9/18(日)11時、セディナ貸切。
2階1列目、センターブロック。2階のS席選択ではベストの席を引き当てました。娘と。
出かけるときは、最寄り駅付近は台風の影響で警報が出るほどの大雨で、自分もびしょ濡れ、電車は直前の駅でたまたま車両故障で運休になったため、2編成分の乗客がギュウヅメで乗車する羽目になり、無事に到着するか危ぶまれましたが、なんとか開幕前に到着できて…
そして今日も、無事に公演が行われることに感謝です。
れいこさんの美の暴力に呆然とした感のある初見でしたが、本日三回目、少し冷静にみられたらと。
そもそも「1920年代のアメリカ」、というのは今とは全く異なる世界観なので、自分に引き寄せるのでなく突き放してみることが肝心かも と今さら(笑)
歴史の浅いアメリカでも150年の年を重ねた頃、身分差や貧富の差も出てきて、でもまだまだ一攫千金アメリカンドリームもワンチャンあって、希望や勢いもあるけど、どん底もありのアップダウンが激しい世相。
そんなアメリカで上を目指して生きることは自然な傾向だったんだろうなぁ、、、地道な努力をする向上心に燃えた人も、不正な手段で成り上がろうとする人も、他人を陥れても利をとろうとする人もいて、、、すごく人間味の溢れる世間。
特にグレートギャツビーでは、圧倒的多数の普通の人々でなく、特殊な上流階級と、裏社会が舞台となっているのでドラマチックな出来上がり。イメージにある、アメリカ映画っぽいですよねー。
ありとあらゆる自分勝手な人物が登場し、一人一人キャラ立ちがして、それぞれを役者が作り込んでいるので、見ている方も真剣に腹が立つし、憎たらしく思ったり、かわいそうに感じたり、舞台の進行とともに泣いたり怒ったり心が動かされる。
パーティーや潜り酒場やコンペの場面以外では、舞台に二人か三人でじっくり芝居をしていることも多く、広い空間を埋めるその少人数の芝居にとらわれて見入ってしまう。いかにも月組にふさわしい作品では!
時には、大人数が舞台にいつも?出ていて、セリフがなくてもそれぞれが自分の設定で芝居をしている作品もあり、その役者の努力にも頭が下がりますし、それはそれで楽しくもあり、迫力もありますが、人の心を揺さぶるのはやはりこういう『深さ』だったりする。
それでいて主要人物以外には出番がないかと言うとそうでもなくて、私は107、106期(研2、研3)の生徒さんをよくさがすのですが、(あ、ここにも出てる、こっちにも)といろんな場面に出演チャンスもあって、うまく使われてるなーと感心。
れいこさんのソロが聞かせるのは言うに及ばずですが、コーラスも良くて、ウルフシェイムの見せ場『俺たちの見る夢』は目をひくかっこ良さ(イヤ、裏社会の悪人たちだとわかっちゃいるんですが)だし、『神は見ている』も、るうさんの渾身のソロに始まり、次第に厚みを増していくコーラスはゾクゾクしました。
以下、センター付近の方々について。
うみちゃんは名家に生まれ、美しくて年若く、しかたないこととは言え世間知らずで、母親が「あんなに気まぐれな子に育ってしまって」と心配するほどのよく言えば天真爛漫な役。事故を起こして、ギャツビーが自分の身代わりとなって殺されてからの変わりようが、秀逸でした。切り捨てるのか、忘れるのか、背負っていくのか、余韻を残して去るのに、その後の人生のさまざまを思います。
トム役のちなつさんは、もう最低の男でしょ。お金持ちでスポーツマン、身なりにお金をかけられる分、たぶんスマートでかっこ良くて女にもてる。一目惚れして結婚したはずの妻を放ってよそに愛人を作りながら、その愛人とも遊びに過ぎない。客観的に見ているとほんとに最低の男なんですが、かっこ良さとイヤらしさが腑に落ちるリアリティで、(ほんとにやな奴)と思う分、ちなつさんの芝居力にやられてるんだなーと可笑しくなります。
たった一人?まともな登場人物のニック風間くん。
ギャツビーの人柄に惹かれ、トムの友だち、デイジーのまたいとこでありながら、二人の不倫に協力的。ジョーダン(みちるちゃん)のようにトムに直接皮肉を言ったりすることはないものの、心情はトム寄りというよりはギャツビー寄り。彼の素朴で実直なライフスタイルが一条の光のように作品全体を照らしている気がします。ひねくれた芝居もできる人だけど、こういう陽の雰囲気もまとって又よしですね!
娘②のポジションのジョーダン・ベイカーのみちるちゃん。素の彼女はちなつさんに「ガオーって感じ?」と言われるような、ふしぎちゃん寄りの雰囲気ですが、いわゆる憑依型の役者なんですかね?一流のスポーツ選手で自信たっぷりの役を違和感なく演じてて、現代からみても、セリフがいちいちかっこいい。誰にも遠慮なく、自分の思うところを貫く感じが、私は好ましく思いました。
専科からの輝月さん。そりゃ元々月組だから当然ですが、しっくり馴染んでましたよね~。特にショーでは普通に月組生として楽しそうに踊っててほほえましかった。芝居ではやはり貫禄増しましたよねー。どの組に特出しても押さえのいいポジション、期待しかないです。
蓮くん、るねくんや、はるくんのことも注目してましたが、これはまた続く、ということで。