10/24(木)12時公演

相模女子グリーンホール、A席。

二階、17列(最後列)かなり下手。遠かった…

阪急交通社にて。





大海賊

再演ものですが、実見したことはありません。星組北翔さんの全ツの放送を見たことがあるのみ。


海賊に両親を殺され領地を焼きはらわれた(エグいガーン)領主の息子のエミリオは、偶然海賊に助けられ仲間入りし、復讐を誓う。海賊となり襲った商船に乗り合わせていた貴族の娘に惹かれるものの、実はそれが仇の妹だったというなんともベタな展開。


今回何を書こうかとけっこう悩みました。

いつもこういう救いのないような展開の作品だと、悲しいを通り越して腹立たしい思いが湧き上がるのですが、腹も立たない代わり、哀しくもない。もちろんハッピーでもない。ジリジリも、ドキドキもしないようにできてるのか…?あー、中村暁先生なのね、とここで妙に納得。直近の大劇場芝居作品が『邪馬台国の風』でしたね。


初見ではありますし、印象に残ったことを順不同で。


風色くん、亜音くん以外の路線男役がこちらに振り分け。瑠風、鷹翔、成くんは仇役。瑠風がハッキリ主人公と対立する側になったのは、『群盗』に次いで二回目かな?この三人とも陽のずんちゃんとは異なる雰囲気を持っていて、性格的には番手上から穏やか、フニャフニャ、活発という印象ですが(こっていファン、ご容赦)、ビジュアル的に悪役もスンナリ似合うトリオだなーと。ずんちゃん、風色くんの系譜は、悪役にはちょっと苦戦しそうだなと思います。あくまで外見上はです。


輝ゆうくん(102期)、赤のターバンの下はスキンヘッドに見えるような髪型で本気の作り込み。

前回『ル•グラン•エスカリエ』で注目された嵐之くん(104期)にはソロ歌唱あり。106期ながらもはや貫禄充分なのあんくんはソロはもちろん、芝居の中でもセリフも多く、仲間内で要となる役を担っていました。研5でなくて、研15では?という囁きもチラホラ笑

真白くん(104期)は海賊仲間。お調子者で気のいい若者がよく似合っていました。ソロ歌唱もありましたね〜。

海賊仲間の一人、斥候?には渚ゆりさん(106期)が少年役として元気にハツラツと演じて目を引きました。

人数半分の全ツだからというのもありますが、本公演ではまだ目立った場面のなかった107期織史くんや朱くんにも、娘役の澄乃さん、結沙さんにもセリフがあり露出が増え、研4が舞台人としてはひとつの節目となるのかも…という気がしました。

そしてみねりちゃん、前作ではすごく痩せていたのが気がかりでしたが、女海賊を快活に演じていました。ショートカットの髪型が愛らしく、やはり存在感抜群です。


ちょっとだけ気になった場面があって。

終盤敵味方入り乱れての戦いの場面で、体操的(アクロバット?)な動きを使って立ち回りを演出していたのですが、もちろん相手に直に当たらないようにしなければならないとしても、なんかスローモーションを見ているようで、むしろこの演出要らなかったのでは?あまり側転とか得意には見えませんでしたし(波輝くんなら難なくこなしたかも)、普通の立ち回りで充分だったかと。そう感じた大きな理由の一つは、たぶん私が近頃2.5次元や劇団☆新感線などの外の演劇を拝見する機会があって、男性アンサンブルのかたの高い身体能力や殺陣の早さ、迫力を目の当たりにしてしまったから…というのがあると思います。宝塚歌劇にそんなことを求めていませんしね…


ききちゃんのいわゆるお姫さま抱っこにはビックリ。ダンスの佳境で相手の体幹も利用して、遠心力を使うリフトならともかく、意識の遠のいた状況の役の人を女性どうしで床から抱き上げるって、さくらちゃんが軽いとしてもどんだけの筋力…びっくり

小舟に乗せなければならなかったから移動は必須だったのでしょうが、たとえば大道具の小舟の方を動かして、乗せたふうに演じてもよかったかも…と詮無いことを案じつつ見ておりました。


それにしてもこのあとエミリオはどうしたのでしょうね?エドガーに復讐は果たしたものの、愛する人を失い、結局陸には上がらずまた海に戻ったのでしょうか…

そしていつか捕まって縛り首?『大海賊』というタイトルの皮肉さに泣けますね。所詮は犯罪集団でもあり、うまく国家の戦略に乗ってどこぞの総督とかにもなりそうにない性格でしたし、このまま行方知れずというのが一番穏当な結末かもしれないなーと思ったら、初めて切なくなりました。



Heat on Beat

さて気を取り直してショー。

瀬奈じゅんさんの退団公演が初演だったそうで、きりやんと龍真咲でも再演された月組のショーですね。どちらも実際に観たことがなく初見です。


一回観た印象としては大人っぽい雰囲気だな〜と。

ジャズ、ロック、ラテン、タンゴ、シャンソンと異なるジャンルの音楽がてんこ盛りで、場面ごとに違う顔を見せてくれる演者の皆さんに釘付けと言うより、キョロキョロ(笑)

前作で春乃さくらさんの魅力にノックアウトされた私は、今回もティーンエイジャーのロックファンをギンギラに演じまくる、彼女がとても可愛かった。また男役5人と踊るタンゴの場面では、別人かと思うほど美しくて、アップに結った髪に瞳を瞠ってキリリと踊るのに目が離せませんでした。

後日きりやんの中日劇場公演を録画で見ましたが、退団間近の彼女にようやく間に合ったくらいの時期にファンになった私には、(この人は歌がうまいという認識だったけど、ダンサーでもあったのか…)と思うほど、ダンスのピックアップの多い作品となっていましたので、そこは今回の宙組公演とは違うカラーで、ききちゃんの歌唱がたっぷり楽しめるショーとなっていました。

みねりちゃんの存在も欠かせないと思いました。バウと別れての公演ですので、歌にしてもダンスにしても彼女に匹敵する娘役はまだ育っていない感じで、男役の大渋滞に比べてそれはまた別の課題かもしれません。

男役のダルマもオペラ泥棒。こってい、真白くん、成くん、のあんくん。皆さんお綺麗でしたおねがい



宙組全ツは、特に福岡でお譲りがたくさん出ていて、(やはり宙組売れないのね)という向きが多いと思いますが、実は会場の福岡サンパレスホール、2316席と大劇場に迫る客席数。そこで2日間4公演もやるのですから、動員必要数は9200人。空港からは地下鉄とバスを乗り継ぐことになり、博多座ほど交通の便もよろしくなく、博多座のようにほどよいキャパ(1454席)でもない。二日目のソワレなんて帰京が難しいですから、近隣にお住まいの人でなければ避けたい時間ですし、正直宙組でなくてもたいへんな条件よね…


今日お隣だった方が、れいちゃんの退団公演もれいこさんの退団公演もチケットが取れなかったとおっしゃって(友の会だけだとなかなかね)、芹香さんも難しいでしょうね…と言うので、「宙組はホラいろいろありましたから、(もしかすると競争率それほどでないかも…)」と言いかけたところ、「いろいろありましたけど、それはそれですから。」と、なんとも含みのあるお返事が返ってきました。



相模原は満席。


ショーは客席側からも気持ちを発信できるので、拍手や手拍子や掛け声で、生徒さんを応援する気持ちに満ちていたと思います。

ききちゃんも晴れやかな笑顔を見せてくれています。退団も発表して、先の先のことはあまり考えず目の前のことに誠心誠意打ち込んでいるのではないかという気がします。彼女たちがお客さんに語りかけられる場所は舞台しかない。私もそれを真摯に受け止められる心を持っていたいです。


このあと福岡に遠征も決めたので、複数回見るうちに思うことは変わってくるかもしれません。

とりあえず今日は初見の覚え書き。