ウエクミさんのインタビュー記事が話題になっているようで…

遅ればせながら。

なぜこれを書こうかと思ったかと言うと、テレビで三谷幸喜さんのインタビューを見たから。


私は舞台を観るのは好きですが、作り手にはとんと興味がなくて。前にも書いたような気がするので繰り返しにはなりますが、界隈の皆さんが誰々先生だから楽しみ、とかビミョーとか言うのを聞いて、試しに自分が好きだった作品を10作挙げて演出家を調べてみたらまぁなんとみごとにバラバラで(笑) 。だと思った。そんななかでもウエクミさんの作品は複数入ってて、彼女の表現が好きなほうだと思ってます。

ただ当たり前のことですが、同じ人でも同じ品質で作れるわけではなくて、駄作もあれば佳作もある。あるいは同一作品でも人によって刺さるものとそうでないものもある。役者や演出家がコントロールできるようなものじゃない、板に乗ったら評価は観た人のものだと思います。作り手のこだわりは尊いものではあると思いますが、それで商業演劇が成り立つなら苦労はしません。


過日ウエクミさんの退団のニュースと旗揚げ新作の報道を見たとき、やはりそっちのほうに行くのねと合点がいきました。表現に携わる人には2つのタイプがあって、人を喜ばせたい人と、自分を表現したい人。違う言い方をすれば、芸人気質のかたと孤高のスタンスのいわゆる芸術家肌のかた。どっちがいいというわけではないですが、ウエクミさんは後者なんだと思います。


ヨーロッパのように、誰が出ているのかに関係なく演劇を見にいく環境であってほしいようなこともおっしゃってましたが、それには日本では高い壁があって、言わずと知れた料金です。おそらくヨーロッパでは国が文化事業に相当な援助をしていて、料金が安く抑えられているのでは?でなければ、物価の高いヨーロッパで一般の人が気軽に演劇に行けるはずがない。高い料金を支払うのであれば、誰が出ているのかは当然重要なファクターですよね?それを知らないで高いお金を払って観に行って、挙げ句にとんでもない駄作だったら、暴動ですよ。木戸銭泥棒!ってやつです。

せめて数千円で演劇が観られれば裾野は広がると思いますし、理想ですけど、日本でそういう環境が整うとは(残念ながら)とても思えないし、商業として成り立つためにはやはり役者の人気は必要です。

でもこういう問題提起は悪くない。みんなが考えるきっかけとなりますしね。


三谷幸喜さんは、脚本を書くときにこの人にこういうことをやってほしいということが出発点だそうで。役者にインスパイアされて筆を進めるのだそうです。まず役者ありき、と明言されてました。思うに、自分は裏方だという立ち位置なんでしょうね。三谷さんに宝塚の脚本を書いてもらったらいいんじゃないの?と思いましたわ。当て書きが得意そう。執筆料金が高そうですが笑


ウエクミさんの批判をするものではありません。

彼女は今後、誰が書いたのかで観にきてもらえる脚本家、演出家になれたらいいなと。

彼女の作品はいろいろ考えさせられて好きでしたから、修行が済んで日本の演劇界に戻ってきたら、注視していきたいと思います。


今日はJCBの貸切公演に、娘が、【自分の友だちのお母さん】と出かけています。2階のセンター2列目。良席よ。私が行ってもよかったのですが、娘の交友もだいじかなというところで譲りました。30年以上前からの花組のファン。いわゆる出戻りだそうで。ふしぎなご縁が繋がっていきます。