ところが,

退院後2週たっても

めまいはすっきりしていなかった.

 

 

病院に行くのも

つらい状況だったが,

結局通院を決意した理由は

 

1.医師として冷静に評価できなくなった

2.専門家と話がしたくなった

3.自分と妻で抱え込める問題ではなくなっていた

4.事務手続き

5.なんとなく

 

だった.

 

 

 

 

1.医師として冷静に評価できなくなった

 

医師として,

自分という患者を

冷静に評価できなくなっていた.

 

 

「もうトイレまで歩けるし,

 そろそろ外出にむけて

 階段の上り下りの練習かな」

 

と考えて妻に言うと

 

妻は浮かない顔をして

「まずは家の中での生活を

 しっかりさせることからじゃない?

 朝起きて,歯を磨いて,着替えて,

 三食食べて,夜しっかり寝て」

 

と応えた.

 

がっかりしたが

たしかにそのとおり,

 

まともな屋内生活すら

送れていない

自分に気づくのだった.

 

 

 

 

復帰まで要する期間についても

自分の方は希望的観測がつよく

妻の方がよほど冷静で論理的だった.

 

 

 

 

 

2.専門家と話がしたくなった

 

「良性発作性頭位めまい症,

 本当に,きついです..

 どうしたらいいんでしょうか.

 何が起こってるんでしょうか.

 こんな辛いものなんですね...」

 

と,この病気の専門家に言いたかった.

 

そして

 

「そうなんですよ.

 結構たいへんでしょ,

 この病気.」

 

と返して欲しかった.

 

質問に対する答えがなくてもいい.

 

この病気を知ってる人と

この経験を共有したい.

 

そんな気持ちが強くなっていた.

 

 

 

 

3.自分と妻で抱え込める問題ではなくなっていた

当初の予定より完治が長引いていて

職場や実家に負担や心配をかけていた.

対外的にも自分と妻で

抱え込める問題ではなくなってきていた. 

 

 

 

4.事務手続き

医療保険や傷病者手当などに

医師の診察による診断書が必要だった.

 

 

5.なんとなく

以上のことを頭の中で整理できたわけではなく,

もやもやもやもやと混乱している中で通院を決めた.