いってきましたよ~、森へ。


東宝花組の中断に続いて、国際フォーラム雪組は公演自体が中止。

どの舞台もいつ中止になるかという切迫感のなかで、幕が上がります。今日の舞台は奇跡の積み重ね。


今回の公演はプレビュー公演。本公演にはいる前に実際の舞台で調整するという、ゲネプロの大がかりなやつ?お金をとって上演しますが、1000円引き。舞台の仕上がっていく様子を見られるのはレアな体験です。


謎の高熱が続いていた長男ですが、未だに下がりきらないものの少ーしずつ熱も下がってきて、11月末に飲んだ薬(ステロイド)の副作用で免疫力が低下していて長期化しているのかも?みたいな可能性も出てきて、難病を覚悟した一時期から思えば、心はだいぶ軽くなりました。一年以上前にコロナで外出を控えるように要請があったとき、『不要不急』とはなにか?のような命題がありました。たしかに観劇は私にとって不要不急のものではありませんでしたが、最優先かというとそうではなく、自分と家族の健康がベースにあってこそだったなーとあらためて感謝をする日々です。


今日は梅芸の一次先行抽選で、A席です。いわゆる『外の』演劇となるのでS席だと13500円(東宝のSSより高い!)で、一階が全てS席ということを考えると席の位置によっては不公平感の生じるほどのお値段です。複数回観たい私としては、とりあえずは経済効率を考えました笑(他日はS席もあります)。

A席とはいえ、最前列のど真ん中でした。S席との間に通路もあったので見やすかったです。さすが主宰の一次抽選。


こちらONTOMO ONLINEの記事。

*リンクに直接飛べないかもしれませんが、「オントモオンライン 望海風斗」で検索するとすぐにたどりつけます。


https://ontomo-mag.com/article/interview/takarazuka06-futonozomi/       



 

出演者本人が作品について語っていますし、芝居の内容についてはこちらに譲って、初見の私の印象を語ります。

“into the woods”について知るところと言えば、曲が難解なソンドハイム氏ということ、メリル・ストリープとジョニー・ディップという大物で実写映画化されたこと、日本では2004年に17才の神田沙也加が赤ずきんを演じたということが、最近の訃報と共に取り上げられていたことが印象に強いです。
もちろん私の目当ては望海さん退団後の初舞台。

望海さんのビジュアルは、
はじめは青い逆毛を盛った若干腰の曲がった魔女(ポスターとはだいぶ違ってました)で枯れ葉色?のボロの下がったようなドレス。下にペチパンツを履いていました。なにしろ男性のパフォーマー(スウィングというらしいです)に担ぎ上げられたり、逆さにされたり、暴れまわりますので(笑)。呪いがとけて若返ったあとは、太ももまでスリットの入った真っ黒の、デコルテも大きくあいたロングドレス。デコルテの骨ばったラインがちょっとだけ痛々しい感じがしました。背中に孔雀っぽい青と緑の小さめの羽をつけていました。
歌唱も思ったよりたっぷりあって、一言声を聞けば暗い舞台でも望海さんの存在を感知できます。

あらすじには遅れずついていけたと思います。
主人公ポジションは、赤ずきん、シンデレラ、ジャック、パン屋の夫の4人かとは思うのですが、望海さんの魔女も負けず劣らず重要で出番の多い役でしたし、露出的には満足でした。
魔女の望海さんは、強気の魔女で、悪役というわけでもないのですが、とにかく語気が激しくて気性も荒そう。元男役の面目躍如といったところか、女性の格好をしていながら台詞も動作も男性のような力強さ。ちょっと歌舞伎っぽく見栄を切るような場面もあって力強く、化粧と衣装が変わったけれど、退団後の初の女性役に不安になっていたファンの気持ちも、それほど逆なではしないかと。また次も見てみたいなと私的には思えるスタートでした。

それで問題の曲ですよ。それぞれのファンのかたもいらっしゃるでしょうし、私の個人的な見解という事で毒舌ご容赦くださいますよう。m(__)m
聞きたくないかたは引き返してください。

主要キャスト、ソロはほぼ誰もまともに歌えてなかった…(望海さん以外)。不協和音も多いし、不規則な飛びかたをするので、聞いている方にもこれで譜面どおりなのかどうかわからないのがミソなんですが、ソンドハイムの曲は譜面どおりに歌えれば、それで過不足がないと言われている(完成している)そうで、となると、歌えてないんだなと思わざるを得なくて。
琴音ちゃんうまかったですよ、演技は。注目株の若手女優ですものね。見られてよかった。羽野晶紀さんも、年齢を考えたら(びっくり赤ずきん?!)と思いましたが、年齢不詳のキャラでなかなかにキュートに仕上がっててむしろ感心しました。しかし歌がね。仮にもミュージカルだからには、いくらなんでもきちんと声の出る人がほしかった。まぁしかし、スケジュールとかギャラとかお付き合いとか…いろいろあるんでしょうねぇ。ラプンツェル役のかたはオペラ歌手だそうで、さすがにきれいな高音を響かせていました。写真のビジュアルよりちょっとボリュームあったかな(笑) それとジャック役の男性がムリなく歌ってて意外に聞けました。パン屋の妻のかたは、けっこう長いナンバーのある役だったのですが、、、コメントを控えます。ナレーター兼謎の男役の福井貴一さんのソロは、なかなか味わい深かったです。舞台経験の差でしょうかね?
複数での合唱はそれほど悪くなかったのですがねぇ。ソロナンバーが終わったあとのビミョーなパラパラ拍手が、観客の正直な戸惑いを表していたように感じました。

規制退場は一階二階同時で、上手下手から始まり、最後がセンターでした。退場の指示を待つ間羽野晶紀さんの声でアナウンスが入り、「外は寒いから気をつけて帰ってね」というのに、あちこちから(かわいいー)という感想が漏れ聞こえたのに、ほっこりして劇場をあとにしました。



帰りがけに歩きながら撮った写真。向こうにぼやける東京宝塚劇場の字が切ないわ。

どうか最後までかけぬけられますように。
私もあと二回みる予定です。