Ph.D.2年目の秋学期が終わって2週間ぐらい経ちました。授業の成績は特に問題ありませんでしたが、三つのプロジェクトを同時に回したり、学会に行ったり、院生会の仕事をしたりと、とにかく疲れました。秋学期で何があったのかを少しずつ話せたらと思っているのですが、今回は個人的に秋学期でPeace Scienceでの学会発表についで印象に残っているジョブ・トークについて書こうと思います(多分大丈夫だと思いますが、内容に問題があれば消すかもしれません)。

今学期、政治学部ではアメリカ政治のAssistant Professorを一人募集しました。三人Job Candidateが来て、それぞれ自分の研究についてのプレゼンとQ&Aをするジョブ・トークというものをやったのですが、このイベントへの博士課程の院生の関わり方に結構びっくりしました。

まず、それぞれの候補者と一緒にランチをする機会がありました。その間教授は部屋にはおらず、10数人の院生と候補者だけ残されてご飯を食べながら研究の話をしたり、飼っている犬のことといった普通の話もしました。それが終わると、別の部屋でジョブ・トークを行い、その後院生はCandidate Evaluationという各候補者の長所や短所などを評価する用紙を受け取り、それを記入して提出しました。どれだけ院生の意見が参考にされているかは不明ですが、学部が誰を採用するかの判断に院生がこんなに関わる機会があることに驚きました。おそらく、「ジョブ・マーケットに出たら評価されるのは君たちなんだよ」という学部からのメッセージなのだと受け取っています。

今回一つ気付いたことは、自分の評価と他の教授や院生の評価が全然違うことでした。三人の候補者に対する自分の評価がA>C>Bだとすれば、他の人の評価は概ねC>=B>Aといった感じでした。わりと衝撃でした。自分に人を評価する目が無いのではないかと考えさせるきっかけになりました。

それで考えてみたのですが、自分は国際関係論を専門とする人間なので、そもそもAmerican Politicsの分野でどういう研究がされているのかそんなに詳しくないというのが一つの理由かなと思いました。自分には三人の研究が面白いのかそうでないのか、正直あんまり判別がつきませんでした。なのでジョブ・トークでどのあたりを注目したかと言えばリサーチ・デザインなのですが、その時点で他の人と判断基準が違ったようです。

あと、一緒にランチをしている時に、ある候補者が「方法論の授業を教える気がありますか?」と質問されて、「教えてみたいし、いろんなトレーニングを受けてきたから教える能力もある」といった返答をしていました。しかしその人はジョブ・トークでわりとシンプルな分析をしていたので、自分は「方法論に自信があるならジョブ・トークでそれを示そうとするはずだ、それをしないってことは実はそんなに自信が無いのでは?」と思いました。他方、他の院生はランチ中の返答を額面通り受け取った人が多かったようです。確かにCV(=履歴書)を見ればいろんな方法論のトレーニングを受けてきたことは明らかなので、それで十分なシグナルになっている、という見方のようでした。

また、ある候補者については院生とのランチの時に「普段どんな授業取ってる?」「アメリカ政治や方法論の授業はどのくらいある?」「学会出るとき補助はどれくらい出るの?」といった質問をすごいしてきたので、「この人は現状を把握した上でうちのプログラムにどのように貢献出来るのか真剣に考えている人だ」と好印象を持ちました。その点もいろんな評価軸があったようで、日常会話がどれだけ楽しく話せるかに重きを置いている人もいたようでした。

というわけで、人を評価するというのは大変だなぁと痛感すると同時に、自分が人にどのように評価されるかについても考えさせられました。振り返ってみて、自分なりの評価基準があったので必ずしも自分が間違っていたとは思わないのですが、自分がどう思うかに関係なく外部の環境は存在するわけで、ジョブ・マーケットに出る時には自分が環境に適応していかなければいけないなと思いました。

今回は以上です。冬休み中に頑張っていろいろお伝え出来たらなと思っています。
ではでは。