今期受けた3つの授業は全て最高評価のAでした。Ph.Dまで来るとGPAはそんなに気にする必要が無いのですが、出せる奨学金が増えたり、なにより教授陣に良い印象を植えつけられるといった側面が大きいと思います。また、UNTの成績評価が緩いというわけではなく、同じ授業を取っていてpassできなかったりCを取ったり(うちのプログラムではCを二つ取ったら退学)した人を何人か知ってます。なので、今学期の成果にはひとまず満足してます。
自分で言うのもなんですが、アメリカのPh.Dプログラムの一学期目を、日本人にしてはまれに見るぐらいうまく乗り切ったと思います。そこで、渡米前や学期中に自分が何を意識し、何を実践してきたかをちょっと紹介したいと思います。
・ネイティブの院生とのコミュニケーションを意図的に増やす
アメリカの大学院でPh.Dを取った先生とご飯を食べていた時に、日本人の院生はネイティブの院生とのコミュニケーションを諦めてしまって、自宅にこもって勉強・研究しがちだけど、それはやめた方がいいと言われました。英語力が伸びないし、コネも広がらないからキャリアにとって逆効果とのことでした。そこで自分は勉強やTAの仕事をするときはほぼ必ずオフィスに行くようにしてました。すると向こうから研究の相談をしてきたり、こっちも宿題や仕事の件で質問したりと、話す機会がだいぶ増えました。結果、自分の勉強や研究をする時間はだいぶ削られた気はしますが(笑)、彼らと良い関係を築きつつ自分の英語力もスキルアップさせるという目標はある程度達成できたように思います。
あとその先生からは、なるべく飲み会とかパーティとかには行くようにとアドバイスされました。タームペーパーの期限直前のクリスマス・パーティにも頑張っていきました(笑)そもそも人が大勢いる場所が苦手なのですが、仕事だと思っていろいろ話すように心がけました。とにかくこういう場所にコンスタントに顔を出すことが重要かなと思います。
・共通の話題を持つ
とはいえ話のネタが無いとなかなかきっかけが作れないかもしれません。自分の場合は、アメリカのプロレス(というかWWE)が好きで、WWEのプロレスラーの格言とかを日常会話に混ぜたりしてました。例えば、学会参加の交渉の様子をコホートに話していた時に、His message was polite, but what he said is like, "know your role and shut your mouth." (The Rockの格言。ハリウッド・スターになってからはDwayne Johnson)みたいなことを言ったら、プロレス好きの友達が超笑ってくれました。おかげでWWEのPPVを一緒に見るぐらいの仲にはなりました。あとスポーツも結構よく見ているので、「今年のNBA、イーストはどこが勝ち上がると思う?」という会話に「トロント(・ラプターズ)じゃないすか?」と入っていって、「何お前、NBA見るの?」といった感じで先輩と仲良くなったりしました。他には、「ドレイモンド・グリーンはチャールズ・バークレーとデニス・ロッドマンのどっちに近い?」という質問に「グリーンは身体の厚みがあんまり無いけど、バークレーは空飛ぶ冷蔵庫だから、どっちかというとロッドマンかな」と答えたら、「お前よく知ってるな」と褒められました。
話題はスポーツじゃなくても、ドラマだったり映画だったりテレビ番組だったりローカルネタだったりなんでもいいと思いますが、とにかく共有できるトピックがあるというのは快適な大学院ライフを送る上で予想以上に重要だと思います。
あと自分はまだ買えてないですが、テレビは家にあった方がいいと思います。話のネタ作りにもいいですし、リスニング力の強化にも役立つはずです。
・健康的な食事と睡眠、そこそこの運動
Ph.Dプログラムは短距離走というよりはマラソンなので、身体やメンタルを壊したらどうしようもありません。11月とか結構忙しかったのですが、それでもご飯炊いて味噌汁・キムチ・のり・メインディッシュ一品みたいな夕食をとってました。あと睡眠は大事です。自分は睡眠時間が減ると極端に効率が落ちることは自覚しているので、どんなに忙しくても頭働いてないなと思ったら寝るようにしてました。運動面は不足が否めないですが、「コーヒー買いたいな」って時に同じ建物のコーヒーショップではなくわざわざ別の建物まで歩いて買ったりはしてました。おかげで、11月初め頃に歯ぎしりがひどくてあまり眠れないという事態が発生したものの(原因は多分ストレス)、心身ともにわりと安定した日々を過ごせました。
・準備が肝心
「健康的な生活をしよう」と言うのは簡単なんですが、こっちの院生で出来てる人ほとんどいないように見受けられました。授業一つにつき毎週論文6~7本ないし本1冊が課され、毎日ペーパーやproblem setをこなすのが普通になってくるので、「そんなに寝れねぇよ……」と思う人が多いかもしれません。そこで自分は、入学が決まった4月頃に教授陣に連絡して、「去年のシラバスください」といって入手し、学期が始まるまでにできる限りの本や論文を読んでおく、ということをしました。学期中は読むのが2回目という状態だったので、読むスピードも速く、理解もだいぶ進みました。寝る時間をちゃんと確保できたのも、こうした準備のおかげです。多分同じことを冬休み中にもすると思います。
・日々研究をする
最後ですが、英語力を伸ばすとかコネを作るとかも大事ですが、結局のところPh.D studentは研究できるかどうかで評価されます。それ以上でもそれ以下でもありません。どんなに良い奴でも研究ができなければプログラムから去らなければなりません。なので、コースワークが始まるまで、極力自分の研究を進めておくのが最大の近道です。リサーチ・デザインのタームペーパーは、今年4~8月にやってた実験のスピンオフです。IRの方は思わぬ展開で当初のアイデアとは全くかけ離れた内容になったのですが、毎週教授とミーティングをし、課題に一つずつクリアしていったら、最終的にそれなりのものができました。これが出来たのも、大学院で計量分析の授業を取っていて基礎が出来ていたからです。うちのGraduate Advisorがよく"Do political science every day."と言っていたのですが、至言だなと思います。
ここまで読んで頂ければわかるように、アメリカの大学院のコースワークを乗り切るのに、特に秘訣はありません。特別な才能もいりません。当たり前のことを当たり前にこなせるか、その勝負だと思います。
去年の12月はアメリカ大学院の申請書類を提出している時期でした。今、自分の友人で同じ境遇にある人を何人か知っています。これからアメリカの大学院に挑戦する人たちの役に少しでも立てば嬉しいです。