3/21(金)1300、ぴあ貸切
シアターオーブ二階A席の最前列、上手側でした。
ヅカファンの同級生と。
人気の(笑)カエルさんと、改札手前のタイトルの看板。←すごい逆光でした
古川雄大目あてのチケット取り。
人気あったらしい原作漫画も、アニメも、ドラマも、全く知らずに確保しました。
他の出演者は山崎育三郎(主役)、明日海りお、黒羽麻璃央あたりが有名どころ。山崎も黒羽も生は初見です。
客席に和服姿の方が目立ちました。演目に合わせてコスプレを楽しむのも最近のトレンドではありますね。
宝塚の客層より明らかに年齢が若い。フィナーレの挨拶の時には山崎、古川の時には黄色い声が!
なんでも入手困難チケットとなってるとのことで、立ち見席も抽選で売られているらしい。今日のソワレが終わると、東京は明日が千秋楽で大阪と福岡へ。それぞれ10日ほどの公演です。
まずあらすじ
助六(山崎)とみよ吉(明日海)の事故死の場面から巻き戻る展開に加え、助六と菊比古の子供時代も重なり、時制が過去に飛んだり現代に戻ったり、と慌ただしく交錯します。
2010年と、15年ほど前の原作ですし、アニメもドラマも経ていますからある程度予備知識のある人も多いでしょう。ただ私のように全く内容を知らずに観たものには、特に一幕前半の展開の速さに置いていかれがちでした。
劇場に向かう途中で原作のレビューだけ読みましたが、おおむね高評価のなか、ラストが全く受け入れられないという方が(少数ですが)いて、最低の評価をつけているのが気になりました。どんなラストなのかと戦々恐々で見守りましたが、曰く「気持ち悪くなるほどの」結末とまでは、個人的には思いませんでした。
ネタバレとなりますので、ご了承のかたのみお進みください。
二幕目には色々なことが回収されて、物語がまとまり、小池先生、潤色「は」さすがお得意ですね。
以下ネタバレあります。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
小夏(助六とみよ吉の娘)は、就学前に両親をなくしたことで、菊比古に引き取られて育てられますが、菊比古のせいで親が死んだと恨んでいるようで、育ててもらっていながら、非常に荒んだ態度を取り続けています。ところが無法者が家に上がり込んで無体をはたらいたことで抑え込まれていた記憶がよみがえり、実は母が父を刺したこと、自分が(その場の勢いとは言え)親を突き落として死に至らしめたことをフラッシュバックして思い出します。「あんたが殺したんだ!」とまで菊比古をなじっていたのに、実は…というどんでん返し。菊比古は全て知っていて、小夏のために、ひいては助六とみよ吉のために十何年も黙っていたのですね〜。私は菊比古の心中を思って辛い気持ちになりました。でもその後小夏が菊比古に「ごめん」と謝ったもののそれほど落ち込むでもなく、落語をやっていいと認めてもらって飛び上がって喜ぶのはちょっと人間としてどうなの?とモヤモヤしたことは否めません。同行の友人もそのあたり引っかかったようです。
出演者のかたがた
雄大くん目当てでしたので、当然最も注目していました。期待に違わずいい芝居を見せてくれました。不器用でまじめな菊比古は、まるで周囲の人に聞く雄大くんそのもののようでしたね〜。本当によく似合っていました。ルパンやモーツァルトとは全く違う役でしたが、菊比古は彼本人とは近かったんじゃないかな?もちろん作っているところはあって、ちょっとオネエふうの言葉遣いがまたゾクッとしました。
育くんは主役ですが、若干汚れ役でした。出自もよくなくて風体も汚く、女遊びも盛ん、名跡に関する欲もむき出しで、師匠受けもよろしくない。しかし天才、というめんどうな役で、菊比古とは対照的な人物を体当たりで演じていました。育くんはけっこう野心家の印象なので、役柄に重なる部分も感じました。
あの~しかし…、私には彼のセリフや歌唱がよく聞き取れないことが多くてちょっと疲れました。対して、雄大くんのセリフは非常にハッキリ聞き取れましたので、声質との相性かもしれません。
スミマセン(_ _)
明日海さんは9 to 5に次いで宝塚退団後二回目の拝見。すっかり女優さんにしか見えません。夜の世界で生きる女性で、男性遍歴も豊富なホステスというまるきり本人の資質とはかぶらなそうな役。在団中から明日海さんのファンで、今も舞台を必ず観にいくという方が、「きれいはきれいだけれど色気がない」と嘆いていました。作中菊比古が、どうすれば色気を出せるのか?と悩んでいましたが、人間関係や生活からにじみ出るもので、教えてできるものではないのかもしれません。難しいですね。いつも何かにまっすぐで、ピシッとした役が多い感じですし。しかし彼女もまだまだ伸びしろがあるという期待がもてそうです。
麻璃央くん、生では初見でした。はじめは彼が(陰の)主役かな?と思ったくらい達者な狂言回し的な役割で、歌もうまいのですね。小夏の机の前に貼ってあったアフロのミュージシャンのポスター(小道具)は、もしかして麻璃央くんでしたかね?二度見三度見しちゃいました。かるくてバカなキャラクターを軽快に演じていて、ムショ帰りながら純粋で愛すべき人物像がとても良かったと思います。え?それでwikiで見たら、奥様は七歳年上の桜井ユキさん!NHK朝ドラ『虎に翼』のおひいさま、涼子様なんですね!なんか楽しい家庭が想像できるような気がします。
中村梅雀さん、昨年暮に『天保12年のシェイクスピア』に三姉妹の父親役で拝見。東京の後、大阪、福岡、富山、愛知と1月末までやっていて、2月末からもう『昭和元禄落語心中』に出演とは!なんとも売れっ子役者です。テレビでもしょっちゅう見るような気がしますが、舞台にもこんなに出ていたのですね。いやもう、すごい貫禄で、臨終間際の菊比古とのやり取りは圧倒されました。
他のキャストを確認すると…

天路、希良々、澄風とヅカOGさんたちが!
アンサンブルで動きも早いし特定はムリでしたが、活躍うれしいです。
子役は複数キャストの日替わり。どの役者も歌がうまく感心する舞台度胸です。わざとらしい言い回しも舞台では特に問題なく、子供時代だとわかりやすいので演出としては良かったと思います。
今さらですが、タイトルの落語心中って、落語の世界での心中事件というわけじゃなくて、落語と心中するという意味だったのですね。 知識不足で汗顔の至り。
漫画原作のドラマやアニメは枚挙にいとまがないほど多いし、テレビドラマや映画界では漫画を原作にヒットを狙いたいと、鵜の目鷹の目でウォッチしていると聞いたことがあります。
原作者の雲田はるこさんはあまりやメディアに出ないようで、プロフィールなどがわかりませんが(プログラムも買ってないです)、活動期から推定するに40代以上なのかな?他の媒体での展開についてこまかく物言うタイプの方もいますが、雲田さんは発表したら自分の手を離れたと考える方なのかしら?どの媒体も成功していることから、うまくバランスがとれているのかと推察します。
日本発のミュージカル、小池先生の脚本で研音のミュージカルスターを配しての旗揚げ公演、なかなかの上出来、成功だったと思います。公式サイトによれば、明日海さんには四年も前から育ちゃんに共演を誘われていたそう。
ただこれが世界に出て上演できるか?と言うと、やはり落語界という特殊性もあるので、我々日本人の、戦後世代にも場面によっては共感が厳しい。このミュージカルを翻案として別の国の別の大衆芸能を舞台としたらいけるのか?
時をおいてまた別のキャストでというのもありですね。宝塚ではどうか?という声もあるそうですね。トップ娘役が割を食う感じの一方、男役にはそれぞれのキャラを活かすいくつもの役がありそうですが、それはまた別の話。
終演後の挨拶は、育ちゃんに(突然?)振られた雄大くんが「みなさん、今日はお集まりいただきまして」と天然の社交性無しキャラを発動。客席から笑いが起きて大慌てで言い直すといういつものドタバタ感。雄大くんの挨拶を受けて「(チケ難公演とは)僕たちすごい人気ですね〜」ときちんと回収する育ちゃんさすがてす。このやり取りがまた楽しいのよね。いつまでも変わらないでほしいものです。
ところで開演前に、繰り返し繰り返し繰り返し(笑)、舞台セットの写真を撮らないように注意がされていました。ヅカファンですかね?開演前の幕は自動的に撮る癖がついてますから、ついうっかりです。