4/7(木)13時公演。中日だそうです。

ファンクラブで購入。ほぼ最後列の下手。小さい会場だし、後ろは傾斜もあって意外に見易かったです。

シアタークリエ自体は2回目です。1回目は仲間由紀恵さんの『放浪記』爆笑 2015年だったかと。PTA行事で団体観劇でした。いつも通っている(笑) 東京宝塚劇場前の、地下の小さめの劇場で何をやっているのか、さして興味もなく通りすぎることが多い場所。若い女の子の行列が続いているときは、ジャニーズ関連の公演かな?と横目にちらり。

退団したOGさんが、出演する重要な箱のひとつと知ったのはわりに最近。卒業したらもう後を追うことはほぼなかったから。

望海さんが主演の日程で、チケットをゲット。とうこさんも好きな演者ですが、諸事情あり今回は望海チームだけを2回観劇します。


幕間の25分を入れて、3時間弱で終演。

…なんか思ったのと違ってた。

正直もっとわけのわからない話なのかと勝手に思ってました。内容に双極性障害を扱っているので不条理劇のような?もっとわかりにくくて、見終わったあと(なんだったの?)とぽかんとするような幕切れを期待していた?と言ってもいい。

意外と胸に落ちやすくて、そこかしこで泣いてる人もけっこういました。いや、私は全く泣けませんでしたが。

めっちゃ暗い話かとも思いましたが、演出上、またはセリフでもスパイスのように所々笑えるところもあって、そんなに沈みこむような流れでもありませんでした。なにより初見の第一印象としては、これロックミュージカルじゃん?みたいなかんじ。

セットも近代的で、光と電飾を効果的に利用。小道具はほとんどないのですが、家の柱組みのような2階建ての大道具が、あまり停止していることなくゆるりと回り続けていて、その中を上ったり降りたり、陰に入ったり急に現れたりしながら時間の経過や場所の転換を示す演出。どこを上ってどこに降りるか、方向音痴にはキツそう (笑)

『Into the woods』で王子様だった渡辺大輔さんが夫役、他に知った名前としてはゲイブ役の甲斐翔真、ナタリー役の屋比久知奈。他のお二人も含めて歌唱になんら不安はなく、物語を楽しめました。マイクの割れや重唱などもあり、一言一句明確に聞き取れたかと言うとさすがにムリでしたが、筋書きの流れを掴むには充分。ストレスなくみられました。

ダイアナは感情の起伏の激しい役なので、気持ちを動かすのはほんとに気力も体力も使いそう。望海さんの歌も囁くように、怒りながら、泣き叫びながら、または茫然と、はじけて、苦しみのなかから絞りだすように正に自在に歌われ、舞台の上で本当に涙を流している彼女を初めて見て、胸が痛かったです。


物語は、双極性障害を患う主人公に振り回される家族の有り様を描いたもの。6人の登場人物のなかでは、私は娘のナタリーに心を寄せたくなりました。一般に闘病に関わる話を見聞きすると、病気の当人はもちろんたいへんだとは思うのですが、家族も相当ストレスを抱えているだろうと。というのは、辛いのは病気の当事者であって、周りのひとたちは支えなければならない、支えて当然というプレッシャーに常にさらされていると思うから。家族の具合が悪いのは辛いものです。でも、だからはしゃいではいけなかったり、行きたい所へ行けなかったり、欲しいものをもらえなかったり、子どもなら尚更すごく我慢をしているにちがいない。ましてナタリーは、存在すら母親にスルーされている立場。賢くて優しくて思いやりのある子に育っているものの、抱えている空虚感はそうとうなものでは。最近では親が病児にかかりきりの、きょうだいのケアが取り上げられることがありますがさもありなん。


カーテンコールは心底楽しそうな望海さんが真ん中に立ってご挨拶。舞台も低いし、箱も小さいし、とても近いですね。

出演者同士、元気ー?と確かめるのが日課だそうで、3

回目のカーテンコールのときに望海さんが客席に向かって両手の拳を前方に突き上げて「元気ですかー?」と聞くと、ノリのいい客席全体から一斉に同じ仕草が返ってきて、おおお!びっくりと戸惑う出演者の皆さん。笑笑「初めて見た光景です」って驚いてた。トップスターの呼びかけに、阿吽の呼吸でリアクションを返すのに慣れているファンならではの返しでした。


短いお稽古期間で次々と新しい試みにトライするのにもはや呆れるほど感心しますが、充実の現れなんでしょうね。次はもう『Guys&Dolls』が控えてますし。走り続ける彼女を追うには、私も走り続けないと。(息切れもよう笑)

長いことつとめた男役を引退してわずか一年後、ここまで自然に女性を演じられるとは、、、いや?そもそも女性でしたっけね。でもこないだの魔女といい、今回の双極性障害の母親といい、ちょっと『普通の』女性とは違う、いわば『普通の隣』。次作品こそが正に典型的な女性役かもしれないですね。