9/5(火)昼前からの『エリザベート1878』

東宝シネマズシャンテにて。


宝塚ファンにはおなじみの『ミュージカルエリザベート』ですが、実は個人的にはエリザベートそのひとになんの共感も持てなくて、いつもモヤモヤ。そんななか、『エリザベート』というタイトルの映画が上演されるらしいと聞き。

そのフライヤーが こちら 下差し




衝撃的なポーズ。
これはもしかしてこれまでのエリザベートとは違う切り口では?と期待して封切りを待っておりました。
40歳の一年間にフォーカスを当てて、迫りくる老いとともに容色の衰えと戦う?エリザベート。
今なら40歳なんてまだイケイケですけど(笑)

東京宝塚劇場のご近所のせいか?観客はほぼ宝塚ファンかな?という客層で。残念ながら入りはよくなくて、三割(多くて四割)くらいだったでしょうか…

順不同ですが印象に残ったことを書き連ねるとまず、ヨーロッパ映画っぽいなーと。特に起承転結のようなストーリーもなく、セリフらしいセリフもなく、淡々とした情景描写が続くこの感じ。『青いパパイアの香り』という30年くらい前のフランス映画を、唐突に思い出しました。
それと皇帝一家の話の割に、周囲に人が少なくない?
宝塚の舞台で宮廷にいつもいっぱい人がいるのを見慣れているので、従者らしき人が少なくて建物の中も外も意外なほどに閑散としていて、さびれてると言ってもいいような感じ。
また、建物がオンボロのような気も…。セットでなく実際の建物を使ったのかもしれませんが、壁や床が汚れていたり剥げていたりで、宮廷の華やかなイメージにはほど遠かったかも。予算の問題かな?
エリザベート一人に焦点を絞った人間ドラマということで、背景含めて外野はできるだけ割愛なのか?
などとツラツラ考えながら見ておりました。

原題は『コサージュ(またはコルサージュ)』(フランス語でコルセットを意味する)。エリザベートが縛られていた環境を、女性のウエストを絞るコルセットになぞらえたタイトルらしい。
皇帝一家の象徴として、美しい容姿を求めて迎えられた皇后が、その美貌と体型を保つための涙ぐましい努力!乗馬(好きだったらしい)、水泳、フェンシング、器械体操などのエクササイズのほかに、過度と思える食事制限も。「紙のように薄く切ったオレンジ」とビーフコンソメくらいしか口にしなかったようで、自身束縛を嫌いながらその呪縛から逃れられていないのがなんか哀れでしたね。やはり痩せていて、(かつ若くて、美しく)なければ、自分に価値がないという切迫観念にさいなまれていたのか、今なら摂食障害と診断されそうです。
映画では、侍女を影武者に仕立てて表に立たなくなってから、(このへんはフィクションかもしれませんが)モリモリ食事をしてデザートまで食べてて、解放されて幸せそうでした。せっかく?贅沢のできる環境だったのに、ダイエットのためにおいしいものを食べずに長年我慢していたんですものね。美食をとるか、スレンダーな体をとるか、一般ピープルとしてはなにごともほどほどが大切ではないかと思うばかり。

ラストシーンは船の帆先から身投げする遠景で終わりますが、こちらは史実とは異なるので、心象風景の一種かなーと。過去の自分とお別れ、てきな?

以前いっしょに仕事をしたことのある主演女優のほうから、監督のマリー・クロイツァーに逆オファーのようにしてこういうアプローチでやりたいと。監督自ら脚本も書いてつくることになった成りゆきだったらしく、主演のヴィッキー・クリープスには思い入れの強い作品だったもよう。エリザベート=クリープスのように自分を重ねて演じていたのではと。クリープスという女優さんは、「殻を破り続けること」が自分のモットーと考えている方のようで、コルセットに縛られていたエリザベートを解放してあげたかったのかもと思いました。

ところでエンドロールでは、一人で舞踏室で踊り続けるエリザベートが延々と映るのですが、終わり近くで振り向いた彼女の鼻の下になんと!立派な髭がついてまして…!?
うーん、これはいったいどんな意味が、と煙に巻かれた感じで幕となり、、、。

え?どゆことなの?