水田さんと小野理事の裁判で、11月30日の録音反訳が証拠として提出されています。

出席理事の意見が出ていますが、小野理事が挙げた理事長解任理由を慎重に検討したというよりも、それそれが持っている不満を述べたという感じを受けました。理屈としては、理事長の解任には特段の理由などなくても多数決でできる、ということのようです。

 

慎重に吟味されていない例としては、パワハラ疑惑。

小野理事は、労働基準監督署に録音テープをもって、水田さんが怒っているテープを聞かせたといいます。そうしたところ、労働基準監督官が、「これはパワハラだけど、病気です」と言ったと発言されています。しかし、その後、どこを読んでも、どこの労働基準監督署のなんという監督官に会って、どのような録音テープを聞かせたのかすら明らかにされていません。

さすがにこの程度の内容でパワハラがあったという判断を下せるとは思えません。そもそも厳密な認定には興味がないように思われます。もちろんこの点は、裁判で立証されるおつもりなのでしょうが、状況判断が難しいテープ録音を聞いただけで、「パワハラ認定」をプロの監督官がしたのでしょうか。しかも「病気です」とは、なかなか過激です。

 

さらに過激なのは、小野理事の発言の中に出てくる文科省の役人の発言です。小野理事の発言によると、指導・助言を目的とする学校運営調査の過程で、「文科省の担当官は、『そんな無茶なことをする、出鱈目な経営をするんであれば、経営補助金が止まりますよ』」とまで言っているそうです…。そこで小野理事は、「理事長の解任勧告を出したり、あるいは、補助金を全部ストップするようなことになればね、本当に私は困ると思います。・・・・自浄作用を働かさないと、私は将来大変なことになると危惧している」と。

そんなことになったら本当に困るでしょうけれど、指導・助言を目的とする学校運営調査から、ここまで想像をたくましくするのはやりすぎではないでしょうか。

そして、当初から不思議なのは、指摘が事実だと仮定して、自浄作用を発揮する際に、文科省から指摘されるまで何もできなかった自分たちも同罪だといって辞任するわけではないところです。

 

他の理事の発言の中では、調査における文科省の役人の態度(大声?)についても言及されております。これまた驚きです。少し前、政治家の暴言が録音されてで話題になっていましたが、武富さんがこの内容を公開してくれることを期待したいですね。今年に入り、天下り問題で文科省が批判に晒される前の、文科省の役人の態度というものがどのようなものだったのかをうかがい知る一端ともなりそうです。

 

また、仮議長役をやっていた白幡理事は、水田さんが退室したままの状況で、小野理事を理事長代理に選出しています。解任については、(寄附行為に規定があるのか確認する必要はありますが)特別利害関係人ということで水田さんを議決から排除するという説明も可能でしょうが、理事長代理に選出する過程についても排除されています。なぜそんな進行をしたのか、よくわかりません。寄付行為上、そもそも理事長代理(代行)を理事の多数決で選ぶことになっていないようですし(別件の訴訟で提出している上申書という書面に説明があるようです)、そうすると、どうやって小野理事は理事長代理になったんでしょうか。登記ができていないこととも相まってとても不可解です。コンプライアンスで水田さんを責め立てている今の多数派も、自らのコンプライアンスを説明する責任があるように思います。

 

賛成理事による解任支持発言が続く中、緊急動議というやり方(要するに不意打ちです)や小野理事が挙げる解任理由の不十分さがよくないという反対理事もいました。なかなか勇気がいったことだろうと思います。なにせ、他の理事は解任ありきの雰囲気で支配されています。多数派によって解任されようとする理事長についても、「いいこと」はなかったでしょう。

不意を突かれた緊急時に、こういう踏ん張りができた理事がいたということは、城西大学にとっては良かったことのように思われます(残念ながら、その理事は、翌年3月末をもって、この理事会を去ることになりましたが)。

 

この録音反訳は、城西問題に関心のある方はぜひ読んでいただきたいものです。