入院当日に行った検査は血液検査と頭部のMRIだった.

 

MRIとは強烈な電磁波をあてて

脳などを詳しく評価する検査.

放射線を浴びずにすむ反面,

時間がかかるのと

機械の音がうるさいのが難点だ.

 

右を下にして横になる体制が一番ラクなのに

検査の間は天井をむかなきゃならなかった.

 

また,動かないように頭の周りを固定したり,

うるさくないようにヘッドフォンをつけたりが

地味に効いて気持ち悪かった.

 

20〜30分ほどで終わるまで深呼吸を繰り返し

吐かないように耐えた.

 

「MRIの専門の先生が診るまで断定はできませんが,

私のみる限り脳の問題はなさそうです」

診察してくれた神経内科の先生が言った.

 

「耳の奥の三半規管というところに,

耳石という小さな粒が落っこちたことで,

めまいが起こっている状態です.」

 

「食べられない間は点滴で水分と栄養を

補給して,入院しながら様子をみましょう」

 

「悪いものではなく,自然と治ります.

早いと数日,長い人だと2週間くらい続きます」

 

 

先生の話した内容は

自分の予想していたものとほぼ変わらなかった.

それでも脳に異常がなかったこと,

自然と治ること,を他の医師から説明されることで

驚くほど緊張が解けるのがわかった.

 

 

この後何度も想像しては身の毛がよだつのだが,

もしこの病気が不治の病だったら….

もしこの病気で命を落とす可能性があったら….

 

 

自分ひとりでなく,

他の人に診断してもらうことでないと

なかなかこの不安は和らがないだろうと思った.