入院中,看護師免許をもたない

「看護助手」という方がいた.

 

 

 

自分が働いていた研修病院では,

 

看護助手は

看護師の指示を受けながら

ベッドの移動をしたり

配膳したりしていたと思う.

(他にもたくさんあるだろうけど)

 

 

 

 

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自分の入院中,

看護助手がだいたい配膳していた.

 

 

めまいのため,

自分は身をおこすことはできず,

常に右を下にして

寝転がった姿勢でいた.

 

 

 

食事時も同じ.

 

ご飯をおにぎりにしてもらい,

ベッドの上におにぎりの皿だけ

載せてもらって

手でつかんで食べ,

 

おかずはテーブル上に全て残した.

 

 

 

 

あるとき,

看護助手が

「食べないの?

 おかずもベッドに置いてみましょうか」

といった.

 

 

 

まだ吐き気とめまいが続いていたので

遠慮しようと思ったが

「結構です」と断るのも疲れるので

言われるがままにベッドに置いてもらった.

 

 

 

看護助手さんは

ベッドにおかず皿をおき,

一つ一つ蓋をとって

料理名を言った.

 

 

「これはナスのおひたしみたいなやつね」

「これはおいしそうよ,魚の煮付け」

 

 

みたいな感じ.

 

 

ここまでお膳立てされると,

一口くらい食べてみてもいい気がする.

 

 

 

冷たいものなら食べれそうかと思い,

手でナスのおひたしをつまんだ.

 

 

 

これが意外と食べやすかった.

 

 

 

 

 

その日からおかずも少しずつ食べられるようになった.

無理せず,食べれる分だけ.

 

最終日にはほぼ全量食べるときも増えていた.

 

 

 

あの日,

あの看護助手さんがおかずをベッドに載せて

蓋をあけて料理名を教えてくれなかったら,

 

さらに療養が長引いていたことだろう.

 

 

 

自分が気にしすぎる性格なのかもしれないけど,

ちょっとしたことで

受け取り方はかなり変わる.

 

 

 

 

悪い方にも,いい方にも.