先日学部時代の友達と夕ごはん食べていた際、「最先端の研究に触れたければ英語のジャーナル読んだ方がいいって前に言ってたけど、どんなの読めばいいの?」と聞かれた。
残念なことに、ほとんどの分野における普遍語は英語である。最先端で質の高い研究は、基本的にすべて英語の学術雑誌(ジャーナル)で発表される。地域研究ではおそらく事情は異なるだろうが、それ以外の分野では、英語以外の言語(例えば日本語)で最先端の研究動向が知れるなどとは思わない方がいい。
しかし、英語のジャーナルと言ってもたくさんある。質の高いジャーナルとそうでないものは、どうやって見分ければいいのだろうか。
そんな時、役に立つ一つの指標がImpact factorである。Impact factorは、そのジャーナルの論文が、他の論文でどれだけ引用されたかを基準とする、ジャーナルの影響力についての指標である。いろんな論文でたくさん引用されているのなら、そのジャーナルのImpact Factorは高くなる。もちろん、Impact Factorには、引用数だけで影響力を測れるのかといった批判も存在する。Impact Factorが高いからと言って論文の質の高さを保証するわけではない(論文に致命的な欠陥があるからこそ頻繁に引用されることもある)。しかし、ある分野におけるそのジャーナルの影響力を示す指標の一つとして、Impact Factorは非常に有用である。

さて、国際政治の論文が掲載される、Impact Factorの数値が高いトップ・ジャーナルとなると、

American Political Science Review
American Journal of Political Science
British Journal of Political Science
European Journal of International Relations
International Organization
International Security
International Studies Quarterly
Journal of Conflict Resolution
Journal of Peace Research
Journal of Politics
Security Studies
World Politics

あたりだろうか。その次ぐらいに来るのが、International Relations of the Asia-Pacific、Foreign Policy Analysis、Conflict Management and Peace Scienceあたりだと思われる。政策系で言うと、Foreign Affairs、Foreign Policy、Washington Quarterly、Survivalあたりが有名。東アジア(特に中国)の地域研究だと、Journal of Contemporary China, Modern China, China Quarterly, Journal of East Asian Studies, Asian Survey, Pacific Review, Pacific Affairsあたりになるのだろうか。
このへんのジャーナルに載っている論文であれば、high qualityな論文である蓋然性が高い。採択率が非常に低く、かつapplyしてくる研究者のレベルが非常に高いため、相当質が高く、独自性の強い論文で無ければ、そうそう採択されることはない。
したがって、国際政治の最先端の研究を知りたければ、上記のジャーナルに掲載されている論文を読んだ方がいい。また、国際政治の研究者になりたければ、上記のジャーナルに論文を投稿して採択されることが目標になる。