TARKIE THE STORY、2/15(火)14時公演。これが終わるとあと3公演。千秋楽の前日です。
よく宝塚をご一緒に観劇するお友達をお誘いしました。
e+扱いの、キャスト先行というくくりで(一応抽選で)購入しました。驚いたことに前回と同じく3列目の下手です。
ご本人たちを紹介しなければ。上がプログラムよりターキーこと水の江瀧子(凰稀かなめ)、下がネットで探したオリエ津阪(彩凪翔)
お話は、アイドルグループを卒業した女性タレントが新聞記者の取材で「男っぽい女優をめざしたい」と言ったのに、記者が「ターキーですね!」と返すところから始まります。この二人が狂言回しの役割を担い、歴史をひもといていくという展開です。
すぐに松竹楽劇部(のちの松竹少女歌劇団SSKD)の舞台が幕を開けて、フリンジの付いたVネック、ノースリーブのストンとした白いドレスを身に纏った少女たちが集団で踊りを披露するなかに 翔ちゃんがいるんです。ストレートのおかっぱヘア!もう本当にかわいらしいったら~
はじめのこの出番を見逃す人が続出、と公式Instagramで「ご注目くださーい」と宣伝していましたが、私は見落としませんでしたよ
(今か今か)と待ってましたし、なにしろ発光してますからね(え?発光してますよね?w)
翔ちゃんの演じるオリエ津阪は、振り付け師に「踊りはピカイチ、お顔もピカイチ、あなたに足りないのは自信だけ」と言われているように、ちょっと内気な感じの子です。なんか私の思う彩凪翔さんご本人に似てるな~と。
衣裳もレトロな雰囲気でかわいかったです↓
Twitterより
宝塚歌劇団は松竹少女歌劇団の『敵』、緑の袴軍団としてちょっと茶化した演出で二場面だけ登場します。世間の宝塚のイメージって、まぁこんなもんなかな?笑。お嬢様で良く言えば品があって、すましてるみたいな、庶民派?松竹とは対立したグループとして描かれていますね。私は許容範囲です。
ターキーが待遇改善を求めるストライキ(曰く桃色争議w)の首謀者として会社を追われたあと、推されるようにしてトップをつとめるはめになりますが、やはりどことなくやらされてる感がつきまとう。そしてターキーでなければ興行が成り立たないということで戻ってきた時には、「ごめんなさいっ、私…」と口ごもる。舞台に立つ人がこんなに自己表現が拙くてだいじょうぶか?と心配するレベル。なにしろここまでほとんどセリフがないので、翔ちゃんも役作りが難しかったのではないかなー?と思います。
前出演作の『フランケンシュタイン cry for the moon』からの間があまりなく、おそらくは脚本だけで公演中も自主稽古をしながら備えてきたのでは?時間がなくてたいへんだったですね~などとインタビューで聞かれると「宝塚時代はもっと忙しかったので平気です」と、多くのOGさんが答えますが、いや、ほんとにどんだけ忙しかったの?と思うばかりです。他の出演者が稽古に入り次々Twitterが更新されるなか、疎外感などなかったのか?と精神的なことも老婆心ながらあれこれ思うのですが、そこは宝塚OGが複数いる現場、スンナリ入り込めたのかな?と繋がりの心強さに期待したり。舞台裏のあれこれまで身内のようにヤキモキする、ヅカファンあるあるなのか?それこそよけいなお節介というものですね。(笑)
翔ちゃんが出ていなかったら観に行ったかと言うと、正直なところ観劇はしなかったかと。ショービジネスは出演者のファンを呼び込むのは肝ですから、翔ちゃんにそれだけの動員力を期待されたものと思います。実際私のような末端のファンでもほだされて行っちゃうわけですから、我ながらまんまと引っかかってますよね笑笑…
でも翔ちゃんの出演シーンだけでなく、レビューやソロ歌唱など満足度は高かったです。こんなご縁がなければ出会うこともなかった作品ですが、意外な加算点もあって観劇できてよかった!
ターキーが松竹に戻ってきて、ひとしきりターキーとオリエのツートップのレビューが展開し、りかさんと翔ちゃんの男役での競演場面、キャリオカ、バラタン、堪能させていただきました!黒燕尾、派手な刺繍の長めのジャケット、カラフルで短めにサッシュでまとめたラテンふうの衣裳。後ろ姿で髪をなでつけるシーンに、数々の作品がよみがえりました。
いやぁ、眼福、眼福
その後日本は戦争に突入し、大陸に慰問に出かけたり、終戦を迎えて新たに旗揚げをしたりというところには、翔ちゃんはもう出てこないのですが、戦後の日本を明るく彩った「リンゴの唄」から始まる フィナーレには、また、男役の扮装で舞台に現れます。そこはさすがの見せ場、久しぶりのソロ歌唱もあり、卒業しても歌ってる!踊ってる!演じてる姿を見られることが幸せでジンとしました。
フィナーレで出演者の名前が後方壁に映像で紹介され、バンドの皆さんにも拍手をおくってはけたあと、再びりかさんと翔ちゃんとダンサーの皆さんが舞台に。ほんとのフィナーレが(たぶん)『愛のフェニックス』。りかさんのイメージですねぇ。
今日2/15はりかさんが卒業して7年となる日だそうで、植田紳爾先生がご観劇との紹介が。90才近いはずの大先生、足取りも軽やかに退出なさいました。客席は拍手でお見送り。観客はヅカファン多そうですね。
卒業後、男役さん美貌は変わらないものの、宝塚現役時代とはなんか違う…。いったい何が違うのか?あれこれ考えてみたのですが、たぶん体つきと表情でしょうかね?ほっそりした体に沿う衣裳。どこかで読んだことも聞いたこともないですが(すみれコード)、宝塚の舞台に立つ男役はたぶん補正してるのではないかと。背丈も靴でかさ上げしてますが、肩や胸など、私服の時のジェンヌさんとはずいぶん印象が違います。『ターキー』では、素の体躯に合う衣裳を身につけているようで、もちろんマントを羽織ったり裾の長い衣裳は体を大きく見せはしますが、隣に「本物の」男性が立てば、その違いは明らかでそんなところで張り合っても仕方ないですしね
。男役が卒業すると変わっていくことのひとつなんだと。
表情も特にりかさんは黒燕尾の時もずっと柔らかな微笑みを浮かべていて、翔ちゃんの引き締まった表情に比べるとだいぶ現役感が薄れていたように感じました。
ところで開演前、りかさんのアナウンスで公演に関する注意が流れます。『into the woods』の時も、座長羽野晶紀の声でさまざまな注意事項の放送があって、思わず聞き入りましたが、これは宝塚でも真似できればいいのになぁと。作品が始まる前から夢の世界へいざなわれる心地がします。花組の公演でれいちゃんの声で「おしゃべりは劇場の外に出てからでお願いしますね」なんて入ったら、(おぉ!)と一瞬気が引き締まる?のではと(笑)。ただ人間なにごとにも慣れちゃうもので、初めはハッとしても、そのうち聞き流すようになっちゃうかも。トホホ。コロナの初期には感染者が東京で1日100人でびびってたものなのに、いまや10000人でも(へー)みたいな状況ですから。
パスケースを買いました
ショービジネスの世界ではあいかわらず難しい局面が続いていますよね。
女性の舞台進出黎明期に、しかも戦争のさなかにも、食べることが何より重要だった戦後の混乱期にも「ショービジネスの火を消すな」という分かりやすいメッセージをこめた作品で、今のコロナの時代にもマッチしていて胸にすなおに落ちました。
明日の千秋楽まで完走を祈ります。