6/7(火)1330公演。セディナ貸切。
一階14列の下手で。
3回目の観劇です。
珍しくお譲り掲示が目立つ興行ですが、さすがに(チケ難が常態の)東京では目立つ空き座席はなく、少なくとも一階はほぼほぼ満席でした。
かっこいいトップスターさんは期待できませんが、毎回眠気も起きず、最後には楽しかった~で幕が降りるよき芝居。そんな陽気な進行のなかでじわっとくるのが、あやなちゃん演じる悪七が悔い改める場面。妻と謀って伊勢屋からお金を騙しとるつもりが、却って夢介にしてやられてしまって「まいりました!」と土下座するシーンが私のなかではこの芝居のピーク。落涙するほどではありませんが、涙がフワッとにじんできます。
ここに至ってしみじみ彼女が卒業なんだな~という感慨と重なるのかも。
私ごとですが、40年来の付き合いの同級生と話したときに、体のケアの話からふと宝塚の話題になったことがあって、その時に初めてわたしが宝塚ファンだとばれて(笑)、それ以来彼女の知人の紹介で98期のある生徒さんの応援をすることになりました。98期が研4の頃です。初舞台が2012年大空さん卒業時の宙組『華やかなりし日々』で、大空さんファンの私にとっては忘れられない作品。なん年初舞台と言われてもピンとこなくて、(2012年が98期だから…)と、そこから足したり引いたりしてなん期かを確認する基準の学年です。いわゆる箱推しとでもいうのでしょうか、縁あって組を越えて98期を気にかけてきました。
研10を控えここ一二年、98期生が次々と卒業していき淋しく思っていましたが、まさかあやなちゃんもとは、青天の霹靂
『ひかりふる路』と『ファントム』で新公主演、組替した雪組にもなじみ、同期の真彩がトップ娘役となって注目度も増していた ように感じていたし、御曹司の縣がいるとは言え、上級生としておいしい役を得られるポジション、加えて宝塚市の出身で地元愛もあるだろうし、このタイミングでやめるなんて誰が予想していたでしょうか?
でも彼女自身が決めたことは尊重したいし、あらためて振り返ればとても彼女らしいさわやかな引き際のような気もします。もちろん上を目指してガツガツいくジェンヌ人生もまちがいではありませんし、その熱量も捨てがたい魅力。ただあやなちゃんはそうしなかった。与えられた役を誠実に生き、私たちのなかに清涼な風を吹かせました。そこに黙って立っているだけですーっと目が寄っていってしまう存在でありながら、他を邪魔しない透明感。
そしてショーでのたびたびのピックアップ。一人での銀橋渡り、黒燕尾で銀橋で歌う(おそらくは彼女のために作られた)ソロ曲、トップスター咲ちゃんとの絡み。一人しか退団者のいない公演でもあり、そのはなむけは三番手スターの退団公演並みだったかと。
敢えて言わせていただければ、可憐な男役さんでした。
あと一週間もありませんね…最後の男役姿、忘れません。