まだこの職場に留まる以上、彼女との関係は、他人にしっかり伝えられるよう明確にしなければいけないと思う
飲み会や休憩時間に、恋愛だの趣味だの身の上話をする機会が与えられると必ず触れてくる
女の話になった時や、ネタがなった時の常套手段といってもいい程に

そしてその度おれは曖昧な返ししかせず、まぁその気になれば色々話せるのだが、過去の話で熱くのなるも馬鹿馬鹿しいので話す気にならない、だからなのかは分からないが、何度も何度も同じ話をしなくてはならなくなる
本人達はいじってるつもりなのだろうが、正直うんざりしてる
その話を振られたら、当然何かを思い出さざるを得ないから、本当にめんどくさい

人の事情に首を突っ込みすぎじゃないだろうか?
俺だから大丈夫だとでも思っているんだろうか?
まぁ、今はそこはいいとして、確かに自分の中でもしっかり片をつけて、そーゆー場合にきっぱり言い切れるようにしておきたい気持ちはある
別にそんな事をしなくても何の問題もないのだか、もし、好きな人に、昔の恋愛の整理が出来てないと思われるのだけは避けたい
自意識過剰かもしれないが、不安なんだから仕方ない
だから、納得のいくある程度の理屈は作り上げておこうと思う



と、思ったのだが、なんか馬鹿らしくなってきた
一年も前の事を今更、どーなる?
理屈なんているだろうか?
あの時は好きだった、でも今は違う、それでいんじゃないだろうか
今は、深町の事が大好き、と胸を張って言える
あの時とは違う、心から一緒にいたいなって思える
好きな人がどんな人なのか、人から聞いたり自分で想像して形作るのではなく、自分の目で見て、会話をして、彼女を好きになった
先日も言ったようにまだまだ知らない事だらけだが

ふぅ、
正直すごい不安だ
めっちゃ焦る
あんな可愛らしくて真面目な子、他の男がほっとくはずもない
もしかしたら、すっげぇイケメンにアタックされてて俺の入る隙なんか無いのかもしれない
そしたら、どうしよう
本当にそんなん、どうしよう
めっちゃ困る

まぁでも、それはそれで仕方ない、か
そうならないように頑張ろう
そういえば、何であんな事言ったんだろう?

人に好きな人の好きな所を伝えようとした時、なぜか思ってもない事を言ってしまった
別にそれを言った所でこの二人は関係を持たないから支障はないのだが、その言葉を思い返してみて、疑問が残る

あいつは確かに魅力的な体をしてる、だから最初の内はそこに気が行く事もあった
でも今はそんな事より、女としても人としても魅力的な人間である事を知っているし、知ろうとしてる
なのになんでその魅力を伝えずに、別の話をしてしまったんだろう?

それを聞いてあいつは喜ぶだろうか?
いいや、深町はきっと、喜ばない
胸元パックリあいた派手なファッションをする時もあるが、それは男を魅了するためではない、深町の明るい愛嬌のある心が作り上げたあいつのスタイルだ
やらしい淫らな視線を男から注がれるのなんか望んでないと思う
分かってる
そんな奴じゃない
あいつは、自分の体で人を惹き付けるようなつまらない女じゃない、ちゃんと相手と向き合って話をする事のできる、立派な女だ

なのに俺は、そうは言わなかった
例え相手が深町の事を知らないにしても、そんな事を言うべきじゃない、むしろしっかり丁寧に伝えなければいけない事だ
じゃないと誤解されてしまう、俺のせいで間違った認識を持たれてしまうのはいやだ、好きな人が誤解されるのなんて絶対いや

けど、俺はその嫌な事をしてしまった
自分で好きな人を汚してしまった

なぜだろう?

おれだって男だ
女性の体には興味がある
色々想像だってしてる
それは男ならみんなそうだ
もしかしたら、だからこそ言ってしまったのかもしれない
それを言うことで優越感に浸っていたのか
それとも本心か

答えは分からないが、なんにせよ、きっと、俺はまだまだあいつの事を全然知らないんだと思う、だからあんな事を言ってしまうんだろうな

やっぱり、まだまだだ
俺は、うん、まだまだだ
でも、2人で一緒に帰れてすっごく楽しかった
ありがとうね、おちび
また1つ、大事な思い出が増えました
おごり、かぁ
確かに自分でもそう感じる時はある

普段の自分に対する意識やモチベーションが極端に低いせいか、ちょっといい事があるとすぐにおごってしまう
元々の性格も関係してると思うが、それよりも空気を察するというか、相手の気持ちを考える力が大きく欠落してるんじゃないかと思う

これを言ったらどう思うかとか、これを聞かせてしまったら何を感じるとか、そんな想像力がまだまだ足りない

この前の食事の時もそうだが、気分がよくなり自己嫌悪が薄れてくると、上から物を言う偉そうな風情をかもし出してしまう
その時は何も意識していないから歯止めがきかず、後になってから自分で気付いたり、他人から気付かされたりしてようやく後悔する

悔やんだって後の祭りと言うけれど、悔やみすぎたら次の祭りに行こうとも思わなくなるんじゃないだろうか?
まだ自分はそこまでの悔いを残したことがないから分からないが、きっとそうなんだと思う

本質は自尊心は強いのだが、現実は回りから認められず悪戦苦闘
そのギャップが気分が良くなったときにこぼれてしまい、おごりとして表れるんじゃないだろうか

これを無くすには、考え方を変えるしかない
何も全てが間違っていて、自分が発するあらゆる言葉が人を不愉快にしてる訳じゃないと思う
冗談を交えて相手をいじったり、ちょこっと小バカにするぐらいなら許されてると思う、というかそう信じたい、そうでなかったら人との接し方が分からなくなってしまう

ただいけないのは、冷静さを失い、自分を客観的に見れなくなった時だ
調子に乗り、見境なしに他人を傷つけてしまう、そして見えない所で自分も傷ついている

どんなに楽しくても、冷静でいる事が大事なんだと思う
冷静さとはしっかり頭で考えること
そして出来ればしっかり楽しみながら考える
これができれば、最強だ
うん
そー思う