映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

9月13日に全国公開する『許されざる者』での数々の思い出話です。

Amebaでブログを始めよう!

お越し頂き有難うございます。





映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ




映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ


(齋藤由衣・三宅亜矢・劇場スタッフさん・山本菜穂・坂本祐以)





まだまだ、思い出は沢山ありますが今日で最後にしようと思います。



今日まで私の下手くそな記事にお付き合い頂いた皆様、本当に有難うございました。

女郎ズの話ばかりで謙さんや浩市さんたちのお話を聞きたかった!という方には申し訳ない気もしましたが、寄せられたコメントに励まされました。本当に有難うございました。


ブログ立ち上げ当初は、一人でも多くの方に映画を知って頂こう!というつもりで書き始めましたが、ある時から完全に考えが変わりました。





今まで綴ってきたエピソードは完全に身内の話で、それはもう、私達の中にきちんとあるので、わざわざ記事にするまでもない事は分かっていたのですが。


【見てくださる方】が、見てくだされば、もう充分だなあと。

だから敢えて女郎ズのことを書き続けました。

(女郎ズ以外の事を書けと言われたら、多分続かなかったでしょうが)




でもこう、毎日書いていると、(記事にしなかった事も含めて)

こんなに沢山の事が脳に焼き付いていたのかと、

それだけ、素晴らしい時間を2ヵ月半、過ごさせて頂けたということなんですね。



お芝居をしている時間も、待ち時間も、1秒1秒が濃密で豊かな時間でした。


悔しかった事もあったし、壁に当たっては砕け散った事もありましたが

私が最後まで現場に立っていられたのは

李監督をはじめ
スタッフの皆さん・役者の皆さんに全力で支えて頂いたからです。

李組のこの現場だったからこそ、改めて作品を創る素晴らしさを噛み締めることが出来ました。こんなに素敵な方々とお仕事をさせていただけた事が心から幸せでした。

またいつか、皆さんとどこかの現場でご一緒できるように、

1つずつ、コツコツと前に進んでいきたいと思います。

本当に有難うございました。




個々に対してのお礼は、私事だから、

わざわざこんなブログにしてまでは・・・・・・と

書こうか、辞めようか迷ったのですが、

恥を承知で書く事にします。(相手にも恥を強いる事になりますが)






まずは女郎ズ。


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

山本菜穂姐さん・坂本祐以姐さん・三宅亜矢姐さん。

小生意気な私を一番近くで支えてくれ、

私が辛いときや、不安になっていた時に

バカみたいに笑わせてくれて有難う。

あなたがたと共に現場で戦えたことに感謝しています。

これからも私にとってあなた方は大切な人ですし、素晴らしいライバルです。

また、一緒にお芝居がしたいです。

本当に有難うございました。






素晴らしい時間を下さった、プロデューサー久保田さん。


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

↑念のためプライバシー保護させて頂きます(笑)


【プロデューサー】って打つのが大変でした。

読んでもろくな事なかったでしょう・・・


久保田さん、プロデューサー陣の皆さま。

出演が決まってからの約3ヶ月、宝物のような時間でした。感謝しています。

本当に有難うございました。





この映画との出会いのきっかけをくださった、

北海道演劇財団、阿部さんそれから、歩さん。

やっぱり、一番最初にお礼を言わなければならないのは本拠地に居る皆さんです。


【やめてくれよ】と声が聞こえてきそうですね。

本当はここに書き記そうか迷いましたが、やっぱり抜かす事が出来ません。

こんなかたちですが言わせてください。

本当に有難うございました。

本当にお世話になりました。





あの2ヵ月半は、役者として、私個人として、一生の財産になりました。

この現場で得た事も、感じた事も全部糧にして

これからも、迷いながら、役者の道を歩いていきます!(笑)





さて。抱負も語ったところで。


最後の今日は現場で見かけた小さな、小さなお話です。




■カットがかかると、私たちの周りには衣裳部・メイク部の方々が飛んで来てくれます。

もちろん、直しをしてくださる為もあるのですが、目的はそれだけではありません。


メイク部の方が暖を持ってきてくださり、衣裳部の方がコートを着せに来てくれるんです。

本来なら管轄外の仕事です。


これは、当たり前のことではないのです。

あの厳しい環境の中、必死に支えようとしてくれていたんです。


スタッフの皆さんが俳優部を支えているという単なるお話ではありません。

一人ひとりが一人ひとりを支るような

李組はそういう組でした。




はじめの記事に支度部屋のプレハブから宿場町が離れている事をお伝えしましたよね。

雨や雪の日はそう簡単に行き来できない事もお伝えしましたね。





簡易トイレの設置場所はプレハブ側でした。私たち俳優部なら待ち時間があるので、行こうと思えば行って来る事が出来るのです。

でも現場を離れる事ができないスタッフの方にとっては、かなりキツイこと。女性なら尚更。


夜の撮影では、オープンセットと支度部屋を繋ぐ道が暗闇につつまれ、

雨が降れば、長靴が脱げるほどの泥濘(ぬかるみ)で、私達でも向こうまで行くのが億劫なコンディションになります。


ある、大雨の夜、秋山楼付近にドロドロになった1台の白い軽トラックが停まっていました。

トラックの荷台には、簡易トイレが1つ設置されていました。

現場を離れられないスタッフの方の為に、あの泥地獄の中をスタック覚悟でやってきたのです。




私が知っているのはホンの一部分ですが、一部分でも、ひとつひとつの事がとても胸の熱くなるスタッフの皆さんの【支え】の心なんです。

だから私にはとても大切なエピソードなのです。




現場やその影でスタッフの皆さんの血の滲むような努力や汗や涙、

作品に対する想いや仕事へのプライドがどんなに強いものか。

私はそれを目撃できて、そういう現場に役者として参加させて頂けて幸せでした。




最後に、シネマトゥデイの記事で柄本明さんがスタッフの方々についてお話してますのでこちらも是非、ご覧ください。


狂気が生み出すリアル・・・柄本明が語る、李相日監督の妥協なき演出とは?



今日までご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』是非、劇場でご覧ください。

齋藤由衣

 

お越し頂き有難うございます。



今年8月26日、札幌にて映画『許されざる者』試写会が行われました。


会場に着くとプロデューサーがいつものように待っていてくださいました。

本当に久しぶりで、再会できて嬉しかったです。

女郎ズとも半年以上振りの再開です。


試写会には渡辺謙さん・柳楽優弥さん・李相日監督がいらっしゃったので楽屋へご挨拶へ伺いました。



本編をまだ見ぬ私は、緊張や色々な想いがあって、具合が悪かったのですが、謙さんは、

「この映画は大丈夫」

と断言されていました。


キャンペーンで日本各地を巡って来られた中での発見があったみたいです。


「この映画は、男くさい映画だと思っていたけれど、意外に女性からの評価を頂けている」


「男の人はどうしても頭で考えるけれど、女性は子宮で考えるんだねぇ。」

と、言ってしみじみと噛み締めていらっしゃいました。


楽屋のご挨拶が済むと、プロデューサー、

「女郎ズ、自由席だけど全員まとまって座れよ」

との指示を受け、入場しました。


「後ろへ行こうよ」

との私の言葉も聞いてるのか聞いていないのか、坂本祐以は前列のど真ん中を陣取りました。


会場には、屯田兵の役の木村洋次さんや亀井健さん・飯屋の主人役、松本直人さんもいらっしゃいました。


満席、大熱狂の中、謙さん・柳楽さん・監督の挨拶が始まりました。


私達のちょうど目の前に3名が登場されて、

なんだか少し恥ずかしかったです。


ロケでの色々な出来事や

私も初めて聴くお話や、懐かしいお話など、

去年の過酷な戦いを今こうして笑いながら振り返られて、本当に良かったなあ

と思いながら聴いていました。




■監督のメッセージ


「この映画は、北海道民の、北海道民による、北海道民のための映画です。」




「この中に屯田兵の役をされた方、いらっしゃいますか?あ、手があがってますね。」


と、北海道キャストの紹介が始まりました。


「そして、女郎ズです」


女郎ズが呼ばれて最初に思った事は、

「私達を紹介して下さって有難うございます」ではなく・・・



(・・・え?今監督私たちのこと「女郎ズ」って言った?よね?

今まで呼んでくれたこと無かったのに。

うわ、このネーミング公式になっちゃったね・・・)


でした。これは私だけでなく、女郎ズ4人とも。


監督が起立するように合図をされ、

プロデューサーがまとまって座れと言った意味が初めてわかり

女郎ズ、札幌のお客様にご挨拶をする機会をこんな風にして、

頂く事ができました。


「キャストやスタッフ、ロケ地の許可など、この映画は、北海道の多くの方にご協力を頂いてようやく出来上がりました」


「是非エンドロールまで、見てください。」




監督の暖かい気持ちが本当に嬉しかったです。





―試写会後―


監督・プロデューサー陣と食事会が開かれました。


「それにしてもお前らよお。」プロデューサーニヤニヤしながら






「お前ら、仕込んだような良い席に座ってたな。」


はい。

会場全体を見渡せるような良い席でご挨拶させていただきました。

こんな機会をくださって、

監督、プロデューサー陣の皆さま、本当に有難うございました!!


ご覧頂有難うございました。

映画『許されざる者』は現在上映中です。

齋藤


お越し頂き有難うございます。



12月


打ち上げが行われました。


打ち上げに参加できた女郎ズは私と三宅姐さんの2人だけでした。


それらしきお店に入るとプロデューサーが迎えてくれました。

数週間振りなのに、もう、なんだか懐かしい気持ちになりました。


女郎ズ、お店の中に入るやいなや、

日活の貴公子高橋さんに通行を阻止されました。


「あ!女郎ズ、お久しぶりです~。」

「高橋さん、お久しぶりです。」


高橋さん、女郎ズを中へ入れようとしてくれません・・・汗

確実に両手で道を塞いでいます。


なんだか様子が変だなあ


すると高橋さん、小さな声で


「早速なんだけど女郎ズ、お仕事です。」


わおびっくりまーく

懐かしい響きッハート



なんて言っている場合ではありませんでした。



連行されたのは、厨房でした。

厨房には、それはそれは大きなケーキがありました。









「明日は浩市さんのお誕生日なので、サプライズでこのケーキを女郎ズに運んで欲しいのです」



女郎ズ最後のお仕事に、こんたな大仕事を・・・。


光栄どころか恐縮でしたが


「頑張りますファイッ!!」




会場のバックヤードを歩きながら、同時に段取りのチェックを行いました。



ふむふむ。

まず、ステージでの出演者挨拶の間に下手袖にスタンバイして、

HAPPY BIRTHDAY のBGMがかかったら、

女郎ズ、ケーキを持って袖から登場。

浩市さんにロウソクを吹き消してもらい、

そのケーキを高橋さんにパスして退場。


なにも難しい事はない。

我々こう見えても、一応舞台役者ですよキラーン☆



サプライズまでにはまだ時間があったのでその間、

お世話になったキャストの皆さん

スタッフの皆さん、

はじめてお会いするスタッフの皆さんと

ゆっくりお話をする事が出来ました。


柄本さんとは、死体役をされた最後のシーンで

私は手を温めてたけれど、全くの無意味だったことを話すと、

いやあ・・・そうなの?有難う。

と笑いながらあの撮影を振り返っておられました。



それにしても人がいっぱい。

この打ち上げに、来られなかった人も大勢居るわけですが

映画ってこんなに多くの人が関わって出来てるのだなぁと、

思いました。



さて、間もなく出演者挨拶が始まります。

キャストがステージに登壇。

女郎ズ、スタンバイ完了。

一人一人の挨拶が行われ、柄本さんの番になったとき。



柄本さんが

「あれ?女郎ズは?」

おののくギクッ・・・


その瞬間に、日活の貴公子高橋さんが

「女郎ズは・・・ちょっとお仕事がありまして・・・」

「・・・はあ・・・お仕事ね。」


誤魔化せました。


全員のスピーチが終わり、

浩市さんを残して、キャストは退場し始めました。

お店のスタッフの方がケーキのロウソクに火をつけます。


が・・・しかし・・・




なかなか火が点かない!!


BGMも鳴り始めてる!!!


会場、意味の分からない雰囲気になってしまっている!!!!




高橋さん、様子を見にステージから直接袖を覗きにいらっしゃいました!!!!!


あ!やっと火が点きました!すいません!


女郎ズ何事も無かったかのように登場!


浩市さん、ニヤニヤしてステージで待っていてくださいました。


「これ、吹き消せばいいの?」






―こうしてドタバタの中、女郎ズ最後のお仕事をなんとか終えることが出来ました。―


舞台は生ものですから。

何が起こるかわかりませんね。

そこが、楽しいのですがッ!笑1


みんなで美味しくケーキを頂きました。



素敵なお仕事を任せていただき本当に感謝しています。



ご覧頂有難うございました。

映画『許されざる者』は現在上映中です。

齋藤



お越し頂き有難うございます。


昼の撮影からあっという間に夕方になりました。

クランクインの頃と比べると、日の入りは1時間早くなりました。

この日の日の入りは15時55分。



昼間の撮影場所から移動して、宿場町プレハブに到着すると

叩きつけるように大雪が降り始めました。

控えプレハブには女郎ズの3人の姐さんが支度を終えて待機していました。





映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
(千代役:山本菜穂)



■宿場町ロケ最終日、ナイター。


現場には地元の消防が到着していました。

(なぜ消防が来ていたかは、映画でご確認ください)



現場はいつもと空気が明らかに違います。


夜のシーンの為、衣裳を替えて、宿場町側へ移動。

例のあの道を歩いていくのですが、

この移動が大変で、さしている傘は風で持っていかれそうな強さで吹いてくるし

雪は横からも下からも降ってきます。


秋山楼付近では技術班が準備をしており、

秋山楼の向かいにある駅逓所(えきていしょ)・装蹄所の裏には何台も消防車が停まっていました。


現代の物がそこにあるだけで、かなり浮いてました。



■最後の待機場所は旅籠屋でした。


旅籠屋には、

ただ、ドンとそこに居るだけの謙さん、

小池姐さん・女郎ズ。

死体メイクを完成させた柄本さん。


皆で黙ってストーブを囲みました。


待っても待っても、呼ばれません。

そのうちに、キャストは夕食を摂るように言われ

食堂プレハブへ行ってみると、

沢山の消防士の方がソワソワしながら暖かいスープを召し上がっていました。


何で始まらないのか、一体全体、何を待っているのか

そんな感じでした。



旅籠屋に戻ってもなかなか始まりません。

更に数時間待って

ついには夜食の時間が始まってしまいました・・・。




■深夜1時過ぎ。


―本番―

まずは謙さんのカット。

私達も、目線先に居ます。


本当はこのカットを撮る前に、謙さんが

(十兵衛のみのカットなので)女郎は居なくても大丈夫だよ、

と、薄着の衣裳の私達に、さりげないお気遣いをしてくださっていたんです。



カットがかかり、一度旅籠屋に戻ります。

次は金吾・女郎側のカットです。

深夜2時をまわっていました。

雪の降り方も激しくなってきました。


しばらくして旅籠屋に助監督が出番を呼びに来ました。

私達がコートを脱ぎ、下駄を履こうとしたとき

謙さんと柄本さんが助監督に


「女郎たち足元映らないんでしょ?なら、長靴でいいよ」

と、お気遣いの言葉を掛けてくださいましたが、

これから裸になる柄本さんがいらっしゃるのに、

その言葉に甘える事は出来ませんでした。


外に出ると凄まじい猛吹雪でした。


謙さんは何度も現場で

「時間決めて撮ろう!」

「死ぬから!」

と叫んでいました。



―テスト―


現場は警戒態勢でした。

この気温で裸になると、いつ心臓発作が起こってもおかしくないからです。


中でも一番警戒していたのは、

謙さんでした。


-20℃の暴風雪の中。

こんな状況で柄本さん、命掛けの芝居をしているのにも関わらず私たちに、

「こうやるから」

「こうやっといたら、あんたがた動きやすいでしょ?」

と、私たちが芝居をしやすいようにご自身の体勢をとってくださるんです。


ちょっとネタバレになってしまうので、詳しく書けないのですが・・・。

柄本さんの役者魂に圧倒されました。



―本番―


謙さん、映らないのに私達の目線先で芝居をしてくださるんです。


さっきまで震えていた柄本さんの身体はピタッと止まりました。


カットがかかる度に、猛ダッシュで謙さんと3人のスタッフさんが駆け寄ってきて

4人で柄本さんを暖かいところへ担いでいきます。



その時、私の手には柄本さんの身体の温もりが残っているんです。

私のキンキンに冷えた手で、裸の柄本さんに直接触れるのがすごく申し訳なくて、

柄本さんが温まっている間、私も少しでも手を温めて

また、柄本さんに触れるのですが、全くダメでした。


むしろ私が柄本さんの体温を奪っているんです。


意味は無かったと思うけれど、なるべく襦袢の袖を当てて触れていました。





■オールアップなんだけど。


そのシーンで私達はアップでした。


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ



アップ後、女郎ズはある1軒の建物とお別れをする為に現場に残りました。



(うわあ・・・・・・・。)







今までS#28をはじめとして、色々なリテイクがあったので

オールアップした鷲路ズの皆さんも髭を剃る事に躊躇していたぐらい

本当にアップなのか?と女郎ズも半信半疑でしたが


『これをもちまして、宿場町での撮影を終了します』

と聞こえてきて、ああ、本当に終わったんだな。と思えました。



みるみる姿を消していく建物の前で

スタッフの皆さんが個人的な記念撮影をしている様を見て

ああ、人間はなんて残酷なんだろうと思う気持ちもしましたが、

少し羨ましいなあと思っている自分も確かに居ました。




―12月―

阿部さんから連絡がありました。


「女郎ズ。打ち上げに呼んで頂いたんだけど、どうする?東京だけど。」


ご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』は現在公開中です。


齋藤

お越し頂き有難うございます。


撮影もラストスパートとなった11月下旬。


■お梶とお菊が雪の中を歩くカットの撮影です。



ただ、単純に雪の中を歩けばいいだけの話しですが、

そう簡単にはいきませんでした・・・・・・。



積もったばかりの雪に足跡をあまりつけてはならないので、

テイクを重ねられないという事を聞かされていました。



足元は映らないということで、衣裳部の方が靴下をくださいました。



テストがかかって、早速雪の中を歩いてみる。

雪は膝丈以上に積もっていて、襦袢と下駄では思うように歩けません。


最初のスタート位置に戻り、下駄の中の雪をほろいますが

衣裳部さんから頂いた靴下は、

繊維に氷が張り付いて

そこに雪が絡み付いて雪のだんごになってしまいました。

冷凍された靴下がピタッと肌に触れています。

小さなストーブを用意して頂いていましたが、

足が冷凍靴下でコーティングされていたので、暖かさを感じる事が出来ませんでした。



それからコースを変えて何度か繰り返しましたが

なかなかOKは出してもらえません。

その間にどんどん足の感覚がなくなります。


再びスタート位置に戻ります。

もう痛い以外、何も感じません。

スタンバイ位置に居る役者、スタッフは

誰も一言も声を発しなくなりました。



待っている間に下駄を履いているという感覚もなくなります・・・・・・・。



本番で歩いている最中に、雪の中で下駄が脱げてしまいました。

(どうしよう?!)

何が何でもカットがかかるまでは歩き続けましたが


『もう1回』でした。


後ろでは五郎がふんどし1丁で頑張ってるし、

前では姐さんが先頭を切ってくださってる。


―しっかりしないと!―





ようやく撮り終えると

小池姐さんが近寄って来てくれて

『良かった~』と仰って抱きしめてくれました。

上手くいえないですが、

ジュワ~~~っとしました。




メイク部の方が以前現場で、

「じっとしてると、本当に心の芯まで冷える。

遭難者のように、こういう現場では人との会話が大事ですね」

と笑いながらお話されてたのを思い出しました。


小池姐さんにギュッとしてもらった瞬間、

やっと、私の心が融かされたんだと思います。



待機場所に戻ると衣裳部の方が沢山の湯たんぽを持って来てくださいました。

両手両足に湯たんぽをはめた瞬間

ゾワゾワゾワ・・・・・・・っと

凍り付いていた細胞も一気に動き出しました。




後日、監督がインタビューで

『雪の中を歩くのって、意外と大変ですねぇ。』

と、一言。


李監督らしい一言だなあと思います(笑)泣き笑い



夜はいよいよラストシーンの撮影です。

天候は・・・・・・


暴風雪です。


ご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』は現在公開中です。

齋藤


お越し頂き有難うございます。


エピソードに入る前に


~メッセージを寄せてくださった皆さまへ~


暖かいメッセージ、有難うございます。

映画に興味を持って頂けて光栄です!

個別にお返事のメッセージを入れようと試みたのですが、

エラーが生じて送信ができませんでした。申し訳ありません。

この場を借りて、お返事させて頂きます。




■今日はちょっと番外編です。

女郎チームオフの日の出来事ですので

息抜きだと思ってお楽しみくださいにゃは



【謙さんの知らないところで起こった事件】


11月半ば。

謙さん・浩市さんの殺陣のシーンの撮撮影見学に行きたかったのですが、

例によって除雪が追いつかず女郎メンバーはオフになりました。

そんな、オフの1日のことです。








■女郎ズ達、雪だるま制作に取り掛かりました。


ホテル前の駐車場。


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

邪魔にならないところ発見!雪を敷いて行きます!





映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
土台を作ってぇ・・・わくわく





映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
頭も作る・・・どきどき









映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

大きな雪だるまオジサン完成!バンザイ






・・・とそこへホテルマン登場。






「これ、すぐ崩しますよね?」


・・・え?せっかく作ったのに・・・?




ホテルマンよ、なぜそんな残酷な事をおっしゃる五月女風18???













「ここ・・・謙さんの車の駐車スペースなんです・・・・・・。」


女郎ズピンチピンチ

はい、直ちに移動します。

大変失礼致しました・・・・・・・焦


映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
大きな雪だるまオジサン大移動!





映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
顔重ッ・・・!







映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
無事、雪だるまオジサン引越し完了・・・汗




―翌朝―













映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
進化してるぅ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!

(°Д°;≡°Д°;)


以上、女郎ズ珍事件でした。

ご覧頂き、本当に本当に有難うございました。

映画『許されざる者』は現在公開中です。

齋藤


お越し頂き有難うございます。


今日は女郎ズではなく、苦界に身を沈めた女たちの事です。


■まずは衣裳から。



映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ
お峰:普段着。

女郎達の普段着は、綻び(ほころび)や継ぎはぎだらけです。

1日でも長く着れる様に工夫されている感じがあります。

足元はもちろん、裸足に下駄です。



映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

お峰:仕事着。

先輩の女郎だけあって、色っぽく着こなす術を知っていますね。

私が演じたお菊はもう少ししっかり着ていたので、お菊はまだ慣れていないのだろうなと、想像しました。


■次に髪結いです。




映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

お菊:普段結い。

小池姐さんとお揃いでした。

お梶に教わったのか、分かりませんが

お菊のお梶に対する想いをこの髪型で勝手に想像を膨らませました。


あ。緑色の物体は【女郎ズバッグ】です。女郎役6人全員色違いで持っています。バッグには役名と名前が入っています。プリントされている絵は役名に因んで菊の花です。

小池姐さんは薔薇の花、忽那ちゃんは役名に因んでなつめがプリントされています。

作ってくださったのは、やっぱり阿部さん!!




映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ

お菊:仕事結い。

日焼けして若干茶色くなっていますが見逃してください。


差しているかんざしは、なつめとお揃いです。

このかんざしを見たとき、他の姐さんと比べるとシンプルだという印象がありました。

一番安いかんざしだったのでしょうか。

どういうことかは、後半に書きます。


髪の毛は髪油を使って固めています。


当時の人たちは髪結いし易いように、滅多に髪の毛は洗いませんでした。

髪油の節約にもなりますしね。

私達も髪の毛を洗わないように言われました。



■女郎のこと。


女郎は、一般的には貧困が故に家族に売られたり、自分から身売りをはじめたとされています。


世の中の人たちも両親や兄妹を助ける為だという事情を知っていたので

誰も【淫乱で男が好きだから遊女になった】とは考えませんでした。

むしろ【親孝行をした女】と理解するのが社会一般的な考えだったそうです。


家族を助ける為にはじめた仕事でも、やはりお金の面では苦労が絶えませんでした。

実はお店で自分が着る衣裳も、髪飾りも、髪油も、化粧品も、自分達で買わなければなりません。当然彼女達がすぐにお金を払える訳がなく、楼主にお金を借り続け借金がふくらんでいったそうです。

楼主はこんな風にして彼女達の年季を伸ばす方法をとっていた訳ですね。


本当に必要なお金は馴染みの客から少しでも多く引き出すしかなかったそうです。


そう考えると、『許されざる者』の賞金1000円なんて如何に無謀かと思えます。

本当に1000円集まったのかは定かではありませんが、

袋いっぱいになったあの銭を見ると、女郎達の命がけの覚悟が伺えます。



ご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』は只今公開中です。

齋藤

お越し頂き有難うございます。


撮影は秋山楼クライマックス、殺陣のシーン。

オフだった私達は見学に来ていました。


現場は張り詰めた空気でした。

役者が怪我をしないように殺陣の段取りを入念に確認する謙さんや鷲路ズ。(←巡査たち)


「自分の身は自分で守る」


この現場でよく聞く言葉でした。

もちろん、スタッフの皆さんの完璧なフォローがありましたが、役者自身が気をつけなくてはならないのは、何処の現場でも一緒です。


テストを繰り返す度に、謙さんが、役者達に

「大丈夫?」「大丈夫?」と声を掛けていらっしゃいました。


段取りを影で見ていると、プロデューサーがやってきて、

「ゆい、ゆんぼ。ちょっと来い」

と呼ばれ、例のお仕事だ!と思いついていきました。


到着したのは【飯屋】でした。

プロデューサーとご飯を食べに行った、という話ではなく、劇中の鹿肉屋さんです。

秋山楼から少し離れた場所にあります。





「こういうこと、普通、役者にはやらせないんだけど・・・」





ということで、坂本祐以と二人で夕食配膳をやりました。

女郎ではなく、飯屋の女将になれた気分でした。



その日の夕食はカツサンドでした。

これが只のカツサンドと思われては困ります。


浩市さんがオーダーされた、帯広にあるイタリアンのお店のカツサンドです。


現場はようやく夕食の休憩に入り、スタッフ・キャストが続々と飯屋に来店されました。

スタッフ・キャストの方が

「あれ?何?手伝ってるの?」と驚かれ

「有難うございます!」とニヤニヤしながら去っていく。


女郎ズ、なんでもやりますよ!!頑張ります!腕。




飯屋が満席になって、他の方は秋山楼で召し上がっていました。


宿場町の飯屋といい、酒場といい、本当に、本物でした。


一通り仕事を終え、私達もカツサンドを頂きました。


れが考えられないぐらい美味しかったんです!!!!!

結構大きなカツサンドだったのですが、美味しすぎて2つ食べちゃいました。





―今年8月26日―

札幌での『許されざる者』の試写終わりに監督とプロデューサー陣と食事会をしたときにカツサンドの話をしました。


「あの時のカツサンド、美味しかったですよね」と私

「おお、旨かったな」とプロデューサー。

「カツサンド?」監督が言いました。

「カツサンド食べた記憶ないなあ。」



・・・・・・ん~~~~~。


私が2つ食べた事は言いませんでした。


ご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』は只今公開中です。

齋藤

お越し頂き有難うございます。


11月。


今までオフの日には現場見学に行かせてもらっていましたが、11月に入ると雪が本格的に降りはじめ、除雪が追いつかずホテル待機の日が続きました。



・・・さて、雪はどれぐらい積もったのかな?





部屋のカーテンをピシャッびっくり2と開けると・・・・・・







映画『許されざる者』 齋藤の期間限定ブログ


エゾシカです。

ホテルの部屋から野生の動物を見るのははじめてだったのでビックリしました。


あるロケ終わりの夜、ホテルの敷地内の芝生を食べに来た鹿の群れを車から眺めていたのですが、その時の阿部さんがとても喜んでいらしたのが今でも忘れられません。


ロケ期間中はこの他にも色々な動物たちに出会えました。



ご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』は只今公開中です。

齋藤

お越し頂き有難うございます。


上川オープンセットは10月2週目から≪あられ≫が降り出しました。


■オープンセットまでの道のり

雨が降るとドロドロになって長靴がはまってしまうぐらいのやわらかい土が、10月の冷え込みでスタッフ・キャストの足跡を残したまま硬く固まってしまいました。


大雪山は少しの紅葉を残して、あとは枝が剥き出しになって、こげ茶色になっていました。

どんどんと現場の気温が冷え込んでいく中

早速、極寒の地の洗礼を受けていたのが、メイク部さん。

エアーブラシが寒さで動かなくなるという事態に。


この頃の鷲路村は晴れたり、あられが降ったりと落ち着かない天候でした。

天気とにらめっこの撮影隊と、寒さと闘う俳優部。

今だ!!という瞬間に本番がかかり、またあられが降っては天気を待つ。


ひとつの大きなパラソルに皆で集まって寒さを凌いで話したのは、

この中に、雪男か雪女がいるんじゃないか?ということ。


―来ました、この話題。

この話題に女郎ズ、ドギマギしていましたが、この時だけはその疑いは女郎ズには向きませんでした。


別に居たからです。(※という事になりました)


先輩が外に居るときは、これでもか!という程あられが降り、待ち時間に建物の中に入るとピタっとやむ・・・という繰り返しを小池姐さんと女郎ズが目撃していたからです。


この日の女郎ズの疑いが晴れたのは小池姐さんのお蔭ですねッエヘ


それにしても、10月でこの気温、天気っていうのは、私自身も驚きました。

この頃の札幌はもちろん、紅葉の見頃を迎えるぐらいの時期でしたので、

札幌と上川を行き来していた女郎ズは、軽く、新種の時差ボケになりかかりました。


ご覧頂き有難うございました。

映画『許されざる者』只今公開中です。

齋藤