのである。
やたらポップなペンギン・ヴィラの『Acrophobia』が流れる中映画は幕を閉じる。
この曲、2011年当時よく聴いていた![]()
Fin